【胸膜炎】疾患解説と看護のポイント

呼吸器科

疾患概要

定義

胸膜炎とは、肺を覆う胸膜(壁側胸膜と臓側胸膜)に炎症が起こる疾患です。胸膜は2枚の薄い膜で構成されており、壁側胸膜は胸壁の内側に、臓側胸膜は肺の表面に密着しています。この2枚の膜の間には胸膜腔という狭い空間があり、通常は少量の胸水(5〜15mL程度)が潤滑剤として存在しています。

胸膜炎は乾性胸膜炎(dry pleurisy)湿性胸膜炎(wet pleurisy)に分類されます。乾性胸膜炎は胸水の貯留がなく、胸膜の炎症のみが見られる状態です。湿性胸膜炎は炎症により胸膜腔に胸水が大量に貯留した状態で、胸膜炎イコール胸水貯留と考えられることが多いです。

胸膜炎は独立した疾患というよりも、他の疾患に伴って起こる二次的な病態であることが多く、原因疾患の診断と治療が重要です。

疫学

胸膜炎の正確な発症率は不明ですが、肺炎や結核、悪性腫瘍などに合併することが多く、日常臨床でよく遭遇する病態です。特に高齢化に伴い、悪性腫瘍に伴う胸膜炎(癌性胸膜炎)が増加傾向にあります。

年齢分布は原因疾患により異なります。若年者では感染症(細菌性肺炎、結核)や外傷に伴うものが多く、高齢者では悪性腫瘍、心不全、肺塞栓症などに伴うものが多く見られます。

性別では、結核性胸膜炎は男性にやや多く、膠原病(特に全身性エリテマトーデス)に伴う胸膜炎は女性に多い傾向があります。癌性胸膜炎は原発腫瘍の性別分布に依存します。

地域差としては、結核高蔓延国では結核性胸膜炎の頻度が高く、日本でも高齢者や免疫抑制状態の患者では結核性胸膜炎に注意が必要です。

原因

胸膜炎の原因は多岐にわたり、感染性非感染性に大別されます。

感染性胸膜炎

  • 細菌性:肺炎球菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、嫌気性菌などによる細菌性肺炎の波及が最多です。膿胸に進展することもあります
  • 結核性:結核菌感染による胸膜炎は、特に若年者や高齢者に多く見られます。結核性胸膜炎は比較的多量の胸水が貯留し、診断が重要です
  • ウイルス性:コクサッキーウイルス、エコーウイルス、インフルエンザウイルスなどが原因となります
  • 真菌性:免疫不全患者でアスペルギルスやカンジダなどによる胸膜炎が起こることがあります

非感染性胸膜炎

  • 悪性腫瘍(癌性胸膜炎):肺癌、乳癌、悪性リンパ腫、卵巣癌などの悪性腫瘍が胸膜に転移することで起こります。進行癌でよく見られ、予後不良の徴候です
  • 肺塞栓症:肺梗塞に伴い胸膜炎が起こります
  • 膠原病:全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの膠原病で胸膜炎を合併することがあります
  • 心不全:うっ血性心不全により胸水が貯留します(漏出性胸水)
  • 肝硬変、ネフローゼ症候群:低アルブミン血症により胸水が貯留します
  • 外傷:胸部外傷により血胸や胸膜炎が起こります
  • 薬剤性:一部の薬剤(メトトレキサート、アミオダロンなど)により胸膜炎が誘発されることがあります
  • 膵炎:急性膵炎や慢性膵炎で左側の胸水貯留(膵性胸水)が見られることがあります
  • 石綿肺(アスベスト曝露):アスベスト曝露により良性石綿胸水や悪性中皮腫が発症します

このように、胸膜炎の原因は非常に多様であり、原因疾患の同定が診断と治療の鍵となります。


病態生理

胸膜炎の病態は、胸膜の炎症とそれに伴う胸水の産生・貯留という過程をたどります。

正常な胸膜腔の生理

正常な状態では、胸膜腔には5〜15mL程度の胸水が存在し、呼吸運動時の摩擦を軽減する潤滑剤として機能しています。胸水は壁側胸膜から産生され、臓側胸膜とリンパ管から吸収されることで、一定量が保たれています。この産生と吸収のバランスはStarlingの法則に従い、血管内静水圧、膠質浸透圧、血管透過性によって調節されています。

乾性胸膜炎の病態

炎症の初期段階では、胸膜表面にフィブリンが沈着し、胸膜が肥厚します。この時点ではまだ胸水の貯留は少なく、または全くありません。炎症により胸膜の神経終末が刺激されるため、鋭い胸痛が特徴的です。呼吸運動により炎症を起こした胸膜同士がこすれ合うため、深呼吸や咳で痛みが増強します。聴診では胸膜摩擦音が聴取されることがあります。

湿性胸膜炎の病態

炎症が進行すると、胸膜の血管透過性が亢進し、血管から血漿成分が胸膜腔に漏出します。また、炎症により胸水の産生が増加し、リンパ管による吸収が追いつかなくなることで、胸膜腔に大量の胸水が貯留します。

胸水は漏出性胸水滲出性胸水に分類されます。

漏出性胸水は、炎症がなく、血管内静水圧の上昇(心不全)や膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症)により生じます。胸水中のタンパク質濃度が低く、比較的透明です。

滲出性胸水は、胸膜の炎症や腫瘍浸潤により血管透過性が亢進して生じます。胸水中のタンパク質濃度、LDH(乳酸脱水素酵素)が高く、細胞成分も多く含まれます。感染性胸膜炎や癌性胸膜炎は滲出性です。

Light基準という診断基準があり、以下のいずれか1つを満たせば滲出性胸水と判定されます:

  1. 胸水タンパク/血清タンパク >0.5
  2. 胸水LDH/血清LDH >0.6
  3. 胸水LDH >血清LDH正常上限の2/3

膿胸への進展

細菌性胸膜炎が治療されないと、胸水中に細菌が増殖し、膿性の胸水(膿胸)に進展します。膿胸では胸水が混濁し、pH低下、糖低下、LDH上昇が見られます。さらに進行すると、胸膜が肥厚・線維化して胸膜肥厚を形成し、肺の拡張が制限される器質化膿胸に至ることがあります。

呼吸への影響

大量の胸水が貯留すると、肺が圧迫されて虚脱し、肺の換気領域が減少します。その結果、低酸素血症や呼吸困難が生じます。また、縦隔が健側に偏位することで、心臓や大血管が圧迫され、循環動態にも影響を及ぼすことがあります。

このように、胸膜炎の病態は炎症から胸水貯留、呼吸・循環障害へと進展するため、早期診断と適切な治療が重要です。


症状・診断・治療

症状

胸膜炎の症状は、乾性か湿性か、原因疾患、胸水の量により異なります。

乾性胸膜炎の症状

  • 胸痛:最も特徴的な症状で、炎症部位に一致した鋭い、刺すような痛みです。深呼吸、咳、体動により増強し、患側を下にした側臥位で軽減することがあります
  • 呼吸困難感:痛みのため深呼吸ができず、浅く速い呼吸となります
  • 乾性咳嗽:痰を伴わない乾いた咳が出ます
  • 胸膜摩擦音:聴診で、革がこすれるような粗い音が聴取されることがあります

