看護過程の解説【川崎病-免疫グロブリン療法後の2歳男児】ゴードン・ヘンダーソン・関連図・看護計画

小児

本記事では、看護師の思考プロセスを詳しく解説します。

実際の臨床では患者さんごとに状況が異なりますが、「わたしならどう考えるか」を具体的に示すことで、あなた自身の考える力を育てることを目指します。

この記事を参考に思考プロセスを学び、看護過程が得意になってもらえたら嬉しいです。

それでは、見ていきましょう。

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免責事項
本記事は教育・学習目的の情報提供です。事例は完全なフィクションであり、個別の診断・治療の根拠ではありません。実際の看護実践は患者の個別性を考慮し、指導者の指導のもと行ってください。本記事をそのまま課題として提出しないでください。内容の完全性・正確性は保証できず、本記事の利用により生じた損害について一切の責任を負いません。


基本情報

A氏は2歳男児である。身長88cm、体重12kgであり、標準的な体格である。家族構成は父親(32歳、会社員)、母親(30歳、専業主婦)、A氏の3人家族で、キーパーソンは母親である。職業は保育園児である。性格は活発で人懐っこく、言葉の発達も年齢相応である。感染症の既往はなく、アレルギーもない。認知力は年齢相当であり、発達の問題は認められていない。

病名

川崎病(小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)

既往歴と治療状況

これまで大きな病気や入院歴はなく、乳児健診・1歳半健診では特に異常を指摘されていない。予防接種はスケジュール通りに受けており、BCG接種部位の発赤も今回認められた。治療中の疾患はなく、服薬もない。

入院から現在までの情報

4月15日に40.0℃の発熱、全身倦怠感を主訴に小児科外来を受診した。解熱剤で一時的に解熱するものの38.5℃以上の高熱が4日間持続した。4月18日には両眼の結膜充血、口唇の紅潮・亀裂、イチゴ舌、体幹部を中心とした発疹、手足の硬性浮腫が出現した。4月19日に再受診し、血液検査で白血球増加、CRP高値、血小板増加を認め、川崎病と診断され入院となった。入院当日から免疫グロブリン大量療法(2g/kg)の点滴静注とアスピリン(30mg/kg/日)の内服を開始した。治療開始後24時間で解熱し、全身状態は徐々に改善した。入院7日目の心エコー検査で冠動脈の軽度拡張を認めたため、アスピリンを抗血小板用量(5mg/kg/日)に減量し継続している。入院12日目の現在、皮膚症状は軽快し、手指の膜様落屑(皮むけ)が観察されている。

バイタルサイン

来院時
体温40.0℃、脈拍140回/分、呼吸数32回/分、血圧96/50mmHg、SpO2 98%(室内気)であった。
現在
体温36.8℃、脈拍100回/分、呼吸数24回/分、血圧88/46mmHg、SpO2 99%(室内気)と、バイタルサインは安定している。

食事と嚥下状態

入院前
離乳食は完了しており、普通食を3食摂取していた。食欲は良好で、偏食なく栄養バランスの取れた食事を摂取できていた。嚥下状態に問題はなかった。
現在
入院直後は発熱や口腔内の痛みにより食欲不振がみられたが、解熱後は徐々に食欲が回復し、現在は小児食を7〜8割摂取できている。水分摂取も良好で、嚥下状態に問題はない。喫煙・飲酒の習慣はない。

排泄

入院前
排尿・排便ともにおむつを使用していたが、排尿は1日6〜7回、排便は1日1回の普通便で規則的であった。
現在
おむつ使用中。排尿は1日5〜6回で尿量・性状に異常はない。排便は治療開始直後に一時的な軟便がみられたが、現在は1日1回の普通便に戻っている。下剤の使用はなし。

睡眠

入院前
夜間は21時〜7時まで熟睡していた。日中は昼寝を1〜2時間程度とっていた。
現在
入院当初は発熱や治療による不快感から夜間の睡眠が断続的であったが、症状改善後は夜間の睡眠状態は良好となった。日中も活動的になり、午後に1時間程度の昼寝をとっている。眠剤等の使用はなし。

視力・聴力・知覚・コミュニケーション・信仰

視力・聴力は年齢相応で問題なし。知覚に異常はなく、痛みの訴えは適切に表現できる。コミュニケーションは2歳児として適切に取れており、簡単な言葉で意思表示ができる。急性期には不機嫌で啼泣が多かったが、現在は笑顔も見られる。特定の宗教的背景はなし。

動作状況

歩行
入院前は安定した独歩が可能であったが、入院初期は発熱や全身倦怠感により活動性が低下していた。現在は病室内を自由に歩き回れるようになった。
移乗
自力で可能であり、介助は不要。
排尿・排泄
おむつ使用中のため介助が必要。
入浴
全介助が必要。入院初期は全身状態不良のため清拭のみだったが、現在は母親の介助でシャワー浴ができるようになった。
衣類の着脱
上着の脱衣は自分でできるが、着衣や下着の着脱には介助が必要。
転倒歴
これまでに転倒歴はない。

