【ゴードン】大腿骨転子部骨折 在宅復帰を目指す(0004)| 9.性-生殖

ゴードン

本事例の要約

右大腿骨転子部骨折後、γネイル固定術を施行し、術後3週間が経過した85歳女性の事例。骨粗鬆症、高血圧症、高脂血症の既往があり、術後のリハビリテーションは概ね順調に進んでいるものの、ADLに一部介助を要する状態。本人は早期の茶道教室再開を希望しているが、家族は安全な在宅復帰を重視しており、目標設定に違いがみられる事例。介入は術後3週間目である。

9.性-生殖

A氏は85歳の女性であり、5年前に夫と死別し現在は独居生活を送っている。長女(54歳)と次男(50歳)が近隣市に在住しており、特に長女が週2回の訪問を行うなど、主たる支援者となっている。生殖期から更年期を経て、すでに老年期に入っており、加齢に伴う生理的変化が生じていることが予測される。現在の性ホルモンの状態や更年期症状の既往については情報が不足しているため、更年期症状の有無やその際の対処方法、現在の加齢に伴う泌尿生殖器系の変化(腟粘膜の萎縮や尿失禁の有無など)について確認する必要がある。

骨粗鬆症の診断を受けており、T値が-3.2と著明な低下を認めることから、エストロゲン低下による影響が示唆される。骨代謝改善を目的としてビスホスホネート製剤であるアレンドロン酸35mgを週1回服用しており、これは破骨細胞の働きを抑制することで骨吸収を抑制する作用を持つ。併せて、腸管からのカルシウム吸収を促進する活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール1.0μg)と、カルシウムの補給を目的とした沈降炭酸カルシウム(1500mg/日)を服用している。これらの薬剤は骨形成と骨吸収のバランスを整え、骨密度の改善を図る目的で処方されているが、今回の大腿骨転子部骨折の発生は、現在の治療効果が十分でない可能性を示唆している。

特にアレンドロン酸は、上部消化管への刺激性があるため空腹時服用と服用後30分間の座位保持が必要であり、確実な服薬管理と副作用の観察が重要である。また、カルシウム製剤は便秘を引き起こす可能性があり、現在服用中の酸化マグネシウムによる排便コントロールとの関連も考慮が必要である。活性型ビタミンD3製剤については、高カルシウム血症のリスクがあるため、定期的な血清カルシウム値のモニタリングが必要である。現在の血清カルシウム値は検査データには明示されていないため、確認と継続的な観察が必要である。これらの状況を踏まえ、骨粗鬆症治療薬の種類や用量の見直し、さらには注射製剤への変更なども含めた治療方針の再検討が必要な状況である。

夜間の排尿が1-2回みられており、加齢に伴う膀胱機能の変化による影響が考えられる。現在はポータブルトイレを使用しているが、夜間頻尿が不眠の一因となっている可能性があり、排尿パターンの詳細な観察と評価が必要である。

夫との死別後の心理面での影響や、独居生活における孤独感についても考慮が必要である。茶道教室の開催は社会との重要な接点となっており、自己実現や生きがいとしての意味を持っているため、教室再開に向けた支援は重要である。一方で、長女は仕事と介護の両立に不安を抱えており、今後の介護負担の増大が予測されることから、地域包括支援センターや介護支援専門員と連携し、介護保険サービスの活用を含めた支援体制の構築を検討する必要がある。

護介入としては、まず排尿状況の詳細な把握と評価を行い、必要に応じて排尿ケアの指導を実施する。また、夜間の排尿による転倒リスクