疾患概要
定義
胆石症とは、胆汁の成分が固まって結石を形成し、胆道系(胆嚢、胆管)に存在する疾患です。結石ができる部位により、胆嚢結石症(最も多い)、総胆管結石症、肝内結石症に分類されます。結石があっても症状がない場合を無症状胆石症といい、腹痛などの症状が出現した場合を症候性胆石症といいます。また、胆石により胆嚢に炎症が起きた状態を胆嚢炎といい、緊急性の高い合併症です。
疫学
日本における胆石症の有病率は成人の約10%とされ、年齢とともに増加します。70歳代では約20%に達します。男女比はやや女性に多く、特に中年以降の女性に好発します。欧米では肥満との関連が強調されますが、日本では必ずしも肥満でない方にも多くみられます。近年、食生活の欧米化や高齢化に伴い、胆石症の患者数は増加傾向にあります。
無症状胆石症の方が全体の約70〜80%を占め、多くは健康診断の超音波検査で偶然発見されます。症状が出現するのは年間約2〜3%程度で、一度症状が出ると繰り返す傾向があります。
原因
胆石の形成には複数の要因が関与しています。
コレステロール結石の危険因子
日本人の胆石の約70〜80%はコレステロール結石です。形成には、胆汁中のコレステロールの過飽和状態が関与します。危険因子として、肥満、高カロリー・高脂肪食、急激な体重減少、女性ホルモン(妊娠、経口避妊薬)、加齢、遺伝的素因などがあります。「5F」として覚えられることもあります:Female(女性)、Forty(40歳代)、Fatty(肥満)、Fair(白色人種)、Fecund(多産婦)。ただし日本人では必ずしもこの5Fには当てはまらない例も多くみられます。
色素結石の危険因子
ビリルビン結石は、溶血性貧血や胆道感染により形成されます。また、胆汁うっ滞や胆道の通過障害も結石形成を促進します。
病態生理
胆石の形成メカニズムは、結石の種類によって異なります。
コレステロール結石の形成
肝臓で作られる胆汁には、コレステロール、胆汁酸、レシチンが含まれています。通常、コレステロールは胆汁酸とレシチンにより溶解された状態で保たれています。しかし、コレステロールが過剰になったり、胆汁酸やレシチンが減少したりすると、バランスが崩れてコレステロールが析出し、結晶化します。この結晶が核となり、徐々に大きくなって結石となります。
胆嚢の運動機能が低下すると、胆汁が停滞し、結石形成が促進されます。妊娠や絶食時には胆嚢の収縮が減少するため、胆石のリスクが高まります。
色素結石の形成
ビリルビンカルシウム結石は、主に胆道感染や溶血性疾患で形成されます。細菌感染により胆汁中のビリルビンが変化し、カルシウムと結合して結石となります。
症状発現のメカニズム
胆石があっても、胆嚢内に静かに留まっている限りは症状が出ません。しかし、結石が胆嚢管や総胆管に嵌頓すると、胆汁の流れが妨げられ、胆道内圧が上昇します。これにより、激しい右上腹部痛(胆石発作、胆道仙痛)が起こります。
結石により胆嚢管が閉塞したまま放置されると、胆嚢内に胆汁が貯留し、細菌感染を起こして急性胆嚢炎に進展します。胆嚢壁は浮腫と炎症により肥厚し、壊死や穿孔を起こすこともあります。
総胆管結石では、胆汁の十二指腸への流出が障害され、閉塞性黄疸が生じます。また、膵管の出口も閉塞すると、膵液が膵臓内に逆流し、急性膵炎を合併することがあります。これは胆石症の重大な合併症です。
さらに、胆管が閉塞して胆汁がうっ滞すると、細菌が増殖しやすくなり、胆管炎を起こします。重症化すると、細菌や毒素が血液中に入り、敗血症を引き起こし、生命に関わる状態となります。
症状・診断・治療
症状
無症状胆石症
多くの胆石症は無症状で、健康診断の超音波検査などで偶然発見されます。自覚症状がないため、患者さん自身は病気があることに気づいていません。
胆石発作(胆道仙痛)
胆石が胆嚢管や総胆管に嵌頓すると、激しい右上腹部痛が突然出現します。痛みは右肩や背中に放散することが特徴的です。痛みは持続的で、数時間続くこともあります。多くは脂肪の多い食事の後や夜間から早朝に起こりやすい傾向があります。これは、食事により胆嚢が収縮し、結石が移動するためです。
痛みに伴い、悪心、嘔吐、冷汗を伴うことが多く、患者さんは非常に苦痛を感じます。結石が移動して閉塞が解除されると、痛みは自然に軽減します。
急性胆嚢炎の症状
胆嚢管が閉塞し、炎症が加わると、持続的な右上腹部痛、発熱、悪心、嘔吐が出現します。右上腹部を圧迫すると強い痛みがあり、深呼吸により痛みが増強します(マーフィー徴候陽性)。重症化すると、腹膜刺激症状として筋性防御がみられ、全身状態が悪化します。
黄疸
総胆管結石により胆汁の流れが完全に閉塞すると、ビリルビンが血液中に逆流し、閉塞性黄疸が生じます。皮膚や眼球結膜が黄色くなり、尿は濃い褐色となり、便は白っぽい色(灰白色便)になります。また、皮膚の掻痒感も伴います。
胆管炎の症状
総胆管結石に感染が加わると、Charcot三徴と呼ばれる特徴的な症状が出現します:発熱・悪寒戦慄、黄疸、右上腹部痛の3つです。さらに重症化すると、ショック症状や意識障害を加えたReynolds五徴となり、緊急治療が必要です。
診断
血液検査
急性胆嚢炎では、白血球増多、CRP上昇などの炎症所見がみられます。総胆管結石による閉塞性黄疸では、ビリルビン、ALP、γ-GTPの上昇が特徴的です。AST、ALTも上昇することがありますが、肝炎ほど高値にはなりません。胆管炎を合併すると、炎症マーカーが著明に上昇し、敗血症では血液培養が陽性となります。
画像検査
腹部超音波検査は、胆石症の診断において最も有用な検査です。胆嚢内の結石は、音響陰影を伴う高輝度エコーとして描出されます。体位変換により結石が移動する様子も観察できます。また、胆嚢壁の肥厚、胆嚢周囲の液体貯留など、胆嚢炎の所見も評価できます。
CT検査は、胆嚢や胆管の状態、周囲臓器への炎症の波及、合併症の有無を評価するのに有用です。ただし、コレステロール結石はCTで描出されないこともあります。
MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)は、造影剤を使わずに胆道系を立体的に描出でき、総胆管結石の診断に非常に有用です。胆管の走行や結石の位置を詳細に評価できます。
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)は、内視鏡を十二指腸まで挿入し、胆管にカテーテルを入れて造影する検査です。診断だけでなく、総胆管結石の摘出などの治療も同時に行えますが、急性膵炎などの合併症リスクがあります。
治療
無症状胆石症の治療方針
無症状の胆石症は、基本的には経過観察となります。ただし、胆嚢癌のリスクが高い場合(胆嚢壁の石灰化、大きな結石、胆嚢ポリープ合併など)や、症状が出るリスクが高い場合は、予防的手術を検討することもあります。
症候性胆石症の治療
症状がある胆石症では、手術による胆嚢摘出術が第一選択となります。現在では、腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準術式で、開腹手術に比べて侵襲が少なく、入院期間も短くて済みます。通常、3〜4カ所の小さな穴から器具を挿入し、胆嚢を摘出します。手術時間は1〜2時間程度で、術後2〜3日で退院できることが多いです。
炎症が高度な場合や癒着が強い場合は、開腹手術に移行することもあります。
急性胆嚢炎の治療
急性胆嚢炎では、まず絶飲食とし、輸液、抗菌薬投与、鎮痛薬による保存的治療を行います。炎症が軽度であれば、炎症が落ち着いてから待機的に手術を行います。しかし、重症例では早期手術(発症後72時間以内)が推奨されることもあります。
非常に重症で手術が困難な場合は、経皮的に胆嚢にドレナージチューブを挿入し、胆汁を体外に排出する経皮経肝胆嚢ドレナージが行われることもあります。
総胆管結石の治療
総胆管結石では、まずERCPにより内視鏡的に結石を摘出します。十二指腸乳頭部を切開し(内視鏡的乳頭括約筋切開術:EST)、バスケットカテーテルやバルーンカテーテルで結石を取り出します。その後、胆嚢結石があれば腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。