内服中の薬
  • アスピリン 60mg(5mg/kg/日) 1日1回 朝食後

看護師管理で行っている。内服薬はシロップ剤に混ぜて服用しており、拒薬はなく確実に内服できている。

検査データ
検査項目入院時(4月19日)最近(4月30日)基準値
WBC18,500/μL9,800/μL4,000-9,000/μL
RBC420万/μL410万/μL400-550万/μL
Hb11.2g/dL11.0g/dL11.0-14.0g/dL
Ht34.5%33.8%33.0-42.0%
Plt45.0万/μL52.0万/μL15.0-35.0万/μL
CRP8.5mg/dL0.5mg/dL0.0-0.3mg/dL
ESR58mm/hr15mm/hr3-15mm/hr
Na132mEq/L138mEq/L135-145mEq/L
K4.0mEq/L4.2mEq/L3.5-5.0mEq/L
Cl98mEq/L100mEq/L98-108mEq/L
AST65U/L32U/L10-40U/L
ALT58U/L30U/L5-40U/L
Alb2.8g/dL3.6g/dL3.5-5.5g/dL
尿蛋白(-)(-)(-)
尿潜血(-)(-)(-)
尿白血球2+(-)(-)
今後の治療方針と医師の指示

現在の治療を継続し、冠動脈瘤の形成がないことを確認できれば退院を検討する。アスピリンの内服は冠動脈の拡張が消失するまで継続する方針である。今後は週に1回の心臓超音波検査を実施し、冠動脈の状態を評価していく。退院後も2週間に1回の外来通院で心臓超音波検査、血液検査によるフォローが必要である。発熱や冠動脈症状(胸痛、息切れ、顔色不良など)がある場合は速やかに受診するよう指示されている。3か月後に冠動脈の状態に問題がなければ、アスピリンの内服を中止する予定である。

本人と家族の想いと言動

A氏は治療により症状が軽快しているため、機嫌も改善しており、病棟内で遊ぶ姿も見られるようになった。しかし、点滴や検査に対する恐怖感から、処置の際には啼泣がみられることがある。母親は「初めて聞く病気で、心臓に影響があると聞いて不安です」と話しており、医療者からの説明を熱心に聞き、治療に協力的である。「この病気は完全に治るのですか?」「後遺症が残ることはありますか?」と予後に関する質問を繰り返している。父親は仕事が忙しいが、休日には面会に来ており、「早く元気になってほしい」と心配している。両親は退院後の生活や予防接種の再開時期についても質問しており、A氏の今後の成長発達に対する不安を抱えているが、医療者の説明を前向きに受け止めようとする姿勢が見られる。


ゴードン11項目アセスメント解説

1. 健康知覚-健康管理パターンのポイント

このパターンでは、2歳児という発達段階を踏まえ、本人ではなく家族(特に母親)の健康管理能力と疾患理解を中心に評価することが重要です。川崎病という初めて経験する疾患に対する家族の受け止め方と、今後の長期フォローアップへの準備状況を把握することがポイントとなります。

どんなことを書けばよいか

健康知覚-健康管理パターンでは、以下のような視点からアセスメントを行います。

  • 疾患についての本人・家族の理解度(病態、治療、予後など)
  • 疾患や治療に対する受け止め方、受容の程度
  • 現在の健康状態や症状の認識
  • これまでの健康管理行動(受診行動、服薬管理、生活習慣など)
  • 疾患が日常生活に与えている影響の認識
  • 健康リスク因子(喫煙、飲酒、アレルギー、既往歴など)

これまでの健康管理状況

A氏はこれまで大きな病気や入院歴がなく、乳児健診・1歳半健診でも異常を指摘されていません。予防接種はスケジュール通りに受けており、これは両親が適切な健康管理行動をとってきたことを示しています。このような家族の健康管理能力の高さは、退院後の継続的なフォローアップにおいて重要な強みとなるため、アセスメントに含めるとよいでしょう。

発症から受診までの経過

4月15日の発熱から4日間高熱が持続し、4月19日に再受診して川崎病と診断されています。解熱剤で一時的に解熱するものの38.5℃以上の高熱が続いたことで再受診に至っており、症状の変化を適切に観察し、必要な時期に医療機関を受診できる判断力があることがわかります。この点を踏まえて、家族の症状観察能力や受診行動の適切性を評価するとよいでしょう。

家族の疾患理解と心理状態

母親は「初めて聞く病気で、心臓に影響があると聞いて不安です」と話しており、川崎病という聞き慣れない疾患に対する不安を抱えています。また「この病気は完全に治るのですか?」「後遺症が残ることはありますか?」と予後に関する質問を繰り返していることから、冠動脈病変という合併症への強い不安があることが読み取れます。一方で、医療者からの説明を熱心に聞き、治療に協力的である姿勢も見られます。このような家族の心理状態と情報ニーズを把握し、必要な支援を考えることが重要です。

