【Cre(クレアチニン)】検査データと看護のポイント

検査データと看護のポイント

検査の基本情報

検査名と略称

正式名称: Creatinine(クレアチニン) 略称: Cre、Cr、SCr(血清クレアチニン) 別名: 血清クレアチニン

基準値

成人の基準値

  • 男性: 0.65〜1.09 mg/dL
  • 女性: 0.46〜0.82 mg/dL

※施設により基準値が異なる場合があるため、各施設の基準値を確認すること ※年齢・性別・筋肉量により基準値が異なります

  • 高齢者: 筋肉量減少によりやや低め
  • 筋肉量の多い人: やや高め
  • 小児: 0.2〜0.5 mg/dL程度

パニック値(緊急報告値)

  • Cre 5.0 mg/dL以上(急性腎障害を疑う)
  • Cre 10.0 mg/dL以上(透析導入を検討するレベル)

検査の目的

  • 腎機能の評価(最も重要)
  • eGFRの算出(より正確な腎機能評価)
  • 慢性腎臓病(CKD)のステージ分類
  • 急性腎障害(AKI)の診断
  • 透析導入・離脱の判断
  • 薬剤投与量の調整

検査値が意味すること

この検査で何がわかるのか

クレアチニンは筋肉の代謝産物で、筋肉中のクレアチンリン酸が分解されて生成されます。クレアチニンは毎日ほぼ一定量産生され、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されます。

クレアチニンの最大の特徴は、食事や脱水の影響をほとんど受けず、腎機能を正確に反映することです。そのため、BUNよりも信頼性が高い腎機能の指標として広く使用されています。

血清クレアチニン値が上昇しているということは、腎臓の濾過機能が低下して、クレアチニンが体内に蓄積していることを意味します。ただし、クレアチニンは腎機能が正常の50%以下に低下しないと明らかな上昇を示さないため、軽度の腎機能低下は見逃されるという弱点があります。

この弱点を補うため、現在はeGFR(推算糸球体濾過量)がより重要視されています。eGFRは、クレアチニン値、年齢、性別から計算される指標で、腎機能をより正確に評価できます。

検査値の変動要因

上昇させる要因

  • 腎機能低下(最も重要)
  • 筋肉量の多い人(生理的)
  • 激しい運動後
  • 高蛋白食(軽度)
  • 一部の薬剤(トリメトプリムなど)
  • 脱水(BUNほどではないが軽度上昇)

低下させる要因

  • 筋肉量の減少(高齢者、サルコペニア)
  • 妊娠
  • 過度の輸液(希釈)
  • 栄養不良

影響を受けにくい要因

  • 食事(BUNと異なり、食事の影響をほぼ受けない)
  • 脱水(BUNほど影響を受けない)
  • 日内変動はほとんどない

異常値とその意味

高値を示す場合

考えられる疾患・状態

軽度高値

  • 男性: 1.1〜2.0 mg/dL
  • 女性: 0.9〜2.0 mg/dL
  • 軽度〜中等度の腎機能低下
  • CKDステージ2〜3
  • 脱水(軽度)
  • 筋肉量の多い人(生理的)

中等度高値(2.0〜5.0 mg/dL)

  • 中等度〜高度の腎機能低下
  • CKDステージ3〜4
  • 急性腎障害
  • 心不全(心腎症候群)

高度高値(5.0 mg/dL以上)

  • 高度の腎不全
  • CKDステージ4〜5
  • 急性腎障害(重症)
  • 透析導入を検討するレベル

身体で起きていること

腎臓の糸球体は、血液を濾過して老廃物を尿中に排泄する働きをしています。糸球体の濾過機能が低下すると、本来なら尿中に排泄されるべきクレアチニンが血液中に蓄積します。

クレアチニンの上昇は、以下のような腎障害のパターンで起こります。

1. 腎前性(腎臓に届く血液量が減少) 脱水、出血、心不全などで腎臓への血流が減少すると、糸球体濾過量が低下し、クレアチニンが上昇します。ただし、Creの上昇はBUNほど顕著ではありません(BUN/Cre比が上昇)。

2. 腎性(腎臓自体の障害) 糸球体腎炎、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症などで、糸球体が破壊されると、濾過機能が低下し、クレアチニンが蓄積します。これが真の腎機能低下です。

