【嚥下障害・誤嚥】症状解説と看護のポイント

症状解説

1. はじめに

「この患者さんはなぜ食事中にむせるんだろう?」「誤嚥性肺炎を防ぐにはどうしたらいい?」実習中に高齢者や脳血管疾患患者さんの食事介助を行い、このような疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか?

嚥下障害・誤嚥は、食べ物や唾液を安全に胃まで送り込む機能が障害された状態です。高齢者、脳血管疾患患者、神経筋疾患患者など幅広い患者さんに生じ、誤嚥性肺炎や窒息などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。適切な評価と対策により、患者さんの「食べる楽しみ」を守りながら安全な摂食を支援することが看護師の重要な役割です。

この記事で学べること

  • 嚥下障害・誤嚥の発生メカニズムと分類
  • 嚥下機能評価の実践的な方法と観察ポイント
  • 安全な食事介助技術と誤嚥予防策
  • 摂食嚥下リハビリテーションの基本的な知識
  • ゴードンとヘンダーソンの理論を活用した包括的な栄養ケア

2. 病態の基本情報

定義

嚥下障害は食べ物や飲み物を口から胃まで安全に送り込む機能の障害、誤嚥は本来気道に入ってはいけない物質が声門下に侵入した状態

疫学

日本では65歳以上の高齢者の約15%が何らかの嚥下障害を有しており、80歳以上では約30%に達します。脳血管疾患患者の40-60%、パーキンソン病患者の80%以上で嚥下障害が認められます。誤嚥性肺炎は高齢者の肺炎の約70%を占め、死亡率は30-50%と高く、75歳以上の死因第4位となっています。施設入所高齢者では約50-60%が嚥下障害を有し、年間10-15%が誤嚥性肺炎を発症するとされています。また、認知症患者の約40%、頭頸部がん術後患者の60-80%でも嚥下障害が問題となります。

分類・病型

嚥下障害は障害部位により分類されます。口腔期障害は食塊形成や舌の運動障害により、口の中で食べ物をまとめて飲み込める形にできない状態です。咽頭期障害は嚥下反射の低下や遅延により、最も誤嚥リスクが高い段階の障害です。食道期障害は食道の蠕動運動や下部食道括約筋の機能障害により、胃食道逆流や逆流性誤嚥を起こしやすくなります。

原因別分類では、器質的嚥下障害は口腔・咽頭・喉頭・食道の解剖学的異常によるもので、がんや外傷、先天奇形などが原因となります。機能的嚥下障害は解剖学的構造は正常だが神経・筋の機能障害によるもので、脳血管疾患、神経筋疾患、加齢変化などが原因です。心因性嚥下障害は精神的要因によるもので、摂食障害や転換性障害などがあります。


3. 病態生理

基本メカニズム

正常な嚥下は、オーケストラの精密な演奏に例えることができます。口腔、舌、咽頭、喉頭、食道という各器官が「演奏者」となり、脳幹の嚥下中枢という「指揮者」の統制のもと、協調的かつ連続的に動作します。この一連の動きは約1秒という短時間で完了し、30以上の筋肉が関与する複雑な運動です。

このオーケストラのどこかに問題が生じると嚥下障害が起こります。指揮者(脳幹)に問題があると全体の協調性が失われ、個々の演奏者(各器官)に問題があるとその部分の機能が低下します。特に重要なのは、嚥下時に気道を閉鎖して食べ物が気管に入らないようにする「安全装置」の機能です。

嚥下の5期は以下のように進行します。先行期では視覚・嗅覚で食べ物を認識し、口に運びます。準備期では咀嚼により食塊を形成します。口腔期では舌により食塊を咽頭に送ります。咽頭期では嚥下反射により食塊を食道に送り、同時に気道を閉鎖します。食道期では蠕動運動により食塊を胃に送ります。

進行過程

嚥下障害の進行は、川の流れの障害のように段階的に悪化していきます。

正常期では、すべての嚥下機能が適切に働き、様々な食形態を安全に摂取できます。むせることもほとんどなく、食事時間も適切で、食べる楽しみを十分に感じることができます。

軽度障害期(代償期)では、わずかな機能低下が始まりますが、まだ代償機能で対応できています。「最近むせやすくなった」「固いものが食べにくい」「飲み込みにくい時がある」といった軽微な症状が現れ始めますが、大きな問題には至りません。

