本記事では、看護師の思考プロセスを詳しく解説します。
実際の臨床では患者さんごとに状況が異なりますが、「わたしならどう考えるか」を具体的に示すことで、あなた自身の考える力を育てることを目指します。
この記事を参考に思考プロセスを学び、看護過程が得意になってもらえたら嬉しいです。
それでは、見ていきましょう。
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免責事項
本記事は教育・学習目的の情報提供です。事例は完全なフィクションであり、個別の診断・治療の根拠ではありません。実際の看護実践は患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください。本記事をそのまま課題として提出しないでください。内容の完全性・正確性は保証できず、本記事の利用により生じた損害について一切の責任を負いません。
今回の事例
本事例は、正常分娩後の初産婦における産褥期の看護実践を学習するための症例である。初めての出産・育児という大きなライフイベントを迎えた褥婦に対し、身体的回復の促進と母親役割獲得への支援を統合的に展開していく過程を理解することを目的とする。
診断と既往
現病名は正常分娩後の褥婦である。妊娠37週6日、自然陣痛発来し入院となり、分娩第1期12時間45分、第2期1時間20分、第3期15分の経過で正常経膣分娩に至った。会陰切開を施行し、第2度会陰裂傷を認めたため縫合術を実施している。出血量は分娩時380ml、分娩後2時間で150mlであり、正常範囲内であった。児は女児、出生体重2,985g、身長49.2cm、Apgarスコア1分値9点・5分値10点と良好であった。
既往歴として特記すべき疾患はなく、妊娠経過も順調であった。妊娠中の体重増加は9.5kgであり、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症は認めなかった。血液型はA型Rh(+)、不規則抗体陰性であり、感染症スクリーニングも全て陰性であった。
現在の治療として、会陰縫合部の感染予防目的で抗菌薬の内服を5日間処方されている。また、子宮収縮促進と悪露の排出促進のため子宮収縮薬を3日間内服している。疼痛管理として解熱鎮痛薬が頓用で処方されており、会陰部痛や後陣痛時に使用可能な状態である。
現在の状態
入院からの経過は、4月15日午前3時に陣痛発来し入院となり、同日午後4時10分に正常分娩となった。分娩後2時間の観察では、子宮底の位置・硬度とも良好であり、悪露量も正常範囲内であった。現在は4月17日(産褥2日目)であり、分娩後48時間が経過している。
バイタルサインは、体温36.8℃、血圧118/72mmHg、脈拍78回/分・整、呼吸数16回/分、SpO2 98%(room air)と安定している。産褥1日目の朝に37.6℃の微熱を認めたが、これは乳汁分泌開始に伴う生理的な体温上昇と判断され、その後は解熱している。脈拍・血圧ともに分娩前の値と大きな変動はなく、循環動態は安定している。
食事は産褥1日目の昼食から開始し、全粥食を摂取している。食欲は良好で、毎食ほぼ全量摂取できており、「お腹が空いて仕方ない」と話している。水分摂取も1日1,500ml程度と十分である。授乳に伴うエネルギー消費が増加していることから、間食として牛乳やヨーグルトなどの乳製品を追加摂取している。
排泄に関しては、排尿は産褥1日目の午前中に自然排尿が確認された。その後も3〜4時間ごとに自然排尿があり、1回の尿量は200〜300ml程度である。残尿感や排尿時痛の訴えはなく、膀胱の触知もない。排便は分娩後まだ認めていないが、本人から「お腹が張る感じはない」との発言があり、腸蠕動音も正常に聴取されている。
睡眠については、産褥1日目の夜間は興奮状態もあり2〜3時間程度の断続的な睡眠であったが、「赤ちゃんが気になって目が覚めてしまう」と話している。日中も授乳や児の観察で十分な休息が取れていない様子が見られる。疲労の蓄積が懸念されるため、休息時間の確保が必要な状況である。
ADLについて、移動は産褥1日目の夕方から歩行を開始し、トイレへの歩行や病室内の移動は自立している。ただし、会陰部痛があるため歩行時にやや慎重な様子が見られ、「座るときが一番痛い」と話している。立ち上がりや方向転換の際にふらつきは認めず、転倒歴もない。セルフケアは全て自立しており、シャワー浴も産褥2日目から許可されている。授乳時の抱き方や児の抱っこについては、助産師の指導を受けながら徐々に慣れてきている段階である。