胆管炎の治療
急性胆管炎、特に重症例では緊急の胆道ドレナージが必要です。ERCPにより胆管にステントを留置したり、経鼻的に胆管ドレナージチューブを挿入したりします。同時に、強力な抗菌薬投与と全身管理を行います。
看護アセスメント・介入
よくある看護診断・問題
- 急性疼痛
- 感染リスク状態
- 体液量不足リスク状態
- 栄養摂取消費バランス異常
- 不安
ゴードン機能的健康パターン
栄養・代謝パターン
胆石症患者さん、特に急性胆嚢炎では、腹痛、悪心、嘔吐により経口摂取が困難となります。また、脂肪の多い食事が症状を誘発するため、食事内容に注意が必要です。術前は絶飲食となり、輸液管理が中心となります。術後は段階的に経口摂取を再開しますが、最初は低脂肪食から開始し、徐々に通常食へ移行します。退院後も、しばらくは脂肪の多い食事を避けるよう指導します。
黄疸がある場合は、掻痒感により不快感が増し、食欲もさらに低下します。皮膚のケアと掻痒感の軽減が重要です。
活動・運動パターン
急性期は安静が必要ですが、術後は早期離床が推奨されます。腹腔鏡下手術は侵襲が少ないため、術後数時間から歩行が可能です。早期離床により、術後合併症(肺炎、深部静脈血栓症など)を予防できます。ただし、疼痛により活動が制限されることもあるため、鎮痛薬の適切な使用と、患者さんのペースに合わせた離床支援が大切です。
排泄パターン
閉塞性黄疸では、ビリルビンが尿中に排泄されるため、濃い褐色尿(ウーロン茶様)となります。また、胆汁が腸管に流れないため、便の色が白っぽくなります(灰白色便)。これらの変化は病態を反映する重要な観察ポイントです。
術後は、腹腔内にドレーンが留置されることが多く、排液の性状、量、色を観察します。胆汁漏れがあると、黄緑色の排液がみられます。
ヘンダーソン14基本的ニード
正常に飲食する
胆石発作や急性胆嚢炎では、腹痛と悪心により食欲が著しく低下します。急性期は絶飲食となり、このニードは満たされません。患者さんは口渇や空腹を訴えることがありますが、胆嚢を刺激しないために絶飲食を守る必要があることを説明します。含嗽により口腔内を潤し、不快感を軽減します。
術後の経口摂取再開時は、患者さんの不安を軽減し、低脂肪で消化のよい食事から段階的に進めます。退院後の食事指導も重要で、脂肪の多い食事(揚げ物、脂身の多い肉、バター、生クリームなど)を避けるようアドバイスします。
身体を動かし、望ましい肢位を保持する
術後の早期離床は、合併症予防と回復促進のために非常に重要です。しかし、腹部の創痛により、患者さんは動くことを躊躇することがあります。鎮痛薬を適切に使用し、創部を保護しながら体位変換や歩行を支援します。「痛いから動かない方がよい」という誤解を解き、早期離床の利点を説明することが大切です。
身体の清潔を保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
黄疸による掻痒感は、患者さんにとって非常に苦痛です。皮膚を清潔に保ち、保湿剤を使用して乾燥を防ぎます。爪を短く切り、掻き壊しによる皮膚損傷と感染を予防します。冷罨法や制痒薬の使用も検討します。
術後は、創部の観察とケアが重要です。創部の発赤、腫脹、浸出液、離開の有無を確認し、感染徴候の早期発見に努めます。
自分の感情、欲求、恐怖、あるいは気分を表現してコミュニケーションをとる
胆石発作の激しい痛みは、患者さんに強い不安と恐怖をもたらします。「また痛くなるのではないか」「手術は怖い」といった不安を傾聴し、共感的に対応します。手術に関する情報を分かりやすく提供し、不安の軽減を図ります。また、術後の回復の見通しを伝えることで、希望を持てるよう支援します。
看護計画・介入の内容
- 疼痛コントロール: 痛みの部位、性質、程度をペインスケールで評価し、鎮痛薬を確実に投与する。前傾位など楽な体位の工夫も行う
