【ゴードン】大腿骨転子部骨折 在宅復帰を目指す(0004)| 6.認知-知覚

ゴードン

本事例の要約

右大腿骨転子部骨折後、γネイル固定術を施行し、術後3週間が経過した85歳女性の事例。骨粗鬆症、高血圧症、高脂血症の既往があり、術後のリハビリテーションは概ね順調に進んでいるものの、ADLに一部介助を要する状態。本人は早期の茶道教室再開を希望しているが、家族は安全な在宅復帰を重視しており、目標設定に違いがみられる事例。介入は術後3週間目である。

6.認知-知覚

A氏の認知-知覚の状況について、意識レベルは清明であり、見当識は日時・場所・人物の認識に問題はない。認知機能について、入院時のミニメンタルステート検査では28/30点であり、計算と遅延再生で各1点の減点があったものの、日常生活に支障をきたすような認知機能の低下は認められない。元会社員としての経験もあり、論理的な思考と表現が可能である。

感覚機能については、視力は老眼があり読書時と茶道の際には近用眼鏡を使用している。聴力は左右ともに軽度低下があるものの、通常の会話に支障はない。加齢による感覚機能の低下は見られるが、コミュニケーションや日常生活動作に大きな影響を及ぼすレベルではない。術側の右下肢については、術後の創部痛以外の異常感覚は報告されていない。

不安については、「このまま元通りの生活に戻れるだろうか」という発言があり、3ヶ月以内の杖歩行自立と茶道教室再開という具体的な目標に対する不安を抱えている。この不安は夜間の不眠にも影響を与えている可能性がある。一方で、仏教信仰があり、毎朝の読経の時間を持つことで精神的な支えを得ており、回復への意欲にもつながっている。

性格特性として温厚でありながら自己主張が強く、医療者の助言を受け入れにくい面があり、「今までも自分のやり方でやってきた」という発言が聞かれる。このことは、医療者との信頼関係の構築や治療方針の受け入れに影響を与える可能性がある。

必要な看護介入として、まず視力・聴力の低下を考慮した環境調整が重要である。説明時には適切な照明下で対面して話すこと、文字の大きさや見やすい位置に注意を払うことが必要である。また、転倒予防の観点から、夜間のポータブルトイレ使用時には適切な照明の確保が重要である。

不安への対応としては、リハビリテーションの進捗状況や目標達成に向けての具体的な段階を本人と共有し、できていることを認めながら自信を持てるよう支援することが重要である。また、仏教信仰による精神的支えを大切にし、読経等の時間が確保できるよう配慮する必要がある。

医療者との関係性については、本人の価値観や生活習慣を尊重しながら、安全性の確保という観点から必要な介入について丁寧に説明し、理解を得ていく必要がある。特に、茶道教室再開という目標に向けて、本人の経験や知識を活かしながら、安全な動作方法を共に検討していく姿勢が重要である。

継続的な観察項目として、認知機能の変化、不安の程度や内容の変化、疼痛の自覚とその表現、医療者の助言に対する受け入れ状況などをモニタリングする必要がある。また、退院に向けて、自宅での生活再開に対する具体的な不安の内容を把握し、必要な支援を検討する必要がある。長女を含めた家族との連携も重要であり、本人の性格特性を踏まえた関わり方について共有していく必要がある。

看護問題の明確化

# 大腿骨転子部骨折の術後に関連した退院後の生活に不安がある

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

看護の攻略部屋wiki

看護学生をお助け | 看護過程の見本 | 完全無料でコピー&ペースト(コピペ)OK


コメント

タイトルとURLをコピーしました