3. 腎後性(尿路の閉塞) 尿管結石、前立腺肥大、腫瘍などで尿路が閉塞すると、尿が排泄されず、クレアチニンが血液中に逆流して蓄積します。

重要な特徴: クレアチニンの遅れた上昇 クレアチニンは、腎機能が正常の50%以下に低下しないと明らかな上昇を示しません。つまり、クレアチニンが上昇した時点で、すでに腎機能はかなり低下していることになります。これを「クレアチニンの盲点」と呼びます。

出現しやすい症状

軽度〜中等度上昇(Cre 1.5〜3.0 mg/dL)

  • 無症状のことが多い
  • 軽度の倦怠感
  • 食欲不振

高度上昇(Cre 3.0〜8.0 mg/dL)

  • 尿毒症症状の出現
  • 悪心・嘔吐
  • 全身倦怠感
  • 浮腫
  • 高血圧
  • 貧血症状

著明な上昇(Cre 8.0 mg/dL以上)

  • 重度の尿毒症症状
  • 意識障害(尿毒症性脳症)
  • 呼吸困難(肺水腫)
  • 胸痛(心嚢炎、尿毒症性心膜炎)
  • けいれん
  • 皮膚掻痒感、尿毒症性霜

低値を示す場合

考えられる疾患・状態

低値

  • 男性: 0.65 mg/dL未満
  • 女性: 0.46 mg/dL未満
  • 筋肉量の減少(高齢者、サルコペニア、筋疾患)
  • 妊娠
  • 重度の低栄養
  • 過度の輸液(希釈)

身体で起きていること

クレアチニンは筋肉から産生されるため、筋肉量が少ないとクレアチニンの産生自体が減少します。高齢者やサルコペニア(筋肉量減少)では、腎機能が低下していても、クレアチニンが正常〜やや高値程度にとどまることがあります。

このような場合、クレアチニン値だけでは腎機能を正しく評価できないため、eGFRやシスタチンCなど、他の指標を使用します。

出現しやすい症状

クレアチニンの低値自体による症状はありません。原因疾患(筋疾患、低栄養など)の症状が出現します。


看護アセスメントのポイント

検査前の看護

患者への説明

「腎臓の働きを調べる血液検査です。採血だけで済み、5分程度で終わります。食事の影響はほとんど受けないため、食後でも検査できますが、できれば朝食前が望ましいです」

検査前の準備・確認事項

  • 特別な準備は不要(絶食不要)
  • 激しい運動は避ける(前日夜〜当日朝)
  • 筋肉量に影響する要因の確認(運動習慣、体格、年齢)
  • 内服薬の確認(腎毒性のある薬剤など)

患者の状態確認

  • 尿量(24時間尿量、乏尿の有無)
  • 浮腫の有無と程度
  • 体重の推移
  • バイタルサイン(特に血圧)
  • 既往歴(糖尿病、高血圧、腎疾患)

検査中の看護

観察項目

  • 採血時の顔色、表情
  • 気分不快の有無
  • 穿刺部位の止血状態

安全管理

  • 腎不全患者では出血傾向があることがある
  • シャント肢からの採血は避ける(透析患者)
  • 採血後の十分な圧迫止血

検査後の看護

結果の解釈

eGFRの計算と評価 eGFRは、クレアチニン値、年齢、性別から自動計算されます。

CKD(慢性腎臓病)のステージ分類

ステージeGFR (mL/分/1.73m²)腎機能の状態臨床的対応
ステージ1≧90腎障害あり、腎機能正常原疾患の治療、危険因子の管理
ステージ260〜89軽度低下腎機能低下の進行抑制
ステージ3a45〜59軽度〜中等度低下合併症の予防・治療開始
ステージ3b30〜44中等度〜高度低下合併症の積極的治療
ステージ415〜29高度低下(保存的腎不全)透析・移植の準備開始
ステージ5<15末期腎不全透析導入または腎移植

BUNと併せた評価

  • BUN↑、Cre↑(BUN/Cre比>20): 腎前性(脱水、消化管出血)
  • BUN↑、Cre↑(BUN/Cre比10〜20): 腎性(真の腎機能低下)
  • BUN正常、Cre↑: 腎性(初期)、筋肉量が多い