中等度障害期(非代償期)では、明らかな嚥下機能の低下により日常的にむせや食事困難が生じます。「水を飲むとむせる」「食事に時間がかかる」「声がかすれる」「食後に咳が出る」といった症状が頻繁に現れ、誤嚥のリスクが高まります。

重度障害期(危険期)では、常時誤嚥のリスクがあり、経口摂取が困難または危険な状態となります。無症候性誤嚥(サイレントアスピレーション)も多く、気づかないうちに誤嚥性肺炎を発症する可能性が高くなります。

病型別の違い

  • 脳血管疾患性:急性発症、片麻痺に伴う非対称性障害、回復の可能性あり
  • 神経変性疾患性:進行性、対称性障害、長期的な管理が必要
  • 加齢性:緩徐進行性、予備能力の低下、複数要因の複合
  • 薬剤性:可逆性、薬剤調整により改善可能
  • 器質性:解剖学的異常、外科的治療が必要な場合あり

合併症・併発する病態

嚥下障害の最も重篤な合併症は誤嚥性肺炎です。口腔内細菌を含む分泌物や食物が気道に入ることで起こり、高齢者では重症化しやすく死亡率も高いという特徴があります。特に無症候性誤嚥では、むせなどの症状がないため発見が遅れ、重篤化してから診断されることも多くあります。

窒息も生命に関わる合併症で、食塊が気道を完全に閉塞することで起こります。特に認知症患者や嚥下反射の著しく低下した患者では注意が必要です。

脱水・栄養不良は慢性的な合併症で、摂取量の減少により全身状態の悪化を招きます。これがさらなる嚥下機能の低下を引き起こすという悪循環を形成することもあります。

社会的・心理的影響として、食事制限によるQOLの低下社会参加の機会減少抑うつ状態なども重要な問題となります。

看護に活かすポイント

なぜ食事前の口腔ケアが重要なのでしょうか?それは、口腔内の細菌数を減らすことで、万が一誤嚥しても肺炎のリスクを軽減できるからです。なぜ食事時の姿勢が大切なのでしょうか?適切な姿勢により重力を利用した嚥下が可能となり、誤嚥リスクを減らすことができるからです。このような根拠を理解することで、効果的な誤嚥予防ケアが実践できます。


4. 症状・検査・治療

代表的な症状・徴候

嚥下障害の症状は多様で、患者さんの訴えも様々です。最も分かりやすい症状はむせで、「水を飲むとむせる」「食事中にむせて困る」といった訴えが聞かれます。しかし、むせは嚥下障害の一部の症状に過ぎず、むせない誤嚥(サイレントアスピレーション)も多いため注意が必要です。

摂食・嚥下に関する直接的症状として、「飲み込みにくい」「のどにつかえる感じ」「食べ物が口に残る」「よだれが多い」「食事に時間がかかる」といった訴えがあります。二次的症状では、「声がかすれる」「食後に咳が出る」「熱が出やすい」「体重が減った」「食事が怖い」といった症状も重要なサインです。

観察すべき身体徴候として、口唇・舌の運動制限、咀嚼力の低下、咽頭挙上の減弱、嗄声、湿性嗄声(痰がらみの声)、頻回の咽頭清拭動作、食事中や食後の咳、呼吸状態の変化などがあります。

食事場面での観察では、食塊形成不良、口腔内残留、鼻漏、頸部の前屈・後屈、食事時間の延長、食事量の減少、食形態の自己調整(細かく刻む、水分を多く取るなど)も重要な情報となります。

主要な検査・診断

スクリーニング検査として、反復唾液嚥下テスト(RSST)は30秒間の空嚥下回数を測定し、3回未満で嚥下障害の可能性が高いとされます。水飲みテストは3mlの冷水を嚥下してもらい、むせや湿性嗄声の有無、嚥下に要する時間を評価します。

改訂水飲みテスト(MWST)は3mlから段階的に量を増やして評価し、より詳細な機能評価が可能です。食物テストではゼリーやとろみ水を用いて、実際の摂食状況に近い評価を行います。

精密検査では、嚥下造影検査(VF:Videofluoroscopy)がゴールドスタンダードとされ、バリウムを混ぜた食物を嚥下している様子をX線透視で観察します。嚥下内視鏡検査(VE:Videoendoscopy)は鼻腔から内視鏡を挿入し、咽頭・喉頭の動きや分泌物の貯留、誤嚥の有無を直接観察できます。