会陰部の状態は、切開創および裂傷部の発赤・腫脹は軽度であり、縫合部の離開や感染徴候は認めていない。疼痛はNRS(数値的評価スケール)で3〜4程度であり、座位姿勢や動作時に増強する。悪露は赤色悪露で、量は中等量、凝血塊の混入はなく正常な経過である。子宮底の位置は臍下2横指、硬度は良好に保たれており、子宮復古は順調に進んでいる。
検査と治療
主要な検査データとして、産褥1日目の血液検査では、ヘモグロビン値10.8g/dl(正常値12.0〜16.0、軽度低値)を示しており、分娩時の出血による軽度の貧血状態が確認された。ただし、分娩前の値が12.5g/dlであったことから、生理的範囲内の低下と判断されている。白血球数は12,500/μl(正常値4,000〜9,000、高値)であるが、これは分娩に伴う生理的な上昇であり、CRP陰性であることから感染症は否定的である。
血小板数は22.5万/μl、凝固系検査も正常範囲内であり、止血機能に問題はない。生化学検査では、総蛋白6.5g/dl、アルブミン3.8g/dlとやや低値を示しているが、これも妊娠・分娩に伴う生理的変化の範囲内である。肝機能・腎機能は正常範囲内であり、電解質バランスも良好に保たれている。
尿検査では、尿蛋白(±)、尿糖(-)、尿潜血(±)であり、分娩後の一過性の変化と考えられる。尿路感染症を示唆する所見はなく、尿中白血球も陰性である。
内服薬として、セフェム系抗菌薬(セファレキシン250mg)を1日3回5日間内服している。これは会陰縫合部の感染予防を目的としたものである。子宮収縮薬(メチルエルゴメトリンマレイン酸塩0.125mg)を1日3回3日間内服しており、子宮復古の促進と悪露の排出を図っている。解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン200mg)は頓用処方であり、後陣痛や会陰部痛が強い時に使用可能である。産褥1日目に1回、2日目に1回使用している。
鉄剤(フェロミア50mg)が1日2回処方されており、軽度貧血の改善を目的としている。また、便秘予防のため酸化マグネシウムが処方されているが、まだ使用していない。授乳婦であるため、全ての薬剤は授乳への影響が少ないものが選択されている。
今後の方針として、産褥5日目に退院予定である。退院までに、授乳の確立、会陰部の治癒確認、悪露の状態確認、母親役割の獲得状況の評価を行う。退院後は2週間健診と1か月健診を予定しており、母子の健康状態と育児状況を継続的にフォローしていく。必要に応じて、地域の保健師による家庭訪問や育児相談の利用も勧めていく方針である。
本人・家族の想い
本人からは「無事に産まれてきてくれて本当に嬉しい。でも、ちゃんと育てられるか不安です」という発言が聞かれた。初めての育児への期待と不安が混在している様子である。授乳について「おっぱいがうまく吸わせられなくて、赤ちゃんに申し訳ない」「このやり方で合っているのか分からない」と話しており、授乳技術の未熟さと母親としての自信のなさが表出されている。
会陰部痛については「痛いけど我慢できる程度です。でも座るのが怖い」と話し、疼痛はあるものの日常生活への支障は最小限に抑えられている。睡眠不足に関しては「赤ちゃんの顔を見ていると眠れなくて。泣き声が聞こえると心配になります」と話しており、母性の芽生えと同時に過度な緊張状態にあることが窺える。
夫は毎日面会に訪れており、「妻も子どもも元気そうで安心しました。家に帰ったら二人で協力して育てていきます」と前向きな発言をしている。ただし、育児手技については「おむつ替えもまだできないので、退院までに教えてもらいたい」と話しており、夫自身も育児への参加意欲はあるものの、具体的な方法を学ぶ必要がある。
実母は「初めての孫で嬉しい。退院したら1か月くらいは実家で過ごしてもらうつもり」と話しており、サポート体制は整っている。本人も「実家に帰れば母が助けてくれるので安心です」と話しているが、一方で「いつかは自分たちだけでやっていかなくてはいけない」という現実的な認識も持っている。
ゴードンの11の機能的健康パターンによるアセスメント
1. 健康知覚-健康管理パターンのポイント
