本記事では、看護師の思考プロセスを詳しく解説します。
実際の臨床では患者さんごとに状況が異なりますが、「わたしならどう考えるか」を具体的に示すことで、あなた自身の考える力を育てることを目指します。
この記事を参考に思考プロセスを学び、看護過程が得意になってもらえたら嬉しいです。
それでは、見ていきましょう。
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免責事項
本記事は教育・学習目的の情報提供です。事例は完全なフィクションであり、個別の診断・治療の根拠ではありません。実際の看護実践は患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください。本記事をそのまま課題として提出しないでください。内容の完全性・正確性は保証できず、本記事の利用により生じた損害について一切の責任を負いません。
今回の事例
7歳男児B君は、2か月前から持続する発熱と全身倦怠感を主訴に近医を受診し、血液検査にて白血球数の著明な増加と芽球の出現を認めたため、当院小児科へ緊急搬送となった。骨髄穿刺の結果、急性リンパ性白血病(B細胞性、標準リスク群)と診断され、即日入院となり寛解導入療法が開始された。現在は入院後28日目、寛解導入療法第4週目を迎えており、骨髄抑制に伴う汎血球減少と易感染状態が続いている。母親が終日付き添い、父親は仕事の合間に面会に訪れている。
診断と既往
現病名は急性リンパ性白血病(ALL、B細胞性、標準リスク群)である。寛解導入療法として多剤併用化学療法(プレドニゾロン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、L-アスパラギナーゼ)を施行中である。既往歴として3歳時に水痘罹患の記録があり、それ以外に特記すべき既往はない。予防接種は定期接種をすべて完了していた。
現在の状態
入院直後は発熱38.5℃、著明な倦怠感、食欲不振が見られていたが、化学療法開始後は発熱性好中球減少症を3回経験し、その都度広域抗菌薬による治療を要した。本日(4月15日、入院28日目)の観察では、体温37.2℃、血圧98/58mmHg、脈拍102回/分・整、呼吸数22回/分、SpO2 97%(室内気)と比較的安定している。しかし易疲労性が顕著で、ベッド上で過ごす時間が大半を占める。
食事は小児用の常食を提供しているが、化学療法による悪心・食欲不振のため摂取量は3割程度にとどまる。特に朝食の摂取が困難で、母親が持参したゼリーやヨーグルトなど冷たく口当たりの良いものを少量ずつ摂取している状況である。排泄面では排尿は1日5~6回で問題ないが、便秘傾向があり2日に1回程度の排便である。睡眠は夜間の不安や点滴アラーム音により中途覚醒が頻回で、1時間おきに目を覚ますことがある。
ADLについては、好中球減少と血小板減少により活動制限を受けている。移動はトイレ歩行のみ許可されているが、ふらつきがあるため母親の付き添いが必須である。セルフケアは一部介助を要し、洗面や更衣は座位で実施している。シャワー浴は週2回、看護師の観察下で実施しており、それ以外の日は清拭で対応している。転倒歴はないが、血小板減少により出血リスクが高い状態が続いている。
検査と治療
本日の血液検査データでは、白血球数800/μL(基準値3500~9000)、好中球数120/μL(基準値1500~7000)、ヘモグロビン8.2g/dL(基準値11.0~15.0)、血小板数3.2万/μL(基準値15~40万)と汎血球減少を認める。CRP 0.8mg/dL、AST 45U/L、ALT 38U/Lと肝機能は軽度上昇程度である。電解質はNa 138mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 102mEq/Lと正常範囲内である。
内服薬として、プレドニゾロン(1日2回)、制吐剤のオンダンセトロン(1日2回)、口腔内カンジダ症予防のためのフルコナゾール(1日1回)、便秘対策の酸化マグネシウム(1日3回)が処方されている。静脈投与としてビンクリスチン、ダウノルビシン、L-アスパラギナーゼによる化学療法を実施中で、中心静脈カテーテル(CVポート)から投与している。また、輸血療法として血小板輸血を週2~3回、赤血球輸血を必要時実施している。