その他の評価として、口腔機能評価(舌圧測定、咬合力測定)、認知機能評価栄養状態評価呼吸機能評価なども重要です。

治療の基本

嚥下障害の治療は摂食嚥下リハビリテーションが基本となり、間接訓練(直接食物を用いない機能訓練)と直接訓練(実際の摂食を用いた訓練)に分けられます。

間接訓練では、口腔器官の運動訓練(舌の可動域訓練、口唇閉鎖訓練)、呼吸訓練、発声訓練、嚥下手技訓練(息こらえ嚥下法、努力嚥下法、頭部回旋法)などを行います。

直接訓練では、適切な食形態の選択、姿勢調整、ペーシング指導、代償的嚥下法の実践などを段階的に進めます。食形態調整では、嚥下調整食分類2021に基づき、患者さんの嚥下機能に応じた適切な食事を選択します。

薬物療法では、ACE阻害薬による嚥下反射改善、アマンタジンによる嚥下機能改善、漢方薬(半夏厚朴湯など)による咽頭期機能改善などが試みられることもあります。

重度の場合は代替栄養法として、経鼻胃管胃瘻中心静脈栄養などを検討し、外科的治療(輪状咽頭筋切断術、喉頭挙上術など)が適応となることもあります。


5. 看護のポイント

主な看護診断

  • 誤嚥リスク状態 嚥下機能低下・意識レベル低下・認知機能障害に関連した
  • 栄養摂取消費バランス異常 嚥下障害による摂取困難に関連した
  • 窒息リスク状態 嚥下機能障害・認知機能低下に関連した
  • 口腔粘膜障害 唾液分泌減少・口腔ケア不足に関連した

ゴードンの機能的健康パターン別観察項目

栄養・代謝パターンは嚥下障害において最も重要な評価領域です。食事摂取量、摂取時間、食形態の適応状況、むせの頻度、食事中の疲労度を詳細に観察します。「どのようなものが食べにくいですか?」「むせるのはどんな時ですか?」「食事時間はどのくらいかかりますか?」といった質問により、嚥下機能の程度と問題点を把握します。体重変化、血清アルブミン値、水分摂取量も重要な指標です。

呼吸パターンでは、誤嚥による呼吸器合併症の早期発見が重要です。食事前後の呼吸音の変化、酸素飽和度の推移、咳の性状や頻度、発熱の有無を継続的に観察します。特に食後の湿性ラ音や酸素飽和度の低下は誤嚥のサインとして重要です。

認知・知覚パターンでは、嚥下に影響する認知機能、意識レベル、協力度を評価します。認知症による摂食行動の異常、薬剤による意識レベルの低下、口腔・咽頭の感覚低下なども嚥下障害のリスクファクターとなります。

ヘンダーソンの基本的欲求からみた看護

適切に飲食する欲求では、患者さんの嚥下機能に応じた安全で美味しい食事の提供が最重要課題となります。食形態の調整、とろみ付けの適切な実施、食事時間の確保、環境整備などにより、患者さんが安心して食事を楽しめるよう支援します。また、食事が単なる栄養摂取ではなく、患者さんの楽しみや生きがいでもあることを理解し、可能な限り食べる喜びを維持できるよう配慮します。

正常に呼吸する欲求では、誤嚥による気道閉塞や肺炎の予防が重要です。食事前後の口腔ケア、適切な体位保持、食事中の継続的な観察により、呼吸機能の維持を図ります。万が一誤嚥が疑われる場合は、迅速な対応により重篤な合併症を防ぎます。

身体を清潔に保ち、身だしなみを整える欲求では、口腔ケアが嚥下障害患者にとって特に重要な意味を持ちます。口腔内の清潔保持は誤嚥性肺炎の予防に直結するだけでなく、唾液分泌の促進や嚥下反射の改善にも効果があります。

病態に応じた具体的な看護介入

軽度嚥下障害では、予防的ケアと機能維持が中心となります。口腔機能訓練の指導、適切な食形態の選択支援、むせ予防のための食事指導、定期的な嚥下機能評価を行います。この段階では患者さんの自主性を尊重しながら、安全な摂食習慣の確立を支援します。