このパターンでは、初産婦が正常分娩後の身体変化をどのように認識し、自身の健康状態をどう捉えているか、また産褥期に必要なセルフケアや育児に関する知識・理解がどの程度あるかを評価します。初めての出産という大きなライフイベントを経験した褥婦が、産褥期の身体的変化を正常な回復過程として理解できているか、また母親役割を獲得していく上で必要な健康管理行動をどのように認識しているかという視点が重要です。
どんなことを書けばよいか
健康知覚-健康管理パターンでは、以下のような視点からアセスメントを行います。
- 疾患についての本人・家族の理解度(病態、治療、予後など)
- 疾患や治療に対する受け止め方、受容の程度
- 現在の健康状態や症状の認識
- これまでの健康管理行動(受診行動、服薬管理、生活習慣など)
- 疾患が日常生活に与えている影響の認識
- 健康リスク因子(喫煙、飲酒、アレルギー、既往歴など)
妊娠・分娩経過と現在の健康状態の認識
本事例では、妊娠経過が順調であり、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症を認めなかったこと、また正常経膣分娩に至ったことから、褥婦自身が妊娠・出産を「順調に経過した」と認識している可能性が高いと考えられます。「無事に産まれてきてくれて本当に嬉しい」という発言からは、分娩が無事に終了したことへの安堵感と喜びが表出されており、この点を踏まえてアセスメントを記述するとよいでしょう。
産褥1日目に37.6℃の微熱を認めた際、これが乳汁分泌開始に伴う生理的な体温上昇と医療者側では判断されていますが、褥婦本人がこの微熱をどのように認識していたか、不安を感じていなかったかという点も重要な情報となります。初産婦の場合、産褥期の正常な身体変化と異常な徴候の区別が十分にできないことも多いため、本人がどの程度産褥期の生理的変化を理解しているかを考慮してアセスメントする必要があります。
産褥期の症状に対する認識と対処
会陰部痛についての発言「痛いけど我慢できる程度です。でも座るのが怖い」からは、疼痛の存在を認識しつつも、それが耐えられる範囲内であると評価していることが読み取れます。しかし「座るのが怖い」という表現には、疼痛に対する不安や恐怖心も含まれており、この心理的側面を含めて記述するとよいでしょう。また、解熱鎮痛薬が頓用で処方されており、産褥1日目と2日目にそれぞれ1回使用している事実は、本人が疼痛を適切に評価し、必要時には薬剤を使用するという健康管理行動を取れていることを示しています。
悪露に関しては、現在赤色悪露で中等量、凝血塊の混入がなく正常な経過をたどっていますが、褥婦本人が悪露の正常・異常を判断できる知識を持っているかどうかは、事例からは明確ではありません。産褥期の悪露の変化は子宮復古の重要な指標であり、退院後も自己観察が必要となるため、本人の理解度を評価し記載することが重要です。
服薬管理と治療への理解
現在、抗菌薬、子宮収縮薬、鉄剤が処方されており、それぞれ会陰縫合部の感染予防、子宮復古の促進、軽度貧血の改善という明確な目的があります。褥婦がこれらの薬剤の目的と重要性を理解し、適切に服薬できているかという点を考慮してアセスメントするとよいでしょう。特に授乳婦であることから、服薬が児に与える影響について不安を持っている可能性もあり、その点についての理解度も重要な情報となります。
軽度の貧血(Hb10.8g/dl)が認められていますが、これが分娩時の出血による生理的範囲内の低下であることを本人が理解しているかどうか、また貧血が産褥期の回復や育児に与える影響についてどの程度認識しているかという視点でアセスメントすることが大切です。
既往歴と健康リスク因子
既往歴として特記すべき疾患がなく、感染症スクリーニングも全て陰性であったことは、産褥期の回復を促進する重要な背景因子です。妊娠前からの健康管理行動がどのように行われていたか、妊娠中の定期健診の受診状況や生活習慣の調整などについて、事例に記載がない部分ではありますが、これまでの健康管理能力を推測する材料として考えるとよいでしょう。
喫煙や飲酒などの健康リスク因子についての記載はありませんが、これらの情報は授乳期の健康管理や児の健康にも関わる重要な要素です。アセスメントにおいては、情報が不足している場合、さらに情報収集が必要な項目として認識することも大切です。