湿性胸膜炎の症状

  • 呼吸困難:胸水が貯留すると肺が圧迫されるため、呼吸困難が主症状となります。少量では労作時のみですが、大量貯留では安静時にも呼吸困難が出現します
  • 胸痛:胸水が貯留すると、胸膜同士が離れるため、乾性胸膜炎のような鋭い胸痛は軽減します
  • 乾性咳嗽:胸水による気管支の圧迫や刺激により咳が出ます
  • 打診で濁音:胸水が貯留している部位は打診で濁音となります
  • 呼吸音減弱:胸水貯留部位では呼吸音が減弱または消失します

原因疾患による症状

  • 感染性胸膜炎:発熱、悪寒、全身倦怠感などの感染症状を伴います
  • 結核性胸膜炎:微熱、寝汗、体重減少、食欲不振などが見られます
  • 癌性胸膜炎:原発巣の症状(咳、血痰、体重減少など)を伴い、胸水が急速に増加します
  • 心不全による胸水:呼吸困難、起坐呼吸、下腿浮腫などの心不全症状を伴います

大量胸水の症状 大量の胸水(1000mL以上)が貯留すると、高度の呼吸困難、チアノーゼ、頻呼吸、頻脈が出現します。縦隔偏位により循環動態が障害されると、血圧低下やショックに至ることもあります。

診断

胸膜炎の診断は、臨床症状、身体所見、画像検査、胸水検査を総合して行います。

胸部X線検査 最も基本的な検査で、胸水貯留の有無と量を評価します。300mL以上の胸水があれば、単純X線でも確認できます。立位では肋骨横隔膜角の鈍化(costophrenic angle blunting)が特徴的です。側臥位撮影(decubitus view)では、少量の胸水も検出できます。大量胸水では、患側の肺野全体が白く写り(白濁)、縦隔が健側に偏位します。

胸部CT検査 胸水の正確な量、分布、胸膜の肥厚、肺実質の病変、腫瘤の有無などを詳細に評価できます。少量の胸水や、胸膜の肥厚・結節も検出可能です。原因疾患(肺炎、肺癌、肺塞栓症など)の診断にも有用です。

胸部超音波検査 ベッドサイドで簡便に実施でき、少量の胸水も検出できます。胸腔穿刺の際にガイドとして使用されることも多く、安全な穿刺部位の決定に役立ちます。

胸腔穿刺と胸水検査(最も重要) 診断には胸水の性状と成分分析が不可欠です。胸腔穿刺により胸水を採取し、以下の検査を行います。

肉眼的所見

  • 透明〜淡黄色:漏出性胸水、結核性胸膜炎
  • 混濁、膿性:細菌性胸膜炎、膿胸
  • 血性:外傷、癌性胸膜炎、肺塞栓症
  • 乳糜様:乳糜胸

生化学検査

  • タンパク質、LDH:漏出性と滲出性の鑑別(Light基準)
  • 糖:細菌性胸膜炎や結核性胸膜炎では低下
  • pH:細菌性胸膜炎や膿胸ではpH<7.2
  • ADA(アデノシンデアミナーゼ):結核性胸膜炎でADA>40 IU/Lと上昇

細胞数と細胞分画

  • 好中球優位:細菌性胸膜炎
  • リンパ球優位:結核性胸膜炎、癌性胸膜炎
  • 異型細胞:癌性胸膜炎で悪性細胞が検出されます

微生物検査

  • グラム染色、培養:細菌性胸膜炎の原因菌同定
  • 抗酸菌染色、培養、PCR:結核性胸膜炎の診断

胸膜生検 胸水検査で診断が確定しない場合、特に結核性胸膜炎や癌性胸膜炎が疑われる場合は、胸膜生検を行います。CTガイド下生検や胸腔鏡下生検により、胸膜組織を採取して病理検査を行います。

治療

胸膜炎の治療は原因疾患の治療が基本です。同時に、症状緩和と合併症予防のための対症療法も行います。

原因疾患の治療

細菌性胸膜炎

  • 抗菌薬投与:原因菌に応じた適切な抗菌薬を投与します。肺炎球菌ならペニシリン系、ブドウ球菌ならセファゾリンやバンコマイシンなど
  • 胸腔ドレナージ:膿胸や大量の滲出性胸水では、胸腔ドレーンを挿入して持続的にドレナージします
  • 外科的治療:器質化膿胸では、胸膜剥皮術などの外科的治療が必要になることがあります

結核性胸膜炎

  • 抗結核薬:イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトールの4剤併用療法を6ヶ月間行います
  • 胸水ドレナージ:大量の胸水が貯留している場合は、胸腔穿刺や胸腔ドレーンで排液します
  • ステロイド:胸膜の癒着や肥厚を予防する目的で、短期間のステロイド投与が検討されることがあります

癌性胸膜炎

  • 化学療法:原発巣に応じた化学療法を行います
  • 胸膜癒着術:繰り返す胸水貯留に対し、胸腔内にタルクや抗癌剤を注入して胸膜を癒着させ、胸水の再貯留を予防します
  • 胸腔・腹腔シャント:胸膜癒着術が困難な場合、胸水を腹腔に流すシャントを留置することもあります

心不全による胸水

  • 利尿薬:フロセミドなどのループ利尿薬により体液量を減らします
  • 心不全治療:ACE阻害薬、β遮断薬などによる心不全管理

対症療法

鎮痛 乾性胸膜炎の胸痛に対しては、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が有効です。ただし、腎機能や胃腸障害に注意が必要です。強い痛みがある場合は、オピオイド鎮痛薬も使用されます。

酸素療法 低酸素血症がある場合は、酸素投与によりSpO2を90%以上に維持します。

胸腔穿刺・ドレナージ 大量の胸水により呼吸困難が強い場合は、治療的胸腔穿刺により胸水を排液し、症状を緩和します。ただし、急速に大量排液すると再膨張性肺水腫を起こすリスクがあるため、1回の排液量は1000〜1500mL程度に留めます。

安静と栄養管理 感染性胸膜炎では、安静と十分な栄養・水分摂取が回復を促進します。

治療効果の判定には、症状の改善、胸部X線での胸水減少、炎症反応(CRP、白血球数)の低下を確認します。


看護アセスメント・介入

よくある看護診断・問題

  • 急性疼痛:胸膜炎症による胸痛
  • 非効果的呼吸パターン:胸水貯留と胸痛による呼吸制限
  • ガス交換障害:胸水による肺圧迫と換気領域の減少
  • 活動耐性低下:呼吸困難と疼痛による日常生活動作の制限
  • 不安:呼吸困難と疾患への不安

ゴードン機能的健康パターン

健康知覚-健康管理パターン 多くの患者は、突然の胸痛や呼吸困難に驚き、不安を感じています。特に癌性胸膜炎の場合、悪性腫瘍の進行を意味するため、予後への不安が大きくなります。原因疾患や治療方針について、患者の理解度を確認し、不安を傾聴することが重要です。

感染性胸膜炎では、抗菌薬や抗結核薬の服薬アドヒアランスが治療成功の鍵となります。特に結核性胸膜炎では、長期治療が必要なため、服薬継続への支援が不可欠です。

活動-運動パターン 胸痛と呼吸困難により、活動耐性が著しく低下しています。深呼吸ができず、体動時に痛みが増強するため、患者は動くことを避けがちです。しかし、過度の安静は廃用症候群や肺炎のリスクを高めるため、症状に応じた適度な活動が必要です。