今後の方針としては、寛解導入療法終了後に骨髄検査を実施し、寛解が確認されれば地固め療法へ移行する予定である。現時点での微小残存病変(MRD)検査では良好な反応が得られているため、標準リスク群のプロトコールを継続する方針である。
本人・家族の想い
B君は「お腹すいてるけど、食べたら気持ち悪くなるから食べたくない」「早く元気になって、友達と遊びたい」と話す。また、「点滴の音がうるさくて夜眠れない」「お母さんがずっといてくれるから安心だけど、お母さんも疲れてるみたい」と母親を気遣う発言も見られる。治療に対しては「痛い検査や注射は嫌だけど、病気を治すために我慢する」と幼いながらも理解を示している。
母親は「息子が苦しんでいる姿を見るのがつらい。でも治療を続けて必ず元気になってほしい」「食事を食べてくれないことが一番心配。何か食べられるものはないか、毎日考えている」と涙ながらに話す。また、「感染が怖くて、少しの発熱でも不安になる」「夜も熟睡できず、息子の様子を常に気にしている」と付き添い疲れの様子も見られる。父親は「仕事を休むわけにもいかず、家族を支えなければならないプレッシャーを感じている」「息子にもっと一緒にいてあげたいが、仕事との両立が難しい」と葛藤を口にしている。
ゴードンの11の機能的健康パターンによるアセスメント解説
1. 健康知覚-健康管理パターンのポイント
7歳という小児期における重症疾患の診断と治療は、本人の理解度と家族の受容、そして今後の長期的な治療への適応が重要な課題となります。急性リンパ性白血病という生命に関わる疾患に対して、本人と家族がどのように受け止め、治療に向き合っているかを多角的に評価することが求められます。加えて、2か月前から持続する発熱と全身倦怠感という症状に対する受診行動や、入院後28日目を迎えた現在の健康状態の認識についても丁寧にアセスメントする必要があります。
どんなことを書けばよいか
健康知覚-健康管理パターンでは、以下のような視点からアセスメントを行います。
- 疾患についての本人・家族の理解度(病態、治療、予後など)
- 疾患や治療に対する受け止め方、受容の程度
- 現在の健康状態や症状の認識
- これまでの健康管理行動(受診行動、服薬管理、生活習慣など)
- 疾患が日常生活に与えている影響の認識
- 健康リスク因子(喫煙、飲酒、アレルギー、既往歴など)
本人の疾患認識と治療への姿勢
B君は「痛い検査や注射は嫌だけど、病気を治すために我慢する」と話しており、7歳という年齢を考慮すると、疾患や治療の必要性についてある程度の理解を示していることが読み取れます。この発言を踏まえて、どの程度まで病気のことを理解しているのか、またその理解が発達段階に適したものであるかを考えるとよいでしょう。小児の場合、「白血病」や「化学療法」という医学用語を完全に理解することは困難ですが、「病気を治すために必要なこと」という認識を持つことは、長期的な治療への意欲を維持する上で非常に重要な要素となります。
さらに、B君が「早く元気になって、友達と遊びたい」と話していることにも注目するとよいでしょう。これは治療のゴールを具体的にイメージできていることを示しており、回復への希望を持っていることが伺えます。この希望的な認識が、つらい治療過程を乗り越えるための心理的な支えとなっている可能性を考慮することが大切です。一方で、実際には寛解導入療法後も地固め療法、維持療法と長期間の治療が続くことを踏まえると、今後どのように病気や治療について説明していくべきか、発達段階に応じた情報提供の在り方を検討する必要があります。
家族の受容と疾患理解
母親は「治療を続けて必ず元気になってほしい」と涙ながらに話しており、治療への期待と同時に強い不安を抱えている様子が伺えます。この発言からは、疾患の深刻さを理解しつつも、治療によって回復できるという希望を持っていることが読み取れます。特に「感染が怖くて、少しの発熱でも不安になる」という発言は、骨髄抑制に伴う易感染状態という病態についての理解があることを示しています。実際に入院後3回の発熱性好中球減少症を経験していることを踏まえると、この不安は実体験に基づいたものであり、疾患の合併症リスクを十分に認識していると考えられます。