アセスメントの視点
健康知覚-健康管理パターンのアセスメントでは、初産婦が正常分娩後の身体変化を適切に認識し、必要なセルフケアを実践できる能力を持っているかという視点が重要です。「無事に産まれてきてくれて本当に嬉しい」という発言からは分娩の成功体験が表出されていますが、一方で「ちゃんと育てられるか不安です」という発言からは、今後の育児に対する不安も同時に存在していることが読み取れます。
産褥期の正常な身体変化(微熱、悪露、会陰部痛、後陣痛など)と異常な徴候を区別する知識が十分にあるか、また退院後の生活において自己観察と適切な健康管理行動を継続できるかという点を、本人の発言や行動から多角的に評価することが求められます。授乳婦として母子双方の健康を維持するために必要な知識と実践能力の獲得状況を、産褥5日目の退院までの限られた期間で評価し、必要な指導内容を明確にすることが重要でしょう。
ケアの方向性
このパターンから導かれる看護ケアの方向性として、まず産褥期の正常な身体変化と異常徴候の区別について、具体的な観察ポイントを含めた保健指導を行うことが挙げられます。特に悪露の色や量の変化、子宮復古の進行、会陰部の治癒過程など、退院後も継続して自己観察が必要な項目について、本人が理解しやすい言葉で説明することが大切です。
また、現在処方されている薬剤の目的と重要性、授乳への影響について、本人の理解度を確認しながら情報提供を行うことも重要です。軽度貧血に対する鉄剤内服の継続や、栄養摂取の重要性についても、授乳に伴うエネルギー消費の増加という観点から説明するとよいでしょう。退院後の2週間健診や1か月健診の重要性を伝えるとともに、異常を感じた際の相談先や受診のタイミングについても具体的に指導し、本人が適切な健康管理行動を取れるよう支援することが求められます。
2. 栄養-代謝パターンのポイント
このパターンでは、産褥期における母体の栄養状態と水分バランス、授乳に必要な栄養摂取の充足度、さらに会陰縫合部の創傷治癒に影響を与える代謝状態を評価します。授乳婦は通常時よりも多くのエネルギーと栄養素を必要とするため、適切な栄養摂取が母体の回復と母乳分泌の確立、創傷治癒に重要な役割を果たします。
どんなことを書けばよいか
栄養-代謝パターンでは、以下のような視点からアセスメントを行います。
- 食事と水分の摂取量と摂取方法
- 食欲、嗜好、食事に関するアレルギー
- 身長・体重・BMI・必要栄養量・身体活動レベル
- 嚥下機能・口腔内の状態
- 嘔吐・吐気の有無
- 皮膚の状態、褥瘡の有無
- 栄養状態を示す血液データ(Alb、TP、RBC、Ht、Hb、Na、K、TG、TC、HbA1c、BSなど)
食事摂取状況と食欲の評価
産褥1日目の昼食から全粥食を開始し、毎食ほぼ全量摂取できている点は、消化機能が良好に保たれており、食欲も十分にあることを示しています。本人の「お腹が空いて仕方ない」という発言は、授乳に伴うエネルギー消費の増加を身体が認識している表れとも考えられ、この点を踏まえて栄養必要量の評価を行うとよいでしょう。
間食として牛乳やヨーグルトなどの乳製品を追加摂取している事実は、授乳婦として必要な栄養素、特にカルシウムやタンパク質の補給を意識的に行っていることを示しています。乳製品は母乳分泌を促進する効果も期待でき、またカルシウムは授乳により母体から喪失しやすい栄養素であるため、この選択は適切と言えます。ただし、事例からは妊娠中の体重増加が9.5kgと記載されているものの、現在の体重や身長、BMIについての具体的な数値が示されていないため、産褥期の適切な体重変化を評価するためには、これらの情報も必要となります。
水分摂取とバランス
水分摂取が1日1,500ml程度と記載されていますが、授乳婦の水分必要量は通常成人よりも多く、一般的には2,000〜2,500ml程度が推奨されます。現在の摂取量が十分かどうかを評価する際には、尿量、皮膚の乾燥状態、母乳分泌量などを総合的に判断する必要があります。排尿が3〜4時間ごとに200〜300ml程度と規則的にあることから、現時点での水分バランスは保たれていると考えられますが、今後母乳分泌が増加するにつれて、さらなる水分摂取の増加が必要になる可能性を考慮してアセスメントするとよいでしょう。
栄養状態を示す血液データの解釈
