本記事では、看護師の思考プロセスを詳しく解説します。
実際の臨床では患者さんごとに状況が異なりますが、「わたしならどう考えるか」を具体的に示すことで、あなた自身の考える力を育てることを目指します。
この記事を参考に思考プロセスを学び、看護過程が得意になってもらえたら嬉しいです。
それでは、見ていきましょう。
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免責事項
本記事は教育・学習目的の情報提供です。事例は完全なフィクションであり、個別の診断・治療の根拠ではありません。実際の看護実践は患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください。本記事をそのまま課題として提出しないでください。内容の完全性・正確性は保証できず、本記事の利用により生じた損害について一切の責任を負いません。
今回の事例
4歳男児が5日間持続する高熱と全身症状を主訴に来院し、川崎病と診断された。診断当日に免疫グロブリン大量療法を開始し、現在は急性期治療の効果判定と冠動脈合併症の予防的管理を行っている段階である。入院3日目の時点で解熱傾向を認めているが、炎症反応の推移と冠動脈病変の有無について慎重な経過観察が必要とされている。
診断と既往
現病名は川崎病であり、診断基準を満たす主要症状として5日間以上の発熱、両側眼球結膜充血、口唇の発赤・亀裂、いちご舌、全身の不定形発疹、手足の硬性浮腫を認めた。既往歴に特記すべき疾患はなく、出生時から定期健診で異常を指摘されたことはない。アレルギー歴も認めていない。
現在の治療は免疫グロブリン療法(IVIG 2g/kg単回投与)を入院初日に実施し、アスピリン療法(抗炎症量30mg/kg/日を3回に分けて経口投与)を併用している。入院時から持続的な心電図モニタリングを行い、冠動脈病変の早期発見に努めている。
現在の状態
入院からの経過として、入院初日(発症6日目、12月10日)に免疫グロブリン療法を12時間かけて点滴静注で投与した。投与中は特に副作用を認めず、バイタルサインも安定していた。入院2日目(12月11日)には体温が38.5℃台まで低下し、不機嫌さも軽減傾向を示した。入院3日目(12月12日、介入日)の朝には体温37.2℃まで下がり、眼球結膜充血や口唇の発赤も軽度改善を認めている。
バイタルサインは体温37.2℃、血圧92/58mmHg、脈拍108回/分・整、呼吸数28回/分、SpO2 98%(room air)である。心音は整で雑音なく、呼吸音も清明である。
食事については入院当初は食欲不振が著明で水分摂取のみであったが、解熱傾向とともに幼児食を5割程度摂取できるようになってきた。排泄は自然排尿・排便があり、尿量も適切に保たれている。睡眠は夜間の不眠や啼泣が軽減し、午前と午後に各1時間程度の昼寝をとっている。
ADLについては、発熱と手足の浮腫により活動性が低下しており、ベッド上で過ごすことが多い。移動は母親の抱っこや車椅子での移動が中心である。セルフケアは年齢相応の発達段階にあったが、現在は倦怠感のため母親の全面的な介助を要している。転倒歴は入院後認めていないが、ふらつきがあるため常に見守りが必要である。
検査と治療
入院時の血液検査では白血球数18,500/μL(基準値4,000-10,000)、CRP 8.5mg/dL(基準値0.3以下)、血小板数52万/μL(基準値15-40万)と著明な炎症反応の亢進と血小板増多を認めた。AST 65 U/L、ALT 78 U/Lと軽度の肝機能障害も併存していた。Na 135mEq/L、アルブミン3.2g/dLと軽度の低ナトリウム血症と低アルブミン血症を認めた。
入院3日目の再検査ではCRP 3.2mg/dLまで低下し、白血球数も12,000/μLと改善傾向にある。血小板数は48万/μLとまだ高値を維持しているが、これは川崎病の経過として想定される範囲内である。
心エコー検査は入院初日と入院7日目、入院14日目に実施予定であり、初回検査では冠動脈の拡張や瘤形成は認めていない。心電図も正常洞調律を保っている。
内服薬はアスピリン30mg/kg/日(抗炎症量)を継続しており、解熱後は抗血小板量(3-5mg/kg/日)へ減量予定である。胃粘膜保護のためファモチジンを併用している。
今後の方針としては、炎症反応の正常化を確認後、アスピリンを抗血小板量へ減量し8週間継続する予定である。冠動脈病変の有無について定期的な心エコー検査でフォローアップを行い、退院後も外来で長期的な経過観察を継続する。
本人・家族の想い
母親は「急に高い熱が出て、目も真っ赤になって、本当に心配でした」「川崎病という病気を初めて知って、心臓に影響が出ると聞いて不安で眠れませんでした」と入院当初の不安を語っている。