筋肉量の影響を考慮

  • 高齢者、サルコペニア: Creが低めに出るため、腎機能低下を見逃しやすい
  • 筋肉量の多い人: Creが高めに出ることがある(生理的)

急性腎障害(AKI)の診断基準

  • Creが48時間以内に0.3 mg/dL以上上昇
  • Creが7日以内に基準値の1.5倍以上に上昇
  • 尿量が6時間以上0.5 mL/kg/時未満

観察すべき症状・バイタルサイン

Cre高値の場合

尿量のモニタリング(最重要)

  • 24時間尿量の測定(正常: 1000〜1500 mL/日)
  • 時間尿量の測定(正常: 50〜80 mL/時)
  • 乏尿: 400 mL/日未満または0.5 mL/kg/時未満
  • 無尿: 100 mL/日未満
  • 尿の性状、色調

バイタルサイン

  • 血圧: 高血圧の有無(腎性高血圧)
  • 脈拍: 不整脈の有無(高K血症)
  • 体温: 発熱(感染症、尿路感染症)
  • 呼吸: 呼吸困難(肺水腫、代謝性アシドーシス)
  • SpO₂: 低酸素血症

体重・浮腫の評価

  • 毎日同じ時間、同じ条件で体重測定
  • 浮腫の部位と程度(下腿、顔面、全身)
  • 腹水、胸水の有無

尿毒症症状の観察

  • 消化器症状: 悪心、嘔吐、食欲不振、口臭
  • 神経症状: 意識レベル、傾眠、けいれん、ミオクローヌス、末梢神経障害
  • 皮膚症状: 掻痒感、尿毒症性霜、色素沈着
  • 循環器症状: 胸痛(心嚢炎)、不整脈

電解質異常の徴候

  • 高カリウム血症: 筋力低下、しびれ、不整脈(生命に危険)
  • 低カルシウム血症: テタニー、しびれ
  • 高リン血症: 掻痒感、異所性石灰化
  • 代謝性アシドーシス: クスマウル呼吸(深大呼吸)

貧血症状

  • 顔色蒼白、易疲労感、動悸、息切れ

日常生活への影響

Cre 2.0〜3.0 mg/dL、eGFR 30〜60の場合

  • 軽度の倦怠感
  • 食事制限(蛋白、塩分、カリウム)が必要
  • 定期的な通院が必要
  • 水分管理が必要

Cre 3.0〜8.0 mg/dL、eGFR 15〜30の場合

  • 中等度の倦怠感、ADL低下
  • 厳格な食事制限が必要
  • 浮腫、高血圧の管理が必要
  • 頻回の通院が必要
  • 透析導入の準備開始(シャント造設など)

Cre 8.0 mg/dL以上、eGFR <15の場合

  • 高度の倦怠感、ADL著明低下
  • 尿毒症症状による苦痛
  • 透析導入が必要
  • 生活が大きく変化(透析通院、食事・水分制限)

看護として支援すべきこと

  • 食事療法の支援: 蛋白制限食、塩分制限、カリウム制限(管理栄養士と連携)
  • 水分管理: 水分制限(尿量+500 mL/日程度)、水分出納バランス
  • 血圧管理: 降圧薬の確実な内服、家庭血圧測定の指導
  • 症状緩和: 制吐薬、止痒薬、鎮痛薬
  • 透析導入の支援: シャント管理、透析教育、心理的サポート
  • 服薬管理: 腎機能に応じた薬剤投与量の調整、腎毒性薬剤の回避

報告基準

緊急報告が必要な状況

  • Cre 5.0 mg/dL以上の高値
  • 急激な上昇(48時間以内に0.3 mg/dL以上、または基準値の1.5倍以上)
  • 尿量著明減少(400 mL/日未満)または無尿(100 mL/日未満)
  • 高K血症(K 6.0 mEq/L以上)、不整脈
  • 意識レベルの低下、けいれん
  • 呼吸困難(肺水腫)
  • 胸痛(心嚢炎)
  • 代謝性アシドーシス(pH 7.2未満)

定時報告でよい状況

  • 軽度の上昇(1.5 mg/dL未満)で症状が安定
  • 慢性腎不全で予測される範囲内の値
  • 改善傾向を示している

関連する検査データ

一緒に評価すべき検査項目

BUNとの組み合わせ BUNとCreを併せて評価することで、腎機能低下の原因を鑑別できます。

eGFR(推算糸球体濾過量) eGFRは、Creよりも正確に腎機能を評価できます。Creが正常でもeGFRが低下していることがあるため、必ずeGFRを確認します。