この理解度を踏まえて、家族が適切な健康管理行動を取れる準備ができているか、また過度な不安が家族の生活や本人への関わりに影響していないかを評価するとよいでしょう。母親が「夜も熟睡できず、息子の様子を常に気にしている」と話していることから、感染への警戒が過度になっている可能性も考慮する必要があります。適切な観察と過度な心配の境界線を見極め、必要に応じて医療者からの支援や情報提供を検討することが重要です。
父親については、「仕事を休むわけにもいかず、家族を支えなければならないプレッシャーを感じている」という発言から、疾患が家族全体の生活に大きな影響を与えていることを認識していることが分かります。仕事との両立での葛藤を抱えながらも、面会に訪れていることを踏まえて、父親なりの方法で子どもの治療を支えようとしている姿勢を評価することが大切です。家族全体として疾患とどう向き合っているか、役割分担がうまく機能しているかという視点でアセスメントするとよいでしょう。
発症前の受診行動と健康管理
2か月前から持続する発熱と全身倦怠感に対して近医を受診したという経過から、家族の受診行動について考えてみましょう。2か月という期間は決して短くありませんが、初期症状が非特異的であったことや、小児では感染症などでも発熱が続くことがあることを考慮すると、この受診のタイミングが適切であったかどうかを一概に評価することは難しいでしょう。むしろ、症状が続いていることに気づき、医療機関を受診したという行動そのものに着目することが重要です。
また、近医での血液検査で異常が発見され、緊急搬送となったという経過からは、適切な医療機関の選択と、症状に応じた段階的な受診行動が取れていたことが読み取れます。この点を踏まえて、家族の健康管理に対する意識や、医療機関との連携能力を評価するとよいでしょう。
既往歴と予防接種歴からの健康管理状況
3歳時の水痘罹患以外に特記すべき既往がなく、定期接種をすべて完了していたという情報は、これまでの家族の健康管理能力が適切であったことを示唆しています。予防接種を計画的に完了させていることは、子どもの健康を守るための予防的な健康管理行動が取れていたことを意味します。この点を踏まえて、今後の治療過程における自己管理能力や、退院後の生活管理への適応可能性を考えるとよいでしょう。
ただし、化学療法による免疫抑制状態では、通常の予防接種スケジュールとは異なる対応が必要となることに注意が必要です。生ワクチンの接種制限や、治療終了後の再接種の必要性など、新たな健康管理上の課題が生じることを踏まえて、家族への教育支援の必要性も視野に入れることが重要です。また、水痘の既往があることは、帯状疱疹のリスクという観点からも今後の観察ポイントとなります。
現在の健康状態と症状の認識
B君は「お腹すいてるけど、食べたら気持ち悪くなるから食べたくない」と自分の症状を具体的に表現できており、化学療法による悪心という副作用を認識していることが分かります。また「点滴の音がうるさくて夜眠れない」という発言からは、睡眠を妨げている要因を自ら特定し、言語化できる能力があることが読み取れます。この症状の認識と表現能力は、7歳という発達段階を考慮すると非常に重要な情報であり、今後の症状マネジメントにおいて本人からの情報収集が可能であることを示しています。
さらに、B君が「お母さんがずっといてくれるから安心だけど、お母さんも疲れてるみたい」と母親を気遣う発言をしていることにも注目するとよいでしょう。これは自分の病気が家族に与えている影響を認識していることを示しており、疾患が日常生活に与えている影響について、本人なりの理解を持っていることが伺えます。この認識が本人にとってどのような心理的負担となっているか、また逆に家族との絆を深める要因となっているかを、多角的に評価することが大切です。
治療による身体変化の認識