呼吸状態の継続的モニタリングが最重要です。呼吸数、呼吸パターン、SpO2、チアノーゼの有無、呼吸困難の程度を頻回に観察します。胸水が増加すると呼吸困難が増悪するため、症状の変化を早期に発見します。打診や聴診により、胸水の増減を評価することも大切です。

栄養-代謝パターン 感染性胸膜炎では、発熱や炎症により代謝が亢進し、エネルギー消費が増加します。食欲不振や疼痛により経口摂取が減少すると、栄養状態が悪化し、治癒が遅れます。体重測定、血清アルブミン値、総リンパ球数などで栄養状態を評価し、高カロリー・高タンパク食を提供します。

癌性胸膜炎では、悪液質により栄養状態が著しく悪化していることが多く、経口摂取が困難な場合は経腸栄養や中心静脈栄養も検討します。

睡眠-休息パターン 胸痛により、特に側臥位や仰臥位での睡眠が困難です。咳や呼吸困難も睡眠を妨げます。患者が楽な体位(多くは患側を下にした側臥位または半座位)を見つけられるよう支援し、鎮痛薬の適切な使用により睡眠を確保します。

コーピング-ストレス耐性パターン 突然の入院や治療により、患者は心理的ストレスを抱えています。特に癌性胸膜炎では、進行癌という現実に直面し、強い不安や抑うつを感じることがあります。患者の思いを傾聴し、精神的支援を提供します。必要に応じて、精神科や緩和ケアチームとの連携も検討します。

ヘンダーソン14基本的ニード

1. 正常な呼吸 胸膜炎において最も重要なニードです。胸水貯留により肺の換気が障害されるため、呼吸状態を継続的に観察します。呼吸数が増加(頻呼吸)、SpO2が低下、チアノーゼの出現、呼吸補助筋の使用などの徴候があれば、直ちに医師に報告します。

酸素療法が必要な場合は、適切な酸素流量を設定し、効果を評価します。大量胸水により呼吸困難が強い場合は、緊急で胸腔穿刺やドレナージが必要になることがあります。

2. 適切な飲食 感染性胸膜炎では、発熱と炎症により水分喪失が増加するため、十分な水分摂取が必要です。脱水を予防し、喀痰の喀出を促進するため、1日1500〜2000mL程度の水分摂取を勧めます。

食欲不振がある場合は、少量頻回食や嗜好を考慮した食事を提供します。栄養補助食品も活用し、エネルギーとタンパク質の摂取を確保します。

4. 体位の保持と変換 胸痛を軽減するため、患者が楽な体位を保持できるよう支援します。多くの場合、患側を下にした側臥位で胸痛が軽減します。これは、患側を下にすることで、炎症を起こした胸膜の動きが制限されるためです。

ただし、同一体位の長時間保持は褥瘡や肺炎のリスクとなるため、疼痛管理を行いながら、定期的な体位変換を促します。半座位も呼吸を楽にするため有効です。

8. 身体を清潔に保つ 発熱により発汗が多い場合は、こまめに清拭や寝衣交換を行います。呼吸困難や疼痛がある間は全身清拭で対応し、症状が改善したら段階的に入浴を再開します。

9. 危険の回避 胸腔穿刺やドレーン挿入後は、気胸や出血などの合併症に注意します。ドレーンが挿入されている場合は、ドレーンの屈曲や閉塞、抜去に注意し、排液量や性状を観察します。

感染性胸膜炎では、標準予防策を実施し、結核性胸膜炎の場合は空気感染予防策も追加します。

疼痛管理 胸痛は患者にとって非常に辛い症状であり、適切な疼痛管理が必須です。疼痛スケール(NRSやVAS)を用いて痛みの程度を評価し、医師と連携して鎮痛薬を適切に使用します。薬物療法だけでなく、体位の工夫、深呼吸の指導、リラクゼーションなども併用します。

14. 学習 原因疾患の病態、治療方針、予後について、患者の理解度に応じて説明します。特に結核性胸膜炎では、長期治療の必要性と服薬遵守の重要性を繰り返し指導します。

退院後の生活指導として、定期受診、服薬継続、症状悪化時の対応(呼吸困難、胸痛の増悪、発熱など)について説明します。癌性胸膜炎では、緩和ケアや在宅療養についての情報提供も重要です。

看護計画・介入の内容

  • 呼吸状態の継続的モニタリング:呼吸数、SpO2、呼吸パターン、呼吸困難の程度を定期的に観察します。胸水の増加や気胸の発症により呼吸状態が急変することがあるため、バイタルサインの変化に注意します
  • 疼痛アセスメントと管理:疼痛スケールを用いて痛みの程度、性質、増悪因子を評価します。鎮痛薬を適切なタイミングで投与し、効果を確認します。体位の工夫や温罨法なども活用し、多角的に疼痛を緩和します
  • 体位管理:患側を下にした側臥位や半座位など、患者が最も楽な体位を見つけられるよう支援します。クッションや枕を使用して安楽な姿勢を保持します。定期的な体位変換も促し、褥瘡や肺炎を予防します
  • 酸素療法の管理:低酸素血症がある場合は、医師の指示に基づき酸素投与を行います。SpO2を継続的にモニタリングし、酸素流量を調整します。酸素マスクやカニューレの装着状態も確認します
  • 胸腔ドレーンの管理:ドレーンが挿入されている場合は、排液量、性状(色、混濁度、膿性の有無)、エアリークの有無を観察します。ドレーンの屈曲や閉塞を防ぎ、挿入部の観察と消毒を行います。抜去時は気胸の発症に注意します
  • 水分・栄養管理:発熱や炎症により水分喪失が増加するため、十分な水分摂取を促します。食事摂取量を記録し、栄養状態を評価します。食欲不振がある場合は、少量頻回食や栄養補助食品を活用します
  • 感染管理:感染性胸膜炎では標準予防策を実施します。結核性胸膜炎の場合は、排菌の有無を確認し、必要に応じて空気感染予防策(N95マスク着用、陰圧個室管理)を追加します。発熱、白血球数、CRPなどの炎症反応をモニタリングし、感染の改善を評価します
  • 活動と安静のバランス:急性期は安静が必要ですが、過度の臥床は廃用症候群のリスクとなります。症状が改善してきたら、段階的に活動を促し、ADLの拡大を支援します
  • 心理的支援:呼吸困難や疼痛、原因疾患(特に癌性胸膜炎)への不安に対し、傾聴の姿勢を持って接します。患者の思いを受け止め、必要に応じて医師や心理士、緩和ケアチームと連携します
  • 退院指導:原因疾患に応じた退院指導を行います。結核性胸膜炎では服薬継続と定期受診の重要性、癌性胸膜炎では症状緩和と緊急時の対応、感染性胸膜炎では再発予防と生活習慣の改善などを説明します

よくある疑問・Q&A

Q: 胸膜炎と肺炎はどう違うのですか?