今後の健康管理に関する認識

両親は退院後の生活や予防接種の再開時期についても質問しており、A氏の今後の成長発達に対する関心が高いことがわかります。心エコー検査で冠動脈の軽度拡張が認められており、アスピリンの継続内服と定期的な外来フォローが必要となることから、長期的な健康管理への理解と準備状況を評価することが求められます。

アセスメントの視点

このパターンでは、家族がこれまで適切な健康管理を行ってきた強みと、川崎病という新たな疾患に直面した際の不安や情報ニーズを統合的に捉えることが重要です。特に冠動脈病変のフォローアップが長期にわたる可能性があることを踏まえ、家族の理解度と心理的準備状況を評価し、退院に向けた指導計画に反映させる視点を持つとよいでしょう。

ケアの方向性

家族の不安軽減のため、川崎病の病態、治療経過、予後について理解度に応じた説明を行い、疑問に丁寧に答えていくことが重要です。退院後のアスピリン内服管理、定期受診の必要性、注意すべき症状(発熱、胸痛、息切れ、顔色不良など)について、家族が理解し実践できるよう段階的に指導を進めていく方向性が考えられます。


2. 栄養-代謝パターンのポイント

このパターンでは、2歳児の成長発達に必要な栄養摂取状況と、川崎病の急性期における口腔内症状や発熱が食事摂取に与えた影響、そして回復期に向けた栄養状態の改善を評価することが重要です。

どんなことを書けばよいか

栄養-代謝パターンでは、以下のような視点からアセスメントを行います。

  • 食事と水分の摂取量と摂取方法
  • 食欲、嗜好、食事に関するアレルギー
  • 身長・体重・BMI・必要栄養量・身体活動レベル
  • 嚥下機能・口腔内の状態
  • 嘔吐・吐気の有無
  • 皮膚の状態、褥瘡の有無
  • 栄養状態を示す血液データ(Alb、TP、RBC、Ht、Hb、Na、K、TG、TC、HbA1c、BSなど)

身体発育状況

A氏は身長88cm、体重12kgで標準的な体格とされています。2歳児の成長曲線における位置づけを確認し、これまでの発育が順調であったことを踏まえてアセスメントするとよいでしょう。入院前は離乳食を完了し、普通食を3食摂取しており、偏食なく栄養バランスの取れた食事を摂取できていたことから、基本的な栄養摂取パターンは良好であったと考えられます。

急性期における食事摂取への影響

入院直後は発熱や口腔内の痛みにより食欲不振がみられました。川崎病の特徴的な症状として口唇の紅潮・亀裂、イチゴ舌が出現しており、これらの口腔粘膜症状が食事摂取を困難にした要因として考えられます。このような疾患特有の症状が栄養摂取に与える影響を理解し、アセスメントに反映させることが重要です。

現在の食事摂取状況と回復傾向

解熱後は徐々に食欲が回復し、現在は小児食を7〜8割摂取できています。水分摂取も良好で、嚥下状態に問題はありません。治療開始後24時間で解熱し、全身状態が改善したことで食欲も回復傾向にあることを踏まえ、引き続き十分な栄養摂取ができるよう支援する視点を持つとよいでしょう。

皮膚・粘膜の状態

急性期には両眼の結膜充血、口唇の紅潮・亀裂、体幹部を中心とした発疹、手足の硬性浮腫が出現しました。入院12日目の現在、皮膚症状は軽快し、手指の膜様落屑(皮むけ)が観察されています。この膜様落屑は川崎病の回復期に特徴的な所見であり、皮膚の状態変化を経時的に観察し記録することが重要です。

栄養状態を示す血液データの変化

血液データでは、入院時Alb 2.8g/dLと低値でしたが、最近の検査では3.6g/dLに改善しています。また、Hb 11.0g/dL、Ht 33.8%と軽度の貧血傾向が見られます。電解質ではNaが入院時132mEq/Lと低値でしたが、現在は138mEq/Lに改善しています。これらの検査データの推移を踏まえ、栄養状態の回復過程を評価するとよいでしょう。

アセスメントの視点

このパターンでは、川崎病の急性期における口腔粘膜症状が食事摂取に与えた影響と、治療効果による症状軽快に伴う栄養摂取の回復過程を統合的に評価することが重要です。2歳児という成長発達の重要な時期にあることを踏まえ、十分な栄養摂取が確保されているかを継続的に評価する視点を持つとよいでしょう。

ケアの方向性

現在の食事摂取量(7〜8割)をさらに向上させ、成長発達に必要な栄養を確保できるよう支援することが重要です。口腔内症状の残存がないか観察を続けながら、年齢に適した食事形態や摂取環境の調整を行い、楽しく食事ができるよう工夫する方向性が考えられます。

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コメント

  1. 藤丸 より:

    川崎病のアセスメントを依頼した者です!とっても詳しくまとめられていて、大変助かりました…!!今学校でケースラーニングがいくつもあって、特に小児と母性の領域で詰まっていたので、参考にさせていただきます!ありがとうございました😭

    • なっちゃん より:

      暖かいコメントありがとうございます✨そのように言っていただけるととても励みになります😊もし他にも作成して欲しい事例があればリクエストしてくださいネ☆

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