【ゴードン】大腿骨転子部骨折 在宅復帰を目指す(0004)| 3.排泄

ゴードン

本事例の要約

右大腿骨転子部骨折後、γネイル固定術を施行し、術後3週間が経過した85歳女性の事例。骨粗鬆症、高血圧症、高脂血症の既往があり、術後のリハビリテーションは概ね順調に進んでいるものの、ADLに一部介助を要する状態。本人は早期の茶道教室再開を希望しているが、家族は安全な在宅復帰を重視しており、目標設定に違いがみられる事例。介入は術後3週間目である。

3.排泄

A氏の排泄状況について、術後3週間が経過した現在、排尿は1日6-7回で夜間は1-2回であり、排便は1日1回と入院前と同様の回数を維持している。排尿回数は高齢者の生理的な変化として妥当な範囲であるが、夜間排尿による中途覚醒は転倒リスクと睡眠の質低下につながる可能性があるため注意を要する。腎機能は血清クレアチニン値0.7mg/dL、尿素窒素16mg/dLと正常範囲内であり、電解質バランスも保たれている。水分摂取量は1日1200-1400mlと、体重42kgから算出される必要量(30ml/kg/日で約1260ml/日)を満たしており適切である。ただし、入院前の1500mlと比較してやや減少していることから、活動量の増加に伴う発汗量の変化や、気温の変化による必要量の調整について継続的な評価が必要である。排尿に関する自覚症状の訴えはないが、高齢女性では腹圧性尿失禁のリスクが高まるため、排尿状態の継続的な観察と記録が必要である。

排便については、ブリストルスケール4型で性状は良好である。術後の安静による腸管運動の低下や、環境変化によるストレスから便秘のリスクが高まる可能性があるため、予防的に酸化マグネシウム330mg錠を1日1回朝食後に内服している。腸蠕動音に関する情報は不足しているため、聴診による評価が必要である。また、食事摂取量や水分摂取量との関連性を観察し、必要に応じて下剤の調整を検討する必要がある。

排泄行動については、ポータブルトイレを使用して概ね自立している。立ち上がり動作では手すりを使用し、必要時に軽介助を要する状態である。術側の右下肢への荷重制限や両側変形性膝関節症の影響から、立ち上がり動作時の膝折れリスクがあるため、夜間は特に注意が必要である。また、高齢者では急な尿意による起立性低血圧のリスクも考慮する必要がある。

膀胱留置カテーテルは術直後に抜去されており、現在は使用していない。排尿自立度は良好であるが、夜間のポータブルトイレ使用時は転倒予防のため、ナースコールの活用を継続する必要がある。また、排泄動作時の下肢筋力の状態や疼痛の程度を評価し、必要に応じてリハビリテーションスタッフと連携して動作指導を行うことが重要である。

退院に向けては、自宅での排泄環境の整備が必要となる。マンション3階の居住環境を考慮し、トイレまでの動線確保や手すりの設置位置、夜間の照明など、環境整備について長女を含めた家族と相談する必要がある。また、夜間頻尿による転倒リスク軽減のため、夕方以降の水分摂取調整や就寝前の排尿習慣の確立など、生活リズムの調整も必要である。

排泄状態は全身状態を反映する重要な指標であるため、排尿回数、排便回数、性状、水分出納、下剤使用状況などについて継続的なモニタリングが必要である。特に高齢者では脱水や便秘のリスクが高いため、食事・水分摂取量との関連性を踏まえた包括的な評価を行う必要がある。また、自己主張が強い性格を考慮し、本人の排泄に関する希望や習慣を尊重しながら、安全な排泄行動の確立に向けて支援していく必要がある。

看護問題の明確化

# 夜間の軽度頻尿と下肢筋力低下に関連した転倒リスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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