- バイタルサインの監視: 発熱、頻脈、血圧低下などの感染徴候やショック徴候を早期発見する。特に胆管炎では敗血症のリスクが高いため、注意深く観察する
- 腹部症状の観察: 腹痛の程度と部位、腹部膨満、筋性防御、腸蠕動音、悪心・嘔吐の有無と程度を継続的に評価する
- 黄疸の観察: 眼球結膜と皮膚の黄染の程度を観察し、ビリルビン値の推移と照らし合わせる
- 尿・便の性状観察: 尿の色(褐色尿)、便の色(灰白色便)を観察し、胆汁の流れの状態を評価する
- 掻痒感のケア: 保湿剤の使用、冷罨法、爪の管理により掻痒感を軽減し、掻き壊しを予防する
- 輸液管理: 絶飲食中の輸液量と速度を確実に管理し、脱水を予防する。電解質バランスも監視する
- 検査データの確認: 白血球、CRP、ビリルビン、肝機能、腎機能、凝固能などを定期的に確認し、病態の変化を把握する
- 感染予防と早期発見: 創部の観察、体温測定、炎症反応のモニタリングにより、感染を早期に発見する。ドレーンがある場合は、挿入部の観察と清潔管理を徹底する
- ドレーン管理: 排液の量、性状、色を観察し、記録する。胆汁漏れの徴候(黄緑色の排液)に注意する。ドレーンの屈曲や閉塞を防ぎ、固定を確認する
- 早期離床の促進: 術後の早期離床の重要性を説明し、患者さんのペースに合わせて歩行を支援する。深呼吸や咳嗽の指導も行い、呼吸器合併症を予防する
- 経口摂取の再開支援: 医師の指示に従い、水分摂取から開始し、段階的に食事を進める。摂取後の腹痛や悪心の有無を確認する
- 退院指導: 創部の管理方法、食事の注意点(低脂肪食)、日常生活の過ごし方、症状出現時の対応、外来受診のタイミングなどを具体的に説明する
- 心理的サポート: 痛みや手術への不安を傾聴し、情報提供により不安を軽減する。術後の回復過程を説明し、前向きな気持ちを支援する
よくある疑問・Q&A
Q: 胆石があっても症状がない人は、手術しなくても大丈夫ですか?
A: 無症状胆石症の場合、基本的には経過観察となり、すぐに手術する必要はありません。胆石があっても、一生症状が出ない方も多くいます。症状が出る確率は年間約2〜3%程度です。ただし、一度症状が出ると繰り返しやすく、急性胆嚢炎や胆管炎などの合併症を起こすリスクもあります。そのため、症状が出た場合は手術を検討します。また、胆嚢壁の石灰化がある場合や、3cm以上の大きな結石がある場合は、胆嚢癌のリスクが高いため、無症状でも予防的手術を勧められることがあります。定期的に検査を受け、医師と相談しながら方針を決めることが大切です。
Q: 胆石発作はなぜ脂肪の多い食事の後に起こりやすいのですか?
A: 脂肪を含む食事を摂ると、十二指腸からCCK(コレシストキニン)というホルモンが分泌されます。このホルモンは胆嚢を収縮させ、胆汁を十二指腸に送り出す働きがあります。胆汁は脂肪の消化を助けるために必要だからです。しかし、胆嚢内に結石があると、胆嚢の収縮により結石が胆嚢管に押し出され、嵌頓してしまうことがあります。結石が嵌頓すると胆汁の流れが妨げられ、胆道内圧が急激に上昇し、激しい痛み(胆石発作)が起こるのです。このため、胆石のある方は、揚げ物や脂身の多い肉など、脂肪の多い食事を避けることが勧められます。
Q: 腹腔鏡下胆嚢摘出術とは、どのような手術ですか? 開腹手術との違いは何ですか?
A: 腹腔鏡下胆嚢摘出術は、お腹に3〜4カ所の小さな穴(約5〜10mm)を開け、そこから細い器具とカメラを挿入して行う手術です。モニター画面を見ながら胆嚢を摘出します。開腹手術は、右上腹部を10〜15cm程度切開して、直接目で見ながら胆嚢を摘出する方法です。腹腔鏡手術の利点は、傷が小さいため痛みが少なく、回復が早く、入院期間が短い(2〜3日程度)、美容的にも優れているという点です。現在では、胆嚢摘出術の約95%が腹腔鏡で行われています。ただし、炎症が非常に強い場合や癒着が高度な場合は、安全のために開腹手術に変更することもあります。どちらの方法でも、胆嚢を摘出した後の生活にほとんど支障はありません。
Q: 胆嚢を摘出した後、胆汁はどうなるのですか? 消化に影響はありませんか?