入院直後の発熱38.5℃、著明な倦怠感、食欲不振から、現在は体温37.2℃と比較的安定している状態への変化について、本人と家族がどのように認識しているかを考えることも重要です。「早く元気になって」という発言からは、現在の状態を「まだ元気ではない」と認識していることが読み取れます。易疲労性が顕著でベッド上で過ごす時間が大半を占めることや、トイレ歩行のみで活動制限を受けていることについて、本人がどのように受け止めているかをアセスメントするとよいでしょう。
また、3回の発熱性好中球減少症を経験していることを踏まえると、発熱時の対応や症状の重大性について、家族が実体験を通して学んでいる可能性があります。母親の「少しの発熱でも不安になる」という発言は、この経験が健康状態の変化に対する敏感さを高めていることを示しており、今後のセルフモニタリング能力を考える上で重要な情報となります。
アセスメントの視点
健康知覚-健康管理パターンでは、本人と家族それぞれの疾患認識、治療への姿勢、そして健康管理能力を統合的に評価することが求められます。B君は7歳という発達段階にありながら、治療の必要性を理解し、症状を言語化できる能力を持っています。家族は疾患の深刻さと治療の必要性を理解し、強い不安を抱えながらも治療に協力的な姿勢を示しています。これまでの健康管理行動から、家族には適切な健康管理能力があることが推測されますが、現在は疾患による身体的・心理的負担が大きく、支援が必要な状態であることを認識することが重要です。
小児の場合、本人の理解度と家族の受容度が必ずしも一致しないことがあります。B君がどこまで疾患の深刻さを理解しているか、また理解すべきかという点については、発達段階と心理状態を考慮した慎重な判断が必要です。長期的な治療を見据えて、本人と家族にどのような情報をどのタイミングで提供していくべきか、継続的にアセスメントしていく視点を持つとよいでしょう。
ケアの方向性
このパターンから導かれる看護ケアの方向性としては、まず本人の発達段階に応じた疾患・治療の説明と心理的支援が挙げられます。B君が治療への意欲を維持できるよう、頑張りを認め、小さな目標を一緒に設定していくことが大切です。家族に対しては、疾患や治療経過についての継続的な情報提供と、不安に対する傾聴・共感的な関わりが必要となります。特に母親の付き添い疲れや過度な不安に配慮し、適切な休息や気分転換の機会を提案することも重要です。
また、今後の治療過程で必要となる健康管理行動について、家族の理解度を確認しながら段階的に教育していく必要があります。退院後の生活を見据えて、感染予防行動や症状観察のポイント、緊急時の対応などについて、家族が自信を持って実践できるよう支援していくことが求められます。父親の仕事との両立での葛藤についても配慮し、面会時間の調整や、できる範囲での参加方法を一緒に考えていく姿勢が大切です。
2. 栄養-代謝パターンのポイント
化学療法による消化器症状と骨髄抑制は、小児の成長・発達に必要な栄養摂取に大きな影響を与えます。7歳という成長期にある子どもにとって、適切な栄養管理は治療の効果を高め、回復を促進するために不可欠です。食事摂取量の低下、体重変化、皮膚・粘膜の状態、そして栄養状態を示す検査データを総合的に評価し、個別的な栄養支援の方向性を見出すことが重要となります。
どんなことを書けばよいか
栄養-代謝パターンでは、以下のような視点からアセスメントを行います。
- 食事と水分の摂取量と摂取方法
- 食欲、嗜好、食事に関するアレルギー
- 身長・体重・BMI・必要栄養量・身体活動レベル
- 嚥下機能・口腔内の状態
- 嘔吐・吐気の有無
- 皮膚の状態、褥瘡の有無
- 栄養状態を示す血液データ(Alb、TP、RBC、Ht、Hb、Na、K、TG、TC、HbA1c、BSなど)
食事摂取状況と化学療法の影響
小児用の常食を提供しているにもかかわらず、摂取量が3割程度にとどまっているという状況は、化学療法による悪心・食欲不振が顕著であることを示しています。B君の「お腹すいてるけど、食べたら気持ち悪くなるから食べたくない」という発言からは、空腹感はあるものの、実際に食べると悪心が生じるという悪循環に陥っていることが読み取れます。この点を踏まえて、化学療法の副作用が食事摂取にどのような影響を与えているか、また制吐剤のオンダンセトロンが十分に効果を発揮しているかを評価するとよいでしょう。