入院3日目には「少し熱が下がってきて、ご飯も食べられるようになってきたので、ほっとしています」「でも、まだ手足がパンパンに腫れていて痛そうで、抱っこしても泣いてしまうんです」と症状の改善と残存する症状への心配を表現している。
本児は「おててがいたい」「おうちかえりたい」と訴えており、入院環境や身体症状による苦痛を言語化している。母親との分離不安も強く、母親が病室を離れると啼泣する様子が観察されている。
父親は仕事の合間に面会に訪れ、「息子がこんなに辛そうなのを見るのは初めてで、何もしてあげられないのが申し訳ないです」「先生から心臓の検査が大事だと聞いて、ちゃんと治るのか心配しています」と述べており、家族全体が疾患への理解と予後への不安を抱えている状況がうかがえる。
ゴードンの11の機能的健康パターンによるアセスメント
1. 健康知覚-健康管理パターンのポイント
川崎病という疾患についての本人・家族の理解度と、疾患や治療に対する受け止め方を評価することが重要です。特に小児の場合、保護者の理解度と不安の程度が治療への協力や退院後の管理に大きく影響するため、家族の健康管理能力と疾患受容のプロセスを丁寧にアセスメントする必要があります。
どんなことを書けばよいか
健康知覚-健康管理パターンでは、以下のような視点からアセスメントを行います。
- 疾患についての本人・家族の理解度(病態、治療、予後など)
- 疾患や治療に対する受け止め方、受容の程度
- 現在の健康状態や症状の認識
- これまでの健康管理行動(受診行動、服薬管理、生活習慣など)
- 疾患が日常生活に与えている影響の認識
- 健康リスク因子(喫煙、飲酒、アレルギー、既往歴など)
疾患の理解度と情報提供のニーズ
母親の「川崎病という病気を初めて知って」という発言に着目して、家族がこの疾患について初めて接する機会であったことを踏まえて記述するとよいでしょう。川崎病は一般的な小児疾患の中では比較的まれな疾患であり、突然の診断に家族が戸惑いを感じることは自然な反応です。母親が「心臓に影響が出ると聞いて」と述べている点から、冠動脈合併症という重大な予後に関する情報を受け取っていることがわかります。この情報をどの程度正確に理解しているか、また理解した上でどのような不安を抱えているかという視点でアセスメントすることが重要です。
父親も「ちゃんと治るのか心配しています」と述べており、予後への不安を言語化しています。この発言を踏まえて、家族が疾患の急性期治療と長期的な予後管理の両面について、どこまで理解できているかを評価する必要があるでしょう。免疫グロブリン療法やアスピリン療法の意味、心エコー検査の重要性、退院後の長期フォローアップの必要性などについて、家族がどの程度認識しているかを含めて記述するとよいでしょう。
症状の認識と健康状態の把握
母親が「急に高い熱が出て、目も真っ赤になって、本当に心配でした」と表現している点に注目して、症状の出現と進行を家族がどのように認識していたかを記載するとよいでしょう。5日間持続する高熱と特徴的な身体症状の変化を、保護者がどのタイミングで医療機関への受診が必要と判断したのか、その健康管理行動を評価することが大切です。
入院3日目の時点で母親が「少し熱が下がってきて、ご飯も食べられるようになってきたので、ほっとしています」と述べている点から、治療効果による症状の改善を適切に認識できていることがわかります。一方で「まだ手足がパンパンに腫れていて痛そうで」という発言は、残存する症状への注目と心配を示しており、症状の変化を細やかに観察している様子がうかがえます。この観察力の高さは、退院後の健康管理を考える上で重要な強みとなる可能性があるという視点を含めて記述するとよいでしょう。
疾患受容と心理的適応のプロセス
入院当初の「不安で眠れませんでした」という母親の発言と、入院3日目の「ほっとしています」という発言の変化に着目して、家族の心理的適応のプロセスをアセスメントすることが重要です。治療の開始と症状の改善という目に見える変化が、家族の不安を軽減させている可能性がありますが、同時に「でも、まだ〜痛そうで」という不安の継続も認められます。この二面性を踏まえて、家族が疾患と治療をどのように受け止めているか、またどの段階の受容プロセスにあるかを考察するとよいでしょう。
父親の「何もしてあげられないのが申し訳ないです」という発言には、子どもの苦痛に対する無力感と罪責感が含まれていると考えられます。この感情が疾患や治療の受容にどのような影響を与えているかという視点でアセスメントすることも大切です。家族全体が疾患への理解と予後への不安を抱えている状況において、それぞれの家族成員がどのような心理状態にあり、どのような支援を必要としているかを見極める必要があるでしょう。