A: 肺炎は肺実質(肺胞)の炎症であり、胸膜炎は肺を覆う胸膜の炎症です。ただし、両者は密接に関連しており、肺炎が胸膜に波及すると胸膜炎を合併します。これを傍肺炎性胸水(parapneumonic effusion)と呼びます。肺炎の主症状は咳、痰、発熱ですが、胸膜炎では鋭い胸痛と呼吸困難が特徴的です。胸部X線では、肺炎は肺野の浸潤影として見えますが、胸膜炎(湿性)は肋骨横隔膜角の鈍化や胸水貯留像として確認されます。肺炎に伴う胸膜炎は、適切な抗菌薬治療と場合によってはドレナージにより改善しますが、治療が遅れると膿胸に進展するリスクがあります。

Q: 胸膜炎で胸が痛いのはなぜですか?なぜ深呼吸で痛みが増すのですか?

A: 胸膜、特に壁側胸膜には豊富な知覚神経が分布しており、炎症により神経終末が刺激されることで痛みが生じます。(ちなみに、臓側胸膜には知覚神経がほとんどないため、臓側胸膜だけの炎症では痛みは少ないです。)深呼吸や咳をすると、肺が拡張し、炎症を起こした壁側胸膜と臓側胸膜がこすれ合うため、痛みが増強します。これが胸膜炎特有の「刺すような鋭い胸痛」の理由です。湿性胸膜炎で胸水が貯留すると、胸膜同士が離れるため、このこすれがなくなり、痛みは軽減します。つまり、乾性胸膜炎では胸痛が強く、湿性胸膜炎では呼吸困難が主症状となります。

Q: 胸腔穿刺とはどのような処置ですか?痛いですか?

A: 胸腔穿刺は、胸壁から針を刺して胸膜腔に貯留した胸水を採取または排出する処置です。診断目的(胸水の性状や成分を調べる)と治療目的(大量胸水を排出して呼吸困難を緩和する)の両方で行われます。処置は局所麻酔下で行われるため、針を刺す際にチクッとした痛みはありますが、麻酔が効けば強い痛みはありません。処置中は、背中を丸めた前屈姿勢または座位で、動かないようにすることが重要です。合併症として、気胸(肺に穴が開く)、出血、感染、再膨張性肺水腫などがありますが、適切に行えば比較的安全な処置です。穿刺後は、胸部X線で気胸の有無を確認します。

Q: 胸膜炎は治りますか?後遺症は残りますか?

A: 胸膜炎の予後は原因疾患により大きく異なります。感染性胸膜炎(細菌性、ウイルス性)は、適切な抗菌薬治療により多くの場合治癒します。結核性胸膜炎も、抗結核薬を6ヶ月間しっかり服用すれば治癒可能ですが、治療が不十分だと胸膜肥厚が残り、呼吸機能が低下することがあります。膿胸に進展すると、胸膜が線維化・肥厚して器質化膿胸となり、外科的治療が必要になることもあります。癌性胸膜炎は、悪性腫瘍の進行を意味するため予後不良で、症状緩和が治療の中心となります。一般的に、早期に適切な治療を受ければ後遺症は少ないですが、膿胸や結核性胸膜炎では胸膜肥厚や癒着が残ることがあります。

Q: 胸膜炎の患者さんが「息ができない」と訴えたらどうすればいいですか?

A: まず呼吸状態を迅速に評価します。SpO2、呼吸数、呼吸パターン、チアノーゼの有無、意識レベルを確認し、バイタルサインを測定します。胸水の急速な増加や気胸の合併により呼吸困難が増悪している可能性があります。患者を楽な体位(半座位や前傾姿勢)にし、酸素投与が指示されていれば酸素流量を上げます。直ちに医師に報告し、緊急での胸腔穿刺やドレーン挿入の必要性を判断してもらいます。患者に「大丈夫ですよ」と穏やかに声をかけ、不安を軽減することも重要です。呼吸困難は患者にとって非常に恐怖を伴う症状であり、心理的サポートも必要です。

Q: 結核性胸膜炎と診断されました。家族にうつりますか?

A: 結核性胸膜炎は、結核菌が胸膜に感染して起こる病態ですが、胸膜炎そのものは空気感染しません。ただし、結核性胸膜炎の患者の一部は、同時に肺結核も合併していることがあり、その場合は喀痰中に結核菌が排出される(排菌)ため、空気感染のリスクがあります。重要なのは、喀痰検査で結核菌が検出されるか(排菌の有無)です。排菌がなければ他人への感染リスクは低く、通常の生活が可能です。排菌がある場合は、感染症病床での隔離治療が必要です。家族には接触者健診(ツベルクリン反応やIGRA検査)が推奨され、感染が確認されれば潜伏結核感染の治療を検討します。抗結核薬治療を開始すれば、2週間程度で感染力は低下します。


まとめ

胸膜炎は、肺を覆う胸膜に炎症が起こる病態であり、乾性胸膜炎(胸水貯留なし)と湿性胸膜炎(胸水貯留あり)に分類されます。原因は多岐にわたり、感染性(細菌、結核、ウイルス)と非感染性(悪性腫瘍、肺塞栓症、膠原病、心不全など)があります。

病態の本質は、胸膜の炎症とそれに伴う胸水の産生・貯留です。炎症により胸膜の血管透過性が亢進し、滲出性胸水が貯留します。大量の胸水は肺を圧迫して呼吸困難を引き起こし、治療が遅れると膿胸や胸膜肥厚に進展することがあります。

症状は、乾性胸膜炎では鋭い胸痛が特徴的で、深呼吸や咳で増強します。湿性胸膜炎では胸水貯留により呼吸困難が主症状となります。診断には、胸部X線やCT検査、そして胸腔穿刺による胸水検査が不可欠です。胸水の性状(漏出性か滲出性か)、生化学検査、細胞診、微生物検査により原因を特定します。

治療は原因疾患の治療が基本で、細菌性には抗菌薬、結核性には抗結核薬、癌性には化学療法や胸膜癒着術を行います。対症療法として、鎮痛薬、酸素療法、胸腔穿刺やドレナージによる胸水除去が行われます。

看護の要点は、呼吸状態の継続的モニタリング疼痛管理です。呼吸数、SpO2、呼吸困難の程度を頻回に観察し、悪化の兆候を早期に発見します。胸痛は患者にとって非常に辛い症状であり、適切な鎮痛薬の使用と体位の工夫により緩和を図ります。胸腔ドレーンが挿入されている場合は、排液量や性状を観察し、合併症の予防に努めます。

患者教育では、原因疾患に応じた指導を行います。結核性胸膜炎では長期治療の必要性と服薬遵守、癌性胸膜炎では症状緩和と在宅療養の準備、感染性胸膜炎では再発予防と生活習慣の改善などを説明します。

実習では、胸膜炎患者の呼吸困難や胸痛の訴えを真摯に受け止め、迅速かつ適切に対応する姿勢が大切です。バイタルサインの変化や症状の増悪を見逃さず、医師と連携して患者の安全を守りましょう。