特に朝食の摂取が困難であることにも注目が必要です。一般的に化学療法による悪心は朝方に強く出現することがあり、また夜間の睡眠障害により朝の食欲が低下している可能性も考えられます。母親が持参したゼリーやヨーグルトなど冷たく口当たりの良いものを少量ずつ摂取しているという工夫は、家族が子どもの嗜好や食べやすさを考慮して試行錯誤している様子を示しています。この家族の努力を評価しつつ、さらに摂取量を増やすためにどのような食品や提供方法が適しているかを一緒に考えていく視点が重要です。
栄養状態の評価と成長への影響
7歳という成長期にある子どもの場合、身長・体重・成長曲線上の位置を確認し、現在の栄養状態が成長・発達に与える影響を評価する必要があります。事例には具体的な身長・体重のデータは記載されていませんが、入院28日目で食事摂取が3割程度という状況が続いていれば、体重減少や成長の停滞が生じている可能性を考慮するとよいでしょう。7歳児の場合、1日の推定エネルギー必要量は活動レベルにもよりますが概ね1400~1650kcal程度であり、現在の摂取量ではこれを大きく下回っていることが推測されます。
さらに、急性リンパ性白血病の治療では、疾患そのものによるエネルギー消費の増大に加えて、感染や発熱によってもエネルギー需要が高まります。入院後3回の発熱性好中球減少症を経験していることを踏まえると、必要エネルギー量は通常よりも増加している可能性があります。この需要と供給のバランスを考慮して、経口摂取のみで十分な栄養が確保できているか、あるいは補助的な栄養療法の必要性を検討するべきかを評価することが大切です。
血液データからの栄養評価
ヘモグロビン8.2g/dLという値は、貧血状態を示しています。これは化学療法による骨髄抑制の影響が主因と考えられますが、栄養摂取不足による鉄分やタンパク質の不足も貧血を増悪させる要因となり得ます。週2~3回の血小板輸血、必要時の赤血球輸血が実施されていることから、骨髄抑制が著明であることが分かりますが、同時に栄養面からも造血を支える視点を持つことが重要です。
事例には血清アルブミンやTotal proteinのデータは記載されていませんが、これらの値は栄養状態、特にタンパク質栄養を評価する上で重要な指標となります。化学療法中は異化亢進によりタンパク質の必要量が増加するため、十分なタンパク質摂取ができているかを評価する必要があります。また、電解質のNa、K、Clは正常範囲内とのことですが、食事摂取量が少ない中でこれらが維持されていることから、輸液による補正が適切に行われていることが推測されます。この点を踏まえて、経口摂取と輸液のバランスをどのように調整していくべきかを考えるとよいでしょう。
肝機能についてはAST 45U/L、ALT 38U/Lと軽度上昇程度とのことです。化学療法薬の中にはダウノルビシンやL-アスパラギナーゼなど肝毒性を持つものがあるため、この軽度上昇が薬剤性か、あるいは栄養状態の変化によるものかを慎重に評価する必要があります。肝機能の状態は栄養代謝に直接影響するため、継続的なモニタリングが重要です。
口腔内の状態と嚥下機能
化学療法による口腔粘膜炎は、食事摂取を困難にする大きな要因となります。事例には口腔内の具体的な状態は詳しく記載されていませんが、フルコナゾールが口腔内カンジダ症予防のために処方されていることから、口腔粘膜のトラブルリスクが高い状態であることが読み取れます。冷たく口当たりの良いゼリーやヨーグルトを選択していることからも、口腔内に何らかの不快感や痛みがある可能性を考慮するとよいでしょう。
口腔粘膜炎の有無、程度、痛みの有無などを詳細に観察し、それが食事摂取にどのような影響を与えているかを評価することが重要です。また、嚥下機能については、7歳であれば通常は問題ありませんが、全身状態の悪化や易疲労性により、食事中の疲労や嚥下の遅延が生じていないかも観察のポイントとなります。
皮膚の状態と代謝機能
皮膚は栄養状態を反映する重要な指標です。事例には皮膚の状態についての詳細な記載はありませんが、化学療法による影響、栄養摂取不足、易感染状態、血小板減少による出血傾向など、皮膚トラブルのリスク因子が複数存在します。乾燥、発赤、浮腫、皮下出血、創傷治癒の遅延などの有無を観察し、栄養状態との関連を評価するとよいでしょう。