中等度嚥下障害では、積極的な機能改善と安全管理が重要です。摂食嚥下訓練の実施、食事時の見守り強化、とろみ付きの水分提供、食後の口腔ケア徹底、呼吸状態の継続観察を行います。多職種と連携した包括的なアプローチが必要となります。

重度嚥下障害では、安全性の確保と代替栄養法の検討が優先されます。経口摂取の適応評価、代替栄養法の準備・管理、誤嚥性肺炎の予防、家族への説明・支援を行います。食べる楽しみの完全な喪失を避けるため、可能な範囲での味覚刺激や口腔ケアの継続も重要です。

予防・悪化防止のポイント

嚥下障害の予防には口腔機能の維持が重要です。日常的な口腔ケア、咀嚼筋の維持訓練、適切な歯科治療により、加齢による口腔機能の低下を最小限に抑えます。

薬剤性嚥下障害の予防では、嚥下機能に影響する薬剤(抗精神病薬、抗うつ薬、抗コリン薬など)の適正使用と定期的な見直しが重要です。

早期発見のためには、日常的な嚥下機能のスクリーニングと、わずかな変化も見逃さない継続的な観察が必要です。特に高齢者や神経疾患患者では、定期的な評価により早期介入を行います。

環境要因の改善では、食事環境の整備(適切な照明、騒音の軽減、落ち着いた雰囲気)、食事時間の確保、適切な食器の選択なども嚥下機能の維持に寄与します。


6. よくある質問・Q&A

Q:むせない誤嚥(サイレントアスピレーション)を見つけるにはどうすればよいでしょうか?

A: サイレントアスピレーションは咳反射が低下している患者さんに多く、外見上は正常に見えるため発見が困難です。観察のポイントとして、食後の湿性嗄声(痰がらみの声)、頻回の咽頭清拭動作酸素飽和度の低下微熱の持続原因不明の肺炎の繰り返しなどがあります。高リスク患者(脳血管疾患、認知症、パーキンソン病、長期臥床患者など)では特に注意深い観察が必要です。日常的なチェック項目として、食前後での呼吸音の変化痰の性状・量の変化食欲・嗜好の変化体重減少なども重要なサインとなります。疑いがある場合は嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査による精密評価が必要で、早期発見により重篤な肺炎を予防できます。予防策として、食事前の口腔ケア徹底、適切な食形態の選択、食後の体位管理などが重要です。

Q:とろみの付け方にはコツがありますか?患者さんに合わせてどう調整すればよいでしょうか?

A: とろみ付けは嚥下障害ケアの重要な技術です。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類では、とろみの程度を薄いとろみ(150-300mPa・s)、中間のとろみ(300-400mPa・s)、濃いとろみ(400mPa・s以上)に分類しています。調整のコツとして、とろみ剤は少量ずつ加えてよく混ぜ、5分程度放置してとろみを安定させます。温度により粘度が変わるため、提供時の温度での調整が重要です。個別化の方法では、軽度嚥下障害は薄いとろみから開始し、重度になるほど濃いとろみが必要になります。患者さんの嗜好も考慮し、「飲みにくい」「気持ち悪い」といった訴えがあれば調整します。注意点として、とろみが強すぎると口腔内残留窒息のリスクがあるため、定期的な嚥下機能評価に基づく見直しが必要です。また、薬剤との相互作用栄養価への影響も考慮して選択します。

Q:食事介助時の姿勢で気をつけるべきポイントは何ですか?

A: 食事時の姿勢は誤嚥予防において非常に重要です。基本姿勢は、90度座位または30度以上のリクライニング位とし、頸部を軽度前屈(顎を引いた状態)にします。これにより重力を利用した嚥下が可能となり、気道への流入を防げます。車椅子の場合は、背中をしっかりと背もたれにつけ、両足が床に着くようフットレストを調整します。ベッド上の場合は、膝を曲げて安定性を確保し、テーブル高を肘の高さに調整します。介助者の位置は患者さんの正面または患側(麻痺がある場合)とし、同じ目線の高さで介助します。頸部の安定性が重要で、必要に応じてクッションで支えます。誤嚥リスクが高い場合は、頸部回旋法(麻痺側に首を回す)や頸部前屈法(顎を強めに引く)などの代償法も活用します。食事中は体位が崩れないよう継続的に確認し、食後30分以上は座位を保持して逆流を防ぎます。

Q:家族への嚥下障害の説明と指導で重要なポイントは何ですか?