既往歴と健康リスク因子の評価
既往歴に特記すべき疾患はなく、出生時から定期健診で異常を指摘されたことがない点、アレルギー歴も認めていない点を踏まえて記述するとよいでしょう。これらの情報は、これまで大きな健康問題を経験してこなかった家族にとって、今回の入院が初めての重大な健康危機である可能性を示唆しています。定期健診を受けてきたという事実は、家族の健康管理に対する意識の高さを示しており、今後の治療計画や退院指導において協力を得られる可能性が高いという視点を含めるとよいでしょう。
アセスメントの視点
このパターンでは、川崎病という初めて遭遇する疾患に対する家族の理解度、受け止め方、そして健康管理能力を統合的に評価することが重要です。母親と父親の発言からは、疾患や予後への不安を抱えながらも、症状の変化を細やかに観察し、医療者からの情報を受け止めようとする姿勢が読み取れます。これまでの健康管理行動や定期健診の受診状況は、家族の健康への関心の高さを示しており、これは今後の治療協力や退院後の長期的なフォローアップを考える上で重要な強みとなります。一方で、冠動脈合併症という重大な予後への不安が強く、この不安が家族の心理状態や療養環境に影響を与えていることも考慮する必要があります。
ケアの方向性
家族の疾患理解を促進するために、川崎病の病態、治療の意義、予後について段階的に情報提供を行い、理解度を確認しながら説明を重ねていく必要があります。特に冠動脈合併症のリスクと予防的管理の重要性について、過度な不安を与えることなく、正確な情報を伝えることが大切です。治療効果による症状改善を家族と共有し、小さな変化も肯定的に評価することで、不安の軽減と治療への信頼感を高めることができるでしょう。また、家族の観察力の高さを活かし、退院後の観察ポイントや受診のタイミングについて具体的に指導することで、長期的な健康管理への主体的な参加を促すことができます。
2. 栄養-代謝パターンのポイント
川崎病の急性期における全身炎症反応と、それに伴う食欲不振、水分代謝の変化、皮膚・粘膜の状態を総合的に評価することが重要です。また、幼児期の成長発達に必要な栄養摂取と、治療効果判定に関わる血液データの変化を関連付けてアセスメントする必要があります。
どんなことを書けばよいか
栄養-代謝パターンでは、以下のような視点からアセスメントを行います。
- 食事と水分の摂取量と摂取方法
- 食欲、嗜好、食事に関するアレルギー
- 身長・体重・BMI・必要栄養量・身体活動レベル
- 嚥下機能・口腔内の状態
- 嘔吐・吐気の有無
- 皮膚の状態、褥瘡の有無
- 栄養状態を示す血液データ(Alb、TP、RBC、Ht、Hb、Na、K、TG、TC、HbA1c、BSなど)
食事摂取状況と食欲の変化
入院当初は食欲不振が著明で水分摂取のみであったという情報と、入院3日目には幼児食を5割程度摂取できるようになってきたという変化に着目して記述するとよいでしょう。この食欲の回復は解熱傾向と並行して認められており、全身状態の改善を反映していると考えられます。4歳という年齢を考慮すると、通常であれば成長に必要な十分なエネルギーと栄養素を摂取できる時期ですが、急性期の炎症反応と発熱により代謝亢進状態にあることを踏まえて、現在の摂取量が必要量に対してどの程度充足しているかを評価する必要があるでしょう。
母親が「ご飯も食べられるようになってきた」と安堵している点から、食事摂取の改善が家族にとっても回復の指標として認識されていることがわかります。一方で5割程度という摂取量は、まだ十分とは言えない状態です。この段階での食事摂取を促進するためには、本児の嗜好や食べやすい形態、環境の整備などを考慮する必要があります。また、口唇の発赤・亀裂、いちご舌といった口腔内の症状が食事摂取に影響を与えている可能性についても検討するとよいでしょう。
水分代謝と電解質バランス
入院当初は水分摂取のみであった状態から、徐々に食事摂取が可能になってきている経過を踏まえて、水分摂取量と尿量のバランスを評価することが重要です。事例では排尿は自然にあり、尿量も適切に保たれているとされていますが、血液検査でNa 135mEq/Lと軽度の低ナトリウム血症を認めている点に注目する必要があります。
この低ナトリウム血症は、川崎病の急性期における全身炎症反応に伴う抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)の可能性や、水分摂取量と電解質摂取のバランスの問題を示唆している可能性があります。また、免疫グロブリン大量療法は12時間かけて点滴静注で投与されており、この治療による水分負荷が体液バランスに影響を与えていないかという視点でもアセスメントする必要があるでしょう。手足の硬性浮腫という症状も、水分代謝の異常を反映している可能性があるため、浮腫の程度と経時的変化、体重の推移を含めて評価するとよいでしょう。