免責事項

本記事は教育・学習目的の情報提供です。

・一般的な医学知識の解説であり、個別の患者への診断・治療の根拠ではありません

・実際の看護実践は、患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください

・記事の情報は公開時点のものであり、最新の医学的知見と異なる場合があります

・本記事を課題としてそのまま提出しないでください

正確な情報提供に努めていますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。

【胸膜炎】疾患解説と看護のポイント

疾患概要

定義

胸膜炎とは、肺を覆う胸膜(壁側胸膜と臓側胸膜)に炎症が起こる疾患です。胸膜は2枚の薄い膜で構成されており、壁側胸膜は胸壁の内側に、臓側胸膜は肺の表面に密着しています。この2枚の膜の間には胸膜腔という狭い空間があり、通常は少量の胸水(5〜15mL程度)が潤滑剤として存在しています。

胸膜炎は乾性胸膜炎(dry pleurisy)湿性胸膜炎(wet pleurisy)に分類されます。乾性胸膜炎は胸水の貯留がなく、胸膜の炎症のみが見られる状態です。湿性胸膜炎は炎症により胸膜腔に胸水が大量に貯留した状態で、胸膜炎イコール胸水貯留と考えられることが多いです。

胸膜炎は独立した疾患というよりも、他の疾患に伴って起こる二次的な病態であることが多く、原因疾患の診断と治療が重要です。

疫学

胸膜炎の正確な発症率は不明ですが、肺炎や結核、悪性腫瘍などに合併することが多く、日常臨床でよく遭遇する病態です。特に高齢化に伴い、悪性腫瘍に伴う胸膜炎(癌性胸膜炎)が増加傾向にあります。

年齢分布は原因疾患により異なります。若年者では感染症(細菌性肺炎、結核)や外傷に伴うものが多く、高齢者では悪性腫瘍、心不全、肺塞栓症などに伴うものが多く見られます。

性別では、結核性胸膜炎は男性にやや多く、膠原病(特に全身性エリテマトーデス)に伴う胸膜炎は女性に多い傾向があります。癌性胸膜炎は原発腫瘍の性別分布に依存します。

地域差としては、結核高蔓延国では結核性胸膜炎の頻度が高く、日本でも高齢者や免疫抑制状態の患者では結核性胸膜炎に注意が必要です。

原因

胸膜炎の原因は多岐にわたり、感染性非感染性に大別されます。

感染性胸膜炎

  • 細菌性:肺炎球菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、嫌気性菌などによる細菌性肺炎の波及が最多です。膿胸に進展することもあります
  • 結核性:結核菌感染による胸膜炎は、特に若年者や高齢者に多く見られます。結核性胸膜炎は比較的多量の胸水が貯留し、診断が重要です
  • ウイルス性:コクサッキーウイルス、エコーウイルス、インフルエンザウイルスなどが原因となります
  • 真菌性:免疫不全患者でアスペルギルスやカンジダなどによる胸膜炎が起こることがあります

非感染性胸膜炎

  • 悪性腫瘍(癌性胸膜炎):肺癌、乳癌、悪性リンパ腫、卵巣癌などの悪性腫瘍が胸膜に転移することで起こります。進行癌でよく見られ、予後不良の徴候です
  • 肺塞栓症:肺梗塞に伴い胸膜炎が起こります
  • 膠原病:全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの膠原病で胸膜炎を合併することがあります
  • 心不全:うっ血性心不全により胸水が貯留します(漏出性胸水)
  • 肝硬変、ネフローゼ症候群:低アルブミン血症により胸水が貯留します
  • 外傷:胸部外傷により血胸や胸膜炎が起こります
  • 薬剤性:一部の薬剤(メトトレキサート、アミオダロンなど)により胸膜炎が誘発されることがあります
  • 膵炎:急性膵炎や慢性膵炎で左側の胸水貯留(膵性胸水)が見られることがあります
  • 石綿肺(アスベスト曝露):アスベスト曝露により良性石綿胸水や悪性中皮腫が発症します

このように、胸膜炎の原因は非常に多様であり、原因疾患の同定が診断と治療の鍵となります。


病態生理

胸膜炎の病態は、胸膜の炎症とそれに伴う胸水の産生・貯留という過程をたどります。

正常な胸膜腔の生理

正常な状態では、胸膜腔には5〜15mL程度の胸水が存在し、呼吸運動時の摩擦を軽減する潤滑剤として機能しています。胸水は壁側胸膜から産生され、臓側胸膜とリンパ管から吸収されることで、一定量が保たれています。この産生と吸収のバランスはStarlingの法則に従い、血管内静水圧、膠質浸透圧、血管透過性によって調節されています。

乾性胸膜炎の病態

炎症の初期段階では、胸膜表面にフィブリンが沈着し、胸膜が肥厚します。この時点ではまだ胸水の貯留は少なく、または全くありません。炎症により胸膜の神経終末が刺激されるため、鋭い胸痛が特徴的です。呼吸運動により炎症を起こした胸膜同士がこすれ合うため、深呼吸や咳で痛みが増強します。聴診では胸膜摩擦音が聴取されることがあります。

湿性胸膜炎の病態

炎症が進行すると、胸膜の血管透過性が亢進し、血管から血漿成分が胸膜腔に漏出します。また、炎症により胸水の産生が増加し、リンパ管による吸収が追いつかなくなることで、胸膜腔に大量の胸水が貯留します。

胸水は漏出性胸水滲出性胸水に分類されます。

漏出性胸水は、炎症がなく、血管内静水圧の上昇(心不全)や膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症)により生じます。胸水中のタンパク質濃度が低く、比較的透明です。

滲出性胸水は、胸膜の炎症や腫瘍浸潤により血管透過性が亢進して生じます。胸水中のタンパク質濃度、LDH(乳酸脱水素酵素)が高く、細胞成分も多く含まれます。感染性胸膜炎や癌性胸膜炎は滲出性です。

Light基準という診断基準があり、以下のいずれか1つを満たせば滲出性胸水と判定されます:

  1. 胸水タンパク/血清タンパク >0.5
  2. 胸水LDH/血清LDH >0.6
  3. 胸水LDH >血清LDH正常上限の2/3

膿胸への進展

細菌性胸膜炎が治療されないと、胸水中に細菌が増殖し、膿性の胸水(膿胸)に進展します。膿胸では胸水が混濁し、pH低下、糖低下、LDH上昇が見られます。さらに進行すると、胸膜が肥厚・線維化して胸膜肥厚を形成し、肺の拡張が制限される器質化膿胸に至ることがあります。

呼吸への影響

大量の胸水が貯留すると、肺が圧迫されて虚脱し、肺の換気領域が減少します。その結果、低酸素血症や呼吸困難が生じます。また、縦隔が健側に偏位することで、心臓や大血管が圧迫され、循環動態にも影響を及ぼすことがあります。

このように、胸膜炎の病態は炎症から胸水貯留、呼吸・循環障害へと進展するため、早期診断と適切な治療が重要です。


症状・診断・治療

症状

胸膜炎の症状は、乾性か湿性か、原因疾患、胸水の量により異なります。

乾性胸膜炎の症状

  • 胸痛:最も特徴的な症状で、炎症部位に一致した鋭い、刺すような痛みです。深呼吸、咳、体動により増強し、患側を下にした側臥位で軽減することがあります
  • 呼吸困難感:痛みのため深呼吸ができず、浅く速い呼吸となります
  • 乾性咳嗽:痰を伴わない乾いた咳が出ます
  • 胸膜摩擦音:聴診で、革がこすれるような粗い音が聴取されることがあります