A: 家族への説明では、まず嚥下障害の病態を理解してもらうことが重要です。「飲み込む力が弱くなり、食べ物が気管に入りやすくなっている」「むせなくても誤嚥することがある」といった基本的な仕組みを分かりやすく説明します。具体的な指導内容として、安全な食事介助方法(適切な姿勢、ペース、声かけ)、食形態の調整方法(刻み方、とろみの付け方)、観察ポイント(むせ、湿性嗄声、呼吸状態の変化)を実際に練習してもらいます。緊急時の対応として、窒息時の背部叩打法腹部突き上げ法を指導し、救急車要請の判断基準も明確にします。口腔ケアの重要性と具体的な方法も指導し、誤嚥性肺炎の予防につなげます。心理的サポートでは、家族の不安や負担感に共感し、「完璧でなくてよい」「困った時はいつでも相談して」というメッセージを伝えます。社会資源の活用(訪問看護、通所サービス、福祉用具)についても情報提供し、定期的なフォローアップの重要性を説明します。家族が無理をせず、患者さんも家族も安心して過ごせる環境づくりを支援することが大切です。


7. まとめ

嚥下障害・誤嚥は、患者さんの生命に直結する重要な問題であり、同時に「食べる楽しみ」という人間の基本的な欲求にも関わる複雑な課題です。看護師には、安全性を確保しながら患者さんのQOLを最大限に維持するための専門的な知識と技術が求められます。

看護師として大切なのは、嚥下障害を単に「危険な状態」として捉えるのではなく、患者さんの残存機能を最大限活用し、安全で楽しい食事体験を提供することです。多職種と連携した包括的なアプローチにより、患者さん一人ひとりに最適な摂食嚥下支援を行うことが重要です。

ゴードンの機能的健康パターンやヘンダーソンの基本的欲求を活用することで、単に栄養摂取の問題だけでなく、患者さんの全人的なニーズに対応した包括的なケアが可能になります。

覚えるべき数値

  • 65歳以上の嚥下障害有病率:約15%、80歳以上:約30%
  • 脳血管疾患患者の嚥下障害:40-60%
  • 誤嚥性肺炎の高齢者肺炎における割合:約70%
  • 誤嚥性肺炎の死亡率:30-50%
  • RSST正常値:30秒間で3回以上の嚥下
  • 食事時の適切な体位:90度座位または30度以上のリクライニング

実習・現場で活用できるポイント

実習では、すべての患者さんに対して嚥下機能のスクリーニングを行い、リスクの層別化を習慣づけましょう。特に高齢者、脳血管疾患患者、長期臥床患者では、日常的な観察により嚥下機能の変化を早期に発見することが重要です。

食事介助の技術では、適切な姿勢の保持、ペーシングの調整、とろみ付けの技術、緊急時の対応方法を確実に習得します。また、患者さんの嗜好や文化的背景も考慮した個別的なケアを心がけることが大切です。

多職種連携では、医師、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士、薬剤師などと密に連携し、チーム一体となって患者さんの摂食嚥下機能の維持・改善を支援します。特に、摂食嚥下リハビリテーションにおいては、各専門職の役割を理解し、継続的なケアを提供することが重要です。

患者さんとその家族への教育・支援では、嚥下障害の理解促進、安全な食事方法の指導、緊急時の対応方法の習得を通じて、在宅でも安心して食事を楽しめる環境づくりを支援します。

食べることは人間の基本的な欲求であり、生きる喜びの源でもあります。嚥下障害があっても、可能な限り安全で美味しい食事を楽しめるよう、エビデンスに基づいた専門的なケアと温かい心で患者さんを支援していきましょう。を早期に察知し、迅速な報告と対応につなげることが重要です。消化管出血の看護経験は、循環管理や救急看護の基礎となる貴重な学習機会であり、将来様々な分野で活用できる知識と技術を身につけることができます。

免責事項

本記事は教育・学習目的の情報提供です。

・一般的な医学知識の解説であり、個別の患者への診断・治療の根拠ではありません

・実際の看護実践は、患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください

・記事の情報は公開時点のものであり、最新の医学的知見と異なる場合があります

・本記事を課題としてそのまま提出しないでください

正確な情報提供に努めていますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。

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