また、ベッド上で過ごす時間が大半を占めることから、活動量の低下による皮膚への圧迫も懸念されます。7歳で体重も成人に比べれば軽いとはいえ、栄養状態の悪化により皮下脂肪や筋肉量が減少していれば、褥瘡のリスクが高まる可能性があります。血小板減少により出血リスクが高い状態であることも踏まえて、皮膚の観察とケアが必要となります。
水分摂取と代謝
食事摂取量が3割程度ということは、食事からの水分摂取も不足していることが推測されます。排尿が1日5~6回で問題ないとのことですが、これが適切な水分バランスを示しているのか、中心静脈カテーテルからの輸液により水分が補われているのかを評価する必要があります。In-Outバランスの詳細なデータがあれば、より正確な水分管理状況を把握できるでしょう。
化学療法中は薬剤の代謝や排泄のために十分な水分摂取が推奨されますが、悪心により経口摂取が困難な場合は、輸液による補正が重要となります。また、発熱時にはさらに水分需要が増加するため、発熱性好中球減少症を3回経験していることを踏まえると、水分管理には特に注意が必要です。
家族の栄養に関する認識と工夫
母親が「食事を食べてくれないことが一番心配。何か食べられるものはないか、毎日考えている」と涙ながらに話していることは、栄養摂取の重要性を十分に認識し、子どものために試行錯誤している様子を示しています。ゼリーやヨーグルトを持参するという具体的な行動は、病院食以外の選択肢を提供しようとする家族の努力の表れです。この家族の意欲を支え、より効果的な栄養摂取の工夫につなげていくための支援が重要となります。
一方で、「食べてくれない」ことへの心配が過度になり、本人にプレッシャーを与えていないか、あるいは母親自身のストレス源となっていないかも配慮する必要があります。栄養摂取は確かに重要ですが、無理に食べさせることが逆効果になることもあるため、家族と医療者が協働して適切な目標設定と方法を見出していく視点が大切です。
アセスメントの視点
栄養-代謝パターンでは、化学療法による副作用、骨髄抑制の影響、成長期特有の栄養需要、そして家族の関わりを統合的に評価することが求められます。現在の食事摂取量3割という状況は、7歳という成長期にある子どもにとって深刻な問題であり、短期的には治療効果や回復力に、長期的には成長・発達に影響を及ぼす可能性があります。
しかし同時に、化学療法による悪心という避けがたい副作用の中で、ゼリーやヨーグルトなど少しでも食べられるものを見つけ、摂取できていることは評価すべき点です。完全な栄養摂取が困難な中で、どのように必要最小限の栄養を確保し、成長への影響を最小限に抑えるかという視点でアセスメントすることが重要です。また、寛解導入療法が終了し、骨髄機能が回復してくれば、食欲も徐々に改善してくる可能性があることも念頭に置く必要があります。
ケアの方向性
このパターンから導かれる看護ケアの方向性としては、まず本人の嗜好や食べやすさを最優先した食事内容の調整が挙げられます。少量でも栄養価の高いものを選択し、1回量を減らして回数を増やすなど、摂取しやすい工夫が必要です。制吐剤の効果を評価し、必要に応じて投与時間や種類の調整を医師に提案することも重要でしょう。
口腔ケアを徹底し、口腔粘膜炎の予防と早期発見に努めることで、食事摂取の障害を最小限に抑えることができます。また、食事の環境を整え、できるだけリラックスして食事ができるよう配慮することも大切です。家族に対しては、現在の工夫を評価しつつ、さらに効果的な方法を一緒に考えていく姿勢を示すことで、家族の不安を軽減し、協働的な栄養管理を実現していくことが求められます。
経口摂取のみで必要栄養量を確保することが困難な場合は、輸液による栄養補給や、必要に応じて経腸栄養・静脈栄養の導入も検討する必要があります。栄養状態を示す検査データを定期的にモニタリングし、成長曲線上の位置を追跡することで、栄養管理の効果を客観的に評価していくことが重要です。
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