湿性胸膜炎の症状

  • 呼吸困難:胸水が貯留すると肺が圧迫されるため、呼吸困難が主症状となります。少量では労作時のみですが、大量貯留では安静時にも呼吸困難が出現します
  • 胸痛:胸水が貯留すると、胸膜同士が離れるため、乾性胸膜炎のような鋭い胸痛は軽減します
  • 乾性咳嗽:胸水による気管支の圧迫や刺激により咳が出ます
  • 打診で濁音:胸水が貯留している部位は打診で濁音となります
  • 呼吸音減弱:胸水貯留部位では呼吸音が減弱または消失します

原因疾患による症状

  • 感染性胸膜炎:発熱、悪寒、全身倦怠感などの感染症状を伴います
  • 結核性胸膜炎:微熱、寝汗、体重減少、食欲不振などが見られます
  • 癌性胸膜炎:原発巣の症状(咳、血痰、体重減少など)を伴い、胸水が急速に増加します
  • 心不全による胸水:呼吸困難、起坐呼吸、下腿浮腫などの心不全症状を伴います

大量胸水の症状 大量の胸水(1000mL以上)が貯留すると、高度の呼吸困難、チアノーゼ、頻呼吸、頻脈が出現します。縦隔偏位により循環動態が障害されると、血圧低下やショックに至ることもあります。

診断

胸膜炎の診断は、臨床症状、身体所見、画像検査、胸水検査を総合して行います。

胸部X線検査 最も基本的な検査で、胸水貯留の有無と量を評価します。300mL以上の胸水があれば、単純X線でも確認できます。立位では肋骨横隔膜角の鈍化(costophrenic angle blunting)が特徴的です。側臥位撮影(decubitus view)では、少量の胸水も検出できます。大量胸水では、患側の肺野全体が白く写り(白濁)、縦隔が健側に偏位します。

胸部CT検査 胸水の正確な量、分布、胸膜の肥厚、肺実質の病変、腫瘤の有無などを詳細に評価できます。少量の胸水や、胸膜の肥厚・結節も検出可能です。原因疾患(肺炎、肺癌、肺塞栓症など)の診断にも有用です。

胸部超音波検査 ベッドサイドで簡便に実施でき、少量の胸水も検出できます。胸腔穿刺の際にガイドとして使用されることも多く、安全な穿刺部位の決定に役立ちます。

胸腔穿刺と胸水検査(最も重要) 診断には胸水の性状と成分分析が不可欠です。胸腔穿刺により胸水を採取し、以下の検査を行います。

肉眼的所見

  • 透明〜淡黄色:漏出性胸水、結核性胸膜炎
  • 混濁、膿性:細菌性胸膜炎、膿胸
  • 血性:外傷、癌性胸膜炎、肺塞栓症
  • 乳糜様:乳糜胸

生化学検査

  • タンパク質、LDH:漏出性と滲出性の鑑別(Light基準)
  • 糖:細菌性胸膜炎や結核性胸膜炎では低下
  • pH:細菌性胸膜炎や膿胸ではpH<7.2
  • ADA(アデノシンデアミナーゼ):結核性胸膜炎でADA>40 IU/Lと上昇

細胞数と細胞分画

  • 好中球優位:細菌性胸膜炎
  • リンパ球優位:結核性胸膜炎、癌性胸膜炎
  • 異型細胞:癌性胸膜炎で悪性細胞が検出されます

微生物検査

  • グラム染色、培養:細菌性胸膜炎の原因菌同定
  • 抗酸菌染色、培養、PCR:結核性胸膜炎の診断

胸膜生検 胸水検査で診断が確定しない場合、特に結核性胸膜炎や癌性胸膜炎が疑われる場合は、胸膜生検を行います。CTガイド下生検や胸腔鏡下生検により、胸膜組織を採取して病理検査を行います。

治療

胸膜炎の治療は原因疾患の治療が基本です。同時に、症状緩和と合併症予防のための対症療法も行います。

原因疾患の治療

細菌性胸膜炎

  • 抗菌薬投与:原因菌に応じた適切な抗菌薬を投与します。肺炎球菌ならペニシリン系、ブドウ球菌ならセファゾリンやバンコマイシンなど
  • 胸腔ドレナージ:膿胸や大量の滲出性胸水では、胸腔ドレーンを挿入して持続的にドレナージします
  • 外科的治療:器質化膿胸では、胸膜剥皮術などの外科的治療が必要になることがあります

結核性胸膜炎

  • 抗結核薬:イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトールの4剤併用療法を6ヶ月間行います
  • 胸水ドレナージ:大量の胸水が貯留している場合は、胸腔穿刺や胸腔ドレーンで排液します
  • ステロイド:胸膜の癒着や肥厚を予防する目的で、短期間のステロイド投与が検討されることがあります

癌性胸膜炎

  • 化学療法:原発巣に応じた化学療法を行います
  • 胸膜癒着術:繰り返す胸水貯留に対し、胸腔内にタルクや抗癌剤を注入して胸膜を癒着させ、胸水の再貯留を予防します
  • 胸腔・腹腔シャント:胸膜癒着術が困難な場合、胸水を腹腔に流すシャントを留置することもあります

心不全による胸水

  • 利尿薬:フロセミドなどのループ利尿薬により体液量を減らします
  • 心不全治療:ACE阻害薬、β遮断薬などによる心不全管理

対症療法

鎮痛 乾性胸膜炎の胸痛に対しては、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が有効です。ただし、腎機能や胃腸障害に注意が必要です。強い痛みがある場合は、オピオイド鎮痛薬も使用されます。

酸素療法 低酸素血症がある場合は、酸素投与によりSpO2を90%以上に維持します。

胸腔穿刺・ドレナージ 大量の胸水により呼吸困難が強い場合は、治療的胸腔穿刺により胸水を排液し、症状を緩和します。ただし、急速に大量排液すると再膨張性肺水腫を起こすリスクがあるため、1回の排液量は1000〜1500mL程度に留めます。

安静と栄養管理 感染性胸膜炎では、安静と十分な栄養・水分摂取が回復を促進します。

治療効果の判定には、症状の改善、胸部X線での胸水減少、炎症反応(CRP、白血球数)の低下を確認します。


看護アセスメント・介入

よくある看護診断・問題

  • 急性疼痛:胸膜炎症による胸痛
  • 非効果的呼吸パターン:胸水貯留と胸痛による呼吸制限
  • ガス交換障害:胸水による肺圧迫と換気領域の減少
  • 活動耐性低下:呼吸困難と疼痛による日常生活動作の制限
  • 不安:呼吸困難と疾患への不安

ゴードン機能的健康パターン

健康知覚-健康管理パターン 多くの患者は、突然の胸痛や呼吸困難に驚き、不安を感じています。特に癌性胸膜炎の場合、悪性腫瘍の進行を意味するため、予後への不安が大きくなります。原因疾患や治療方針について、患者の理解度を確認し、不安を傾聴することが重要です。

感染性胸膜炎では、抗菌薬や抗結核薬の服薬アドヒアランスが治療成功の鍵となります。特に結核性胸膜炎では、長期治療が必要なため、服薬継続への支援が不可欠です。

活動-運動パターン 胸痛と呼吸困難により、活動耐性が著しく低下しています。深呼吸ができず、体動時に痛みが増強するため、患者は動くことを避けがちです。しかし、過度の安静は廃用症候群や肺炎のリスクを高めるため、症状に応じた適度な活動が必要です。