シスタチンC 筋肉量の影響を受けないため、高齢者やサルコペニア患者の腎機能評価に有用です。Creが正常でも腎機能が低下していることがあります。

電解質(Na、K、Cl、Ca、P) 腎不全では電解質異常を伴います。

  • K(カリウム): 高K血症(不整脈のリスク、最も危険)
  • Na(ナトリウム): 低Na血症または高Na血症
  • Ca(カルシウム): 低Ca血症
  • P(リン): 高P血症

酸塩基平衡(pH、HCO₃⁻、BE)

  • 代謝性アシドーシス(pH低下、HCO₃⁻低下)

貧血の評価(Hb、Ht、Fe) 慢性腎不全では、エリスロポエチン産生低下により腎性貧血を伴います。

尿検査(尿蛋白、尿潜血、尿沈渣)

  • 尿蛋白: 糸球体疾患の有無
  • 尿潜血: 糸球体疾患、尿路結石、腫瘍
  • 尿沈渣: 赤血球円柱、白血球、細菌

血糖、HbA1c 糖尿病性腎症の評価(糖尿病は腎不全の最大の原因)

尿酸(UA) 高尿酸血症は腎障害のリスク因子


実習でよくある場面

場面1: 糖尿病患者の腎機能低下進行

62歳男性、2型糖尿病、Cre 1.2 mg/dL → 1.8 mg/dL(6ヶ月で)、eGFR 45 → 30、尿蛋白(++)

アセスメントのポイント

  • Creが6ヶ月で0.6 mg/dL上昇は有意な腎機能悪化
  • eGFRが45→30に低下(CKDステージ3a→3b)
  • 糖尿病性腎症の進行を強く疑う
  • このペースで進行すると数年で透析導入の可能性

看護の視点 腎機能の進行を遅らせることが最優先です。血糖管理の徹底(HbA1c 7%未満)、血圧管理(130/80 mmHg未満)、蛋白制限食、禁煙、定期的な検査を行います。患者・家族に透析の可能性を説明し、心の準備を支援します。

場面2: 急性腎障害(AKI)の早期発見

75歳女性、誤嚥性肺炎で入院、入院時Cre 0.9 mg/dL → 入院3日目Cre 1.8 mg/dL、尿量300 mL/日

アセスメントのポイント

  • Creが3日間で2倍に上昇、急性腎障害(AKI)の診断基準を満たす
  • 乏尿(400 mL/日未満)を伴う
  • 敗血症、脱水、腎毒性薬剤などが原因の可能性
  • 早期発見・早期介入が予後を左右

看護の視点 原因の特定と除去が緊急です。感染症なら抗菌薬治療、脱水なら輸液、薬剤性なら原因薬剤の中止を行います。尿量を1時間ごとに測定し、水分出納バランスを厳重に管理します。電解質(特にK)を頻回にチェックし、異常があれば速やかに報告します。

場面3: 高齢者のCreは正常だが腎機能低下

88歳女性、Cre 0.8 mg/dL(正常範囲)、eGFR 42 mL/分/1.73m²、体重38kg、筋肉量減少

アセスメントのポイント

  • Creは正常範囲だがeGFRは低下(CKDステージ3b)
  • 高齢で筋肉量が少ないため、Creが低く出ている
  • 「Creが正常=腎機能正常」という判断は誤り
  • 高齢者では必ずeGFRを確認する

看護の視点 高齢者ではCreに頼らず、eGFRで腎機能を評価します。腎機能に応じた薬剤投与量の調整が必要です。脱水に注意し、腎毒性薬剤(NSAIDs、造影剤など)の使用を避けます。食事は過度の蛋白制限はせず、むしろ栄養状態の維持を優先します。

場面4: 心不全患者の心腎症候群

70歳男性、慢性心不全増悪、Cre 1.5 mg/dL → 2.8 mg/dL、BUN 35 mg/dL → 62 mg/dL、尿量減少

アセスメントのポイント

  • 心不全により腎血流量が低下し、腎機能が悪化(心腎症候群)
  • BUN/Cre比は約22とやや高め(腎前性要素あり)
  • 利尿薬の使用で腎機能がさらに悪化するジレンマ
  • 心不全と腎不全の悪循環を断ち切ることが重要