A: 胆汁は肝臓で作られ、通常は一旦胆嚢に貯められて濃縮されます。食事を摂ると胆嚢が収縮し、濃縮された胆汁が十二指腸に送られます。胆嚢を摘出しても、肝臓は胆汁を作り続けます。ただし、貯蔵庫である胆嚢がなくなるため、胆汁は肝臓から直接、少しずつ十二指腸に流れるようになります。ほとんどの方は、胆嚢摘出後も普通に食事ができ、消化に大きな問題はありません。ただし、術後しばらくは、脂肪の多い食事で下痢をしやすくなることがあります。これは、胆汁の濃縮と貯蔵ができなくなったためです。通常、数ヶ月で体が慣れて、症状は改善します。それまでは、脂肪の多い食事を控えめにすることをお勧めします。
Q: 急性胆嚢炎と急性膵炎の違いは何ですか? なぜ胆石から膵炎になるのですか?
A: 急性胆嚢炎は胆嚢自体に炎症が起こる病気で、急性膵炎は膵臓に炎症が起こる病気です。どちらも胆石が原因となることがありますが、メカニズムが異なります。急性胆嚢炎は、胆石が胆嚢管に嵌頓し、胆嚢内に胆汁が貯留して細菌感染を起こすことで発症します。一方、急性膵炎は、総胆管の出口付近に結石が嵌頓すると起こります。総胆管と膵管は十二指腸に開口する直前で合流しているため、この部分に結石が詰まると、膵液が膵臓内に逆流してしまい、膵臓が自己消化されて炎症を起こすのです。急性膵炎は非常に激しい腹痛を伴い、重症化すると生命に関わるため、胆石症の重要な合併症として注意が必要です。日本では、急性膵炎の原因として、アルコールに次いで胆石が多いとされています。
まとめ
胆石症は、胆汁の成分が固まって結石を形成し、胆道系に存在する疾患です。日本人の成人約10%が胆石を持ち、中年以降の女性に多い傾向があります。多くは無症状ですが、結石が胆嚢管や総胆管に嵌頓すると、激しい右上腹部痛(胆石発作)が起こります。特に脂肪の多い食事の後に症状が出やすいのが特徴です。
重要な合併症として、急性胆嚢炎、総胆管結石による閉塞性黄疸、急性胆管炎、急性膵炎があり、いずれも緊急性の高い状態です。特に胆管炎は、Charcot三徴(発熱・悪寒戦慄、黄疸、右上腹部痛)を呈し、敗血症に進展すると生命に関わります。
診断には、腹部超音波検査が最も有用で、胆嚢内の結石を容易に描出できます。血液検査では、炎症所見や閉塞性黄疸のパターン(ビリルビン、ALP、γ-GTPの上昇)を確認します。
治療は、症状のある胆石症に対しては腹腔鏡下胆嚢摘出術が第一選択です。侵襲が少なく、術後2〜3日で退院できることが多いです。総胆管結石にはERCPによる内視鏡的摘出術を行います。
看護のポイントは、疼痛コントロール、バイタルサインと腹部症状の継続的観察、黄疸と掻痒感のケアです。急性胆嚢炎や胆管炎では、感染徴候やショック徴候の早期発見が重要です。術後は、早期離床の促進、ドレーン管理、創部の観察が看護の中心となります。
退院後の生活指導では、しばらく低脂肪食を心がけること、症状が出現した場合の対応、定期受診の重要性を説明します。胆嚢摘出後、ほとんどの方は普通の生活を送れますが、術後数ヶ月は脂肪の多い食事で下痢をしやすいことがあります。
実習では、患者さんの疼痛を適切に評価し、苦痛を最小限にするケアを心がけてください。また、検査データや画像所見から病態を理解し、合併症の早期発見につなげる観察力を養いましょう。手術を控えた患者さんの不安に寄り添い、術後の回復を支援する姿勢が大切です。胆石症は適切な治療により改善する疾患ですので、患者さんが安心して治療を受けられるよう、根拠に基づいた看護を実践していきましょう。
免責事項
本記事は教育・学習目的の情報提供です。
・一般的な医学知識の解説であり、個別の患者への診断・治療の根拠ではありません
・実際の看護実践は、患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください
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