呼吸状態の継続的モニタリングが最重要です。呼吸数、呼吸パターン、SpO2、チアノーゼの有無、呼吸困難の程度を頻回に観察します。胸水が増加すると呼吸困難が増悪するため、症状の変化を早期に発見します。打診や聴診により、胸水の増減を評価することも大切です。

栄養-代謝パターン 感染性胸膜炎では、発熱や炎症により代謝が亢進し、エネルギー消費が増加します。食欲不振や疼痛により経口摂取が減少すると、栄養状態が悪化し、治癒が遅れます。体重測定、血清アルブミン値、総リンパ球数などで栄養状態を評価し、高カロリー・高タンパク食を提供します。

癌性胸膜炎では、悪液質により栄養状態が著しく悪化していることが多く、経口摂取が困難な場合は経腸栄養や中心静脈栄養も検討します。

睡眠-休息パターン 胸痛により、特に側臥位や仰臥位での睡眠が困難です。咳や呼吸困難も睡眠を妨げます。患者が楽な体位(多くは患側を下にした側臥位または半座位)を見つけられるよう支援し、鎮痛薬の適切な使用により睡眠を確保します。

コーピング-ストレス耐性パターン 突然の入院や治療により、患者は心理的ストレスを抱えています。特に癌性胸膜炎では、進行癌という現実に直面し、強い不安や抑うつを感じることがあります。患者の思いを傾聴し、精神的支援を提供します。必要に応じて、精神科や緩和ケアチームとの連携も検討します。

ヘンダーソン14基本的ニード

1. 正常な呼吸 胸膜炎において最も重要なニードです。胸水貯留により肺の換気が障害されるため、呼吸状態を継続的に観察します。呼吸数が増加(頻呼吸)、SpO2が低下、チアノーゼの出現、呼吸補助筋の使用などの徴候があれば、直ちに医師に報告します。

酸素療法が必要な場合は、適切な酸素流量を設定し、効果を評価します。大量胸水により呼吸困難が強い場合は、緊急で胸腔穿刺やドレナージが必要になることがあります。

2. 適切な飲食 感染性胸膜炎では、発熱と炎症により水分喪失が増加するため、十分な水分摂取が必要です。脱水を予防し、喀痰の喀出を促進するため、1日1500〜2000mL程度の水分摂取を勧めます。

食欲不振がある場合は、少量頻回食や嗜好を考慮した食事を提供します。栄養補助食品も活用し、エネルギーとタンパク質の摂取を確保します。

4. 体位の保持と変換 胸痛を軽減するため、患者が楽な体位を保持できるよう支援します。多くの場合、患側を下にした側臥位で胸痛が軽減します。これは、患側を下にすることで、炎症を起こした胸膜の動きが制限されるためです。

ただし、同一体位の長時間保持は褥瘡や肺炎のリスクとなるため、疼痛管理を行いながら、定期的な体位変換を促します。半座位も呼吸を楽にするため有効です。

8. 身体を清潔に保つ 発熱により発汗が多い場合は、こまめに清拭や寝衣交換を行います。呼吸困難や疼痛がある間は全身清拭で対応し、症状が改善したら段階的に入浴を再開します。

9. 危険の回避 胸腔穿刺やドレーン挿入後は、気胸や出血などの合併症に注意します。ドレーンが挿入されている場合は、ドレーンの屈曲や閉塞、抜去に注意し、排液量や性状を観察します。

感染性胸膜炎では、標準予防策を実施し、結核性胸膜炎の場合は空気感染予防策も追加します。

疼痛管理 胸痛は患者にとって非常に辛い症状であり、適切な疼痛管理が必須です。疼痛スケール(NRSやVAS)を用いて痛みの程度を評価し、医師と連携して鎮痛薬を適切に使用します。薬物療法だけでなく、体位の工夫、深呼吸の指導、リラクゼーションなども併用します。

14. 学習 原因疾患の病態、治療方針、予後について、患者の理解度に応じて説明します。特に結核性胸膜炎では、長期治療の必要性と服薬遵守の重要性を繰り返し指導します。

退院後の生活指導として、定期受診、服薬継続、症状悪化時の対応(呼吸困難、胸痛の増悪、発熱など)について説明します。癌性胸膜炎では、緩和ケアや在宅療養についての情報提供も重要です。

看護計画・介入の内容

  • 呼吸状態の継続的モニタリング:呼吸数、SpO2、呼吸パターン、呼吸困難の程度を定期的に観察します。胸水の増加や気胸の発症により呼吸状態が急変することがあるため、バイタルサインの変化に注意します
  • 疼痛アセスメントと管理:疼痛スケールを用いて痛みの程度、性質、増悪因子を評価します。鎮痛薬を適切なタイミングで投与し、効果を確認します。体位の工夫や温罨法なども活用し、多角的に疼痛を緩和します
  • 体位管理:患側を下にした側臥位や半座位など、患者が最も楽な体位を見つけられるよう支援します。クッションや枕を使用して安楽な姿勢を保持します。定期的な体位変換も促し、褥瘡や肺炎を予防します
  • 酸素療法の管理:低酸素血症がある場合は、医師の指示に基づき酸素投与を行います。SpO2を継続的にモニタリングし、酸素流量を調整します。酸素マスクやカニューレの装着状態も確認します
  • 胸腔ドレーンの管理:ドレーンが挿入されている場合は、排液量、性状(色、混濁度、膿性の有無)、エアリークの有無を観察します。ドレーンの屈曲や閉塞を防ぎ、挿入部の観察と消毒を行います。抜去時は気胸の発症に注意します
  • 水分・栄養管理:発熱や炎症により水分喪失が増加するため、十分な水分摂取を促します。食事摂取量を記録し、栄養状態を評価します。食欲不振がある場合は、少量頻回食や栄養補助食品を活用します
  • 感染管理:感染性胸膜炎では標準予防策を実施します。結核性胸膜炎の場合は、排菌の有無を確認し、必要に応じて空気感染予防策(N95マスク着用、陰圧個室管理)を追加します。発熱、白血球数、CRPなどの炎症反応をモニタリングし、感染の改善を評価します
  • 活動と安静のバランス:急性期は安静が必要ですが、過度の臥床は廃用症候群のリスクとなります。症状が改善してきたら、段階的に活動を促し、ADLの拡大を支援します
  • 心理的支援:呼吸困難や疼痛、原因疾患(特に癌性胸膜炎)への不安に対し、傾聴の姿勢を持って接します。患者の思いを受け止め、必要に応じて医師や心理士、緩和ケアチームと連携します
  • 退院指導:原因疾患に応じた退院指導を行います。結核性胸膜炎では服薬継続と定期受診の重要性、癌性胸膜炎では症状緩和と緊急時の対応、感染性胸膜炎では再発予防と生活習慣の改善などを説明します

よくある疑問・Q&A

Q: 胸膜炎と肺炎はどう違うのですか?