看護の視点 水分制限、塩分制限を徹底し、体重測定、水分出納バランスを厳重に管理します。利尿薬の効果と副作用(腎機能悪化、電解質異常)をモニタリングします。過度の利尿は腎機能をさらに悪化させるため、慎重な管理が必要です。

場面5: 造影剤使用後の腎機能悪化

55歳男性、CT造影検査施行、検査前Cre 1.2 mg/dL → 検査後48時間Cre 2.5 mg/dL

アセスメントのポイント

  • 造影剤使用後48時間以内にCreが0.3 mg/dL以上上昇(AKIの診断基準)
  • 造影剤腎症(CIN: Contrast-Induced Nephropathy)を疑う
  • 特に糖尿病、脱水、高齢、既存の腎機能低下がある場合にリスク上昇
  • 予防と早期発見が重要

看護の視点 造影検査前には十分な水分負荷(生理食塩水の点滴)を行い、検査後も尿量を確保します。検査後24〜48時間はCreと尿量を頻回にモニタリングします。造影剤腎症は通常1週間程度で回復しますが、永久的な腎機能低下につながることもあるため、注意深い観察が必要です。


よくある疑問・Q&A

Q1: CreとBUN、どちらが腎機能をより正確に反映しますか?

A: クレアチニン(Cre)の方が腎機能をより正確に反映します。BUNは食事、脱水、消化管出血など、腎機能以外の要因で大きく変動しますが、Creはこれらの影響をほとんど受けません。そのため、腎機能の評価にはCreまたはeGFRを重視し、BUNは補助的な指標として使用します。

Q2: eGFRとは何ですか?Creとどう違いますか?

A: eGFR(推算糸球体濾過量)は、Creの値、年齢、性別から計算される、より正確な腎機能の指標です。Creは筋肉量の影響を受けるため、高齢者や筋肉量の少ない人では腎機能低下を見逃すことがあります。eGFRはこの弱点を補正し、より正確に腎機能を評価できます。現在、腎機能の評価にはCreよりもeGFRが重視されています。

Q3: 透析導入の基準はどのくらいですか?

A: 一般的な目安は以下の通りですが、症状と検査値を総合的に判断します。

  • Cre 8〜10 mg/dL以上
  • eGFR 10 mL/分/1.73m²未満
  • BUN 80〜100 mg/dL以上

ただし、これらの値に達していなくても、尿毒症症状(悪心・嘔吐、意識障害)、体液過剰(肺水腫)、高K血症、アシドーシスなどがあれば、より早期に透析導入を検討します。

Q4: 腎機能が悪い患者に薬を投与する時、何に注意すればよいですか?

A: 多くの薬剤は腎臓から排泄されるため、腎機能に応じて投与量を減量する必要があります。

注意が必要な主な薬剤

  • 腎排泄性の薬剤: 抗菌薬(セフェム系、ニューキノロン系など)、糖尿病薬(メトホルミン)、抗ウイルス薬など
  • 腎毒性のある薬剤: アミノグリコシド系抗菌薬、NSAIDs、造影剤、一部の抗がん剤

看護師として確認すべきこと

  • eGFRまたはCreを確認し、腎機能に応じた投与量になっているか
  • 薬剤投与後の腎機能のモニタリング(Cre、尿量)
  • 副作用の早期発見(悪心、嘔吐、意識レベル変化)

Q5: 高齢者のCreは低く出やすいと聞きましたが、なぜですか?

A: 高齢者は筋肉量が減少している(サルコペニア) ため、筋肉から産生されるクレアチニンの量が少なくなります。その結果、腎機能が低下していても、Creが正常範囲内にとどまることがあります。これを「クレアチニンの盲点」と呼びます。

高齢者の腎機能評価のポイント

  • Creだけで判断せず、必ずeGFRを確認する
  • 体重、筋肉量も考慮する
  • シスタチンCなど、筋肉量の影響を受けない検査も活用
  • 「Creが正常=腎機能正常」と安易に判断しない

疾患別の特徴的なパターン

急性腎障害(AKI)