ヘモグロビン値が10.8g/dlと軽度の低値を示しており、分娩前の12.5g/dlから約1.7g/dlの低下が認められています。分娩時の出血量が380ml、分娩後2時間で150mlと合計530mlであることを考えると、この程度の低下は生理的範囲内と判断されますが、貧血が産褥期の回復や授乳に与える影響を考慮する必要があります。貧血状態では易疲労感や倦怠感が出現しやすく、育児への意欲や体力にも影響を与える可能性があるため、この点を意識してアセスメントすることが重要です。
白血球数が12,500/μlと高値を示していますが、CRP陰性であることから感染症は否定的であり、分娩に伴う生理的な上昇と判断されています。総蛋白6.5g/dl、アルブミン3.8g/dlとやや低値を示している点は、妊娠・分娩に伴う生理的変化の範囲内ではありますが、創傷治癒や母乳分泌にはタンパク質が重要な役割を果たすため、今後の栄養摂取において良質なタンパク質の確保が必要であることを考慮してアセスメントに含めるとよいでしょう。
創傷治癒と代謝状態
会陰切開創および第2度会陰裂傷の縫合部について、発赤・腫脹は軽度であり、離開や感染徴候を認めていないことは、創傷治癒が順調に進んでいることを示しています。創傷治癒には十分な栄養摂取、特にタンパク質、ビタミンC、亜鉛などが重要な役割を果たすため、現在の食事摂取状況が創傷治癒を支える上で適切かという視点でアセスメントすることが大切です。
抗菌薬を内服していることから感染予防が図られており、また全身状態も安定していることから、創傷治癒に必要な代謝環境は整っていると考えられます。ただし、軽度の貧血や血清タンパク値のやや低値という状態が、今後の創傷治癒の速度に影響を与える可能性も考慮する必要があります。
授乳と栄養摂取の関連
授乳について「おっぱいがうまく吸わせられなくて」という発言があり、現時点で授乳技術が確立していない状況が窺えます。母乳分泌を促進し、質の良い母乳を産生するためには、授乳婦として必要な栄養摂取が不可欠です。特に初乳から移行乳、そして成乳へと変化していく過程において、母体の栄養状態が母乳の成分に影響を与えることを考慮してアセスメントするとよいでしょう。
現在の食欲が良好であり、乳製品も追加摂取していることは、母乳分泌にとって好ましい状況です。しかし、睡眠不足や疲労の蓄積が食欲や栄養摂取に影響を与える可能性もあるため、今後の経過を注意深く観察していく必要があります。
アセスメントの視点
栄養-代謝パターンのアセスメントでは、産褥期の母体回復、授乳の確立、創傷治癒という三つの観点から、現在の栄養摂取と代謝状態が適切かを評価することが重要です。食欲が良好で食事摂取量も十分であることは、これらの目的を達成する上で基盤となる重要な情報です。
一方で、軽度の貧血や血清タンパク値のやや低値という状態は、今後の回復過程において注意を要する点です。授乳に伴うエネルギー消費の増加、創傷治癒に必要な栄養素の需要増加を考慮すると、現在の栄養摂取を継続するとともに、必要に応じてさらなる栄養強化が必要になる可能性も視野に入れてアセスメントすることが求められます。また、水分摂取量が授乳婦として十分かどうかについても、今後の母乳分泌の確立状況を見ながら評価を続けることが大切でしょう。
ケアの方向性
このパターンから導かれる看護ケアの方向性として、まず授乳婦として必要な栄養素とエネルギー量について、具体的な食事内容を含めた栄養指導を行うことが挙げられます。特にタンパク質、鉄分、カルシウム、ビタミン類の重要性と、それらを含む食品について、本人が理解しやすい形で情報提供することが大切です。
軽度貧血に対しては、鉄剤の内服継続とともに、食事からの鉄分摂取を促進するための具体的なアドバイスを行うことが重要です。鉄分の吸収を促進するビタミンCを含む食品との組み合わせや、吸収を阻害する成分との関係についても説明するとよいでしょう。水分摂取については、母乳分泌の確立に伴って必要量が増加することを説明し、意識的な水分補給の重要性を伝える必要があります。
また、退院後の食事準備や栄養管理について、実母のサポートがあることは強みですが、本人自身が授乳期の栄養管理の知識を持つことも重要です。創傷治癒を促進する栄養素についても情報提供し、会陰部の早期治癒を支援することが求められます。
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