A: 肺炎は肺実質(肺胞)の炎症であり、胸膜炎は肺を覆う胸膜の炎症です。ただし、両者は密接に関連しており、肺炎が胸膜に波及すると胸膜炎を合併します。これを傍肺炎性胸水(parapneumonic effusion)と呼びます。肺炎の主症状は咳、痰、発熱ですが、胸膜炎では鋭い胸痛と呼吸困難が特徴的です。胸部X線では、肺炎は肺野の浸潤影として見えますが、胸膜炎(湿性)は肋骨横隔膜角の鈍化や胸水貯留像として確認されます。肺炎に伴う胸膜炎は、適切な抗菌薬治療と場合によってはドレナージにより改善しますが、治療が遅れると膿胸に進展するリスクがあります。

Q: 胸膜炎で胸が痛いのはなぜですか?なぜ深呼吸で痛みが増すのですか?

A: 胸膜、特に壁側胸膜には豊富な知覚神経が分布しており、炎症により神経終末が刺激されることで痛みが生じます。(ちなみに、臓側胸膜には知覚神経がほとんどないため、臓側胸膜だけの炎症では痛みは少ないです。)深呼吸や咳をすると、肺が拡張し、炎症を起こした壁側胸膜と臓側胸膜がこすれ合うため、痛みが増強します。これが胸膜炎特有の「刺すような鋭い胸痛」の理由です。湿性胸膜炎で胸水が貯留すると、胸膜同士が離れるため、このこすれがなくなり、痛みは軽減します。つまり、乾性胸膜炎では胸痛が強く、湿性胸膜炎では呼吸困難が主症状となります。

Q: 胸腔穿刺とはどのような処置ですか?痛いですか?

A: 胸腔穿刺は、胸壁から針を刺して胸膜腔に貯留した胸水を採取または排出する処置です。診断目的(胸水の性状や成分を調べる)と治療目的(大量胸水を排出して呼吸困難を緩和する)の両方で行われます。処置は局所麻酔下で行われるため、針を刺す際にチクッとした痛みはありますが、麻酔が効けば強い痛みはありません。処置中は、背中を丸めた前屈姿勢または座位で、動かないようにすることが重要です。合併症として、気胸(肺に穴が開く)、出血、感染、再膨張性肺水腫などがありますが、適切に行えば比較的安全な処置です。穿刺後は、胸部X線で気胸の有無を確認します。

Q: 胸膜炎は治りますか?後遺症は残りますか?

A: 胸膜炎の予後は原因疾患により大きく異なります。感染性胸膜炎(細菌性、ウイルス性)は、適切な抗菌薬治療により多くの場合治癒します。結核性胸膜炎も、抗結核薬を6ヶ月間しっかり服用すれば治癒可能ですが、治療が不十分だと胸膜肥厚が残り、呼吸機能が低下することがあります。膿胸に進展すると、胸膜が線維化・肥厚して器質化膿胸となり、外科的治療が必要になることもあります。癌性胸膜炎は、悪性腫瘍の進行を意味するため予後不良で、症状緩和が治療の中心となります。一般的に、早期に適切な治療を受ければ後遺症は少ないですが、膿胸や結核性胸膜炎では胸膜肥厚や癒着が残ることがあります。

Q: 胸膜炎の患者さんが「息ができない」と訴えたらどうすればいいですか?

A: まず呼吸状態を迅速に評価します。SpO2、呼吸数、呼吸パターン、チアノーゼの有無、意識レベルを確認し、バイタルサインを測定します。胸水の急速な増加や気胸の合併により呼吸困難が増悪している可能性があります。患者を楽な体位(半座位や前傾姿勢)にし、酸素投与が指示されていれば酸素流量を上げます。直ちに医師に報告し、緊急での胸腔穿刺やドレーン挿入の必要性を判断してもらいます。患者に「大丈夫ですよ」と穏やかに声をかけ、不安を軽減することも重要です。呼吸困難は患者にとって非常に恐怖を伴う症状であり、心理的サポートも必要です。

Q: 結核性胸膜炎と診断されました。家族にうつりますか?

A: 結核性胸膜炎は、結核菌が胸膜に感染して起こる病態ですが、胸膜炎そのものは空気感染しません。ただし、結核性胸膜炎の患者の一部は、同時に肺結核も合併していることがあり、その場合は喀痰中に結核菌が排出される(排菌)ため、空気感染のリスクがあります。重要なのは、喀痰検査で結核菌が検出されるか(排菌の有無)です。排菌がなければ他人への感染リスクは低く、通常の生活が可能です。排菌がある場合は、感染症病床での隔離治療が必要です。家族には接触者健診(ツベルクリン反応やIGRA検査)が推奨され、感染が確認されれば潜伏結核感染の治療を検討します。抗結核薬治療を開始すれば、2週間程度で感染力は低下します。


まとめ

胸膜炎は、肺を覆う胸膜に炎症が起こる病態であり、乾性胸膜炎(胸水貯留なし)と湿性胸膜炎(胸水貯留あり)に分類されます。原因は多岐にわたり、感染性(細菌、結核、ウイルス)と非感染性(悪性腫瘍、肺塞栓症、膠原病、心不全など)があります。

病態の本質は、胸膜の炎症とそれに伴う胸水の産生・貯留です。炎症により胸膜の血管透過性が亢進し、滲出性胸水が貯留します。大量の胸水は肺を圧迫して呼吸困難を引き起こし、治療が遅れると膿胸や胸膜肥厚に進展することがあります。

症状は、乾性胸膜炎では鋭い胸痛が特徴的で、深呼吸や咳で増強します。湿性胸膜炎では胸水貯留により呼吸困難が主症状となります。診断には、胸部X線やCT検査、そして胸腔穿刺による胸水検査が不可欠です。胸水の性状(漏出性か滲出性か)、生化学検査、細胞診、微生物検査により原因を特定します。

治療は原因疾患の治療が基本で、細菌性には抗菌薬、結核性には抗結核薬、癌性には化学療法や胸膜癒着術を行います。対症療法として、鎮痛薬、酸素療法、胸腔穿刺やドレナージによる胸水除去が行われます。

看護の要点は、呼吸状態の継続的モニタリング疼痛管理です。呼吸数、SpO2、呼吸困難の程度を頻回に観察し、悪化の兆候を早期に発見します。胸痛は患者にとって非常に辛い症状であり、適切な鎮痛薬の使用と体位の工夫により緩和を図ります。胸腔ドレーンが挿入されている場合は、排液量や性状を観察し、合併症の予防に努めます。

患者教育では、原因疾患に応じた指導を行います。結核性胸膜炎では長期治療の必要性と服薬遵守、癌性胸膜炎では症状緩和と在宅療養の準備、感染性胸膜炎では再発予防と生活習慣の改善などを説明します。

実習では、胸膜炎患者の呼吸困難や胸痛の訴えを真摯に受け止め、迅速かつ適切に対応する姿勢が大切です。バイタルサインの変化や症状の増悪を見逃さず、医師と連携して患者の安全を守りましょう。


免責事項

本記事は教育・学習目的の情報提供です。

・一般的な医学知識の解説であり、個別の患者への診断・治療の根拠ではありません

・実際の看護実践は、患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください

・記事の情報は公開時点のものであり、最新の医学的知見と異なる場合があります

・本記事を課題としてそのまま提出しないでください

正確な情報提供に努めていますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。


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