典型的なパターン

項目所見
Cre急激に上昇(48時間以内に0.3 mg/dL以上、または7日以内に1.5倍以上)
BUN急激に上昇
尿量著明に減少(乏尿または無尿)
K急激に上昇(高K血症)
経過数日〜数週間で発症

看護のポイント 原因の除去と早期治療が最優先です。尿量を1時間ごとに測定し、水分出納バランスを厳重に管理します。電解質(特にK)、酸塩基平衡を頻回にチェックします。

慢性腎臓病(CKD)

典型的なパターン

項目所見
Cre徐々に上昇(数ヶ月〜数年かけて)
eGFR徐々に低下
貧血Hb低下(腎性貧血)
高血圧持続
尿検査蛋白尿、血尿

看護のポイント 進行を遅らせることが目標です。血圧管理、血糖管理(糖尿病の場合)、食事療法、禁煙、定期的な検査を行います。透析導入の時期を見極めます。

糖尿病性腎症

典型的なパターン

項目所見
Cre徐々に上昇
尿蛋白持続的陽性(++〜+++)
HbA1c高値(血糖コントロール不良)
網膜症合併していることが多い
進行5〜10年で透析に至ることも

看護のポイント 血糖管理の徹底が最も重要です。HbA1c 7%未満を目標に、食事療法、運動療法、薬物療法を行います。血圧管理(130/80 mmHg未満)、蛋白制限食も重要です。

ネフローゼ症候群

典型的なパターン

項目所見
Cre正常〜やや上昇
Alb著明な低下(≦2.5 g/dL)
尿蛋白著明(≧3.5 g/日)
浮腫全身性、高度
脂質高コレステロール血症

看護のポイント 浮腫管理、感染予防、血栓予防が中心です。利尿薬の効果判定、皮膚トラブル予防、抗凝固療法の管理を行います。

脱水による腎前性腎不全

典型的なパターン

項目所見
Cre軽度上昇
BUNCreに比べて高度上昇
BUN/Cre比>20(高値)
尿比重上昇
改善輸液で速やかに改善

看護のポイント 脱水の補正が最優先です。輸液管理、水分出納バランス、バイタルサイン、尿量をモニタリングします。輸液後、Cre・BUNを再検査し、改善を確認します。


まとめ

クレアチニン(Cre)は腎機能を評価する最も重要な指標です。BUNと異なり、食事や脱水の影響をほとんど受けないため、信頼性が高く、腎機能の評価に広く使用されています。ただし、筋肉量の影響を受けるため、高齢者やサルコペニア患者では注意が必要です。

看護アセスメントで押さえるべきポイントは以下の通りです。

  • 必ずeGFRと併せて評価する(Creだけでは不十分)
  • 高齢者ではCreが低く出やすいことを理解する
  • 急性腎障害(AKI)の早期発見に努める(48時間以内の変化に注目)
  • 尿量のモニタリングを徹底する(腎機能の最も重要な指標)
  • 電解質異常(特に高K血症) に注意する(生命に危険)
  • BUNと併せて評価し、BUN/Cre比で原因を鑑別する
  • CKDのステージ分類を理解し、適切な介入を行う
  • 薬剤投与量の調整が必要なことを理解する

実習では、Creの値だけを見るのではなく、なぜ上昇しているのか、急性なのか慢性なのか、原因は何か、どう対応すべきかという視点でアセスメントすることが大切です。

腎機能の低下は、尿毒症症状、電解質異常、貧血、高血圧など、全身に様々な影響を及ぼします。CreとeGFRを正しく評価し、適切な食事療法、水分管理、薬剤管理、症状緩和のケアを提供することで、患者さんの腎機能の保護とQOL向上を支援していきましょう。

また、Creは透析導入の時期を判断する重要な指標でもあります。患者さんと家族が透析導入という大きな転機を迎える際には、十分な説明と精神的サポートを提供し、新しい生活への適応を支援することも、看護師の重要な役割です。


免責事項

本記事は看護学生向けの教育・学習目的の情報提供です。一般的な医学知識の解説であり、個別の患者への診断・治療の根拠ではありません。実際の看護実践は、患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください。記事の情報は公開時点のものであり、最新の医学的知見と異なる場合があります。本記事を課題としてそのまま提出しないでください。正確な情報提供に努めていますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。検査値の解釈や対応については、必ず医師の判断を仰いでください。

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