炎症反応と栄養状態の指標
血液検査でアルブミン3.2g/dLと軽度の低アルブミン血症を認めている点に着目して記述するとよいでしょう。アルブミンは栄養状態を反映する指標であると同時に、炎症反応の影響を受ける急性期蛋白でもあります。川崎病の急性期では全身性の血管炎により血管透過性が亢進し、アルブミンが血管外へ漏出することで低アルブミン血症をきたすことが知られています。
入院時のCRP 8.5mg/dLという高値な炎症反応を考慮すると、この低アルブミン血症は急性期の炎症反応を反映している可能性が高いと考えられます。入院3日目にはCRP 3.2mg/dLまで低下しており、炎症反応の改善とともにアルブミン値も回復していく可能性があります。この変化を経時的にモニタリングし、栄養状態の改善を評価していく必要があるという視点を含めるとよいでしょう。また、AST 65 U/L、ALT 78 U/Lという軽度の肝機能障害も、川崎病の急性期に認められる所見であり、これが栄養代謝にどのような影響を与えているかを考察することも重要です。
皮膚・粘膜の状態と炎症症状
川崎病の主要症状として、口唇の発赤・亀裂、いちご舌、全身の不定形発疹が認められている点を踏まえて記述するとよいでしょう。これらの皮膚・粘膜症状は栄養・代謝パターンにおいて重要な評価項目です。入院3日目には眼球結膜充血や口唇の発赤も軽度改善を認めているとされており、治療効果により粘膜症状が改善傾向にあることがわかります。
口唇の発赤・亀裂は、食事摂取時の痛みや不快感の原因となる可能性があり、これが食欲不振を助長している要因の一つと考えられます。また、いちご舌という舌の状態も、味覚や食感に影響を与えている可能性があります。これらの口腔内症状が改善することで、食事摂取がさらに促進される可能性があるという視点でアセスメントするとよいでしょう。全身の不定形発疹については、皮膚の状態や掻痒感の有無、皮膚の完全性が保たれているかという観点から評価することが重要です。
手足の硬性浮腫と皮膚の変化
手足の硬性浮腫は川崎病の特徴的な症状であり、母親が「まだ手足がパンパンに腫れていて痛そうで」と述べている点に注目して記述するとよいでしょう。この浮腫は、血管炎による血管透過性亢進と組織への水分貯留によるものと考えられます。浮腫により皮膚が緊満し、触れると痛みを伴うことが、本児の「おててがいたい」という訴えにつながっていると推察されます。
この浮腫の程度と経時的な変化を観察することは、治療効果の判定にも役立ちます。また、急性期を過ぎると指趾端から膜様落屑が始まることが知られており、この時期の皮膚ケアについても考慮する必要があります。浮腫による皮膚の緊満状態は、皮膚の脆弱性を高める可能性があるため、スキンケアや圧迫の予防という視点も含めて評価するとよいでしょう。
アセスメントの視点
このパターンでは、川崎病の急性期における全身炎症反応が栄養・代謝状態にどのような影響を与えているかを統合的に評価することが重要です。食欲不振から徐々に食事摂取が可能になってきている経過は、治療効果による全身状態の改善を示していますが、まだ摂取量は不十分な状態です。低アルブミン血症、軽度の低ナトリウム血症、肝機能障害といった検査所見は、炎症反応の影響を反映しており、これらが改善していくことで栄養・代謝状態も正常化していくと予測されます。口唇の発赤・亀裂やいちご舌といった口腔内症状、手足の硬性浮腫といった皮膚症状は、食事摂取や快適性に影響を与えており、これらの症状緩和も含めた包括的なアプローチが必要です。
ケアの方向性
食事摂取を促進するために、本児の嗜好や食べやすい形態を考慮し、少量ずつ頻回に提供する工夫が必要です。口腔内症状による痛みや不快感を軽減するため、刺激の少ない食品選択や口腔ケアの実施が重要でしょう。水分摂取については、電解質バランスを考慮しながら適切な量を確保し、尿量や浮腫の状態をモニタリングしていく必要があります。炎症反応の推移と栄養状態の指標を継続的に評価し、回復期に向けて十分な栄養摂取が可能となるよう支援することが大切です。また、手足の浮腫に対しては、皮膚の観察とスキンケアを行い、快適性の向上と皮膚トラブルの予防に努めることが求められます。
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ゴードンの続きとヘンダーソン・関連図・看護計画について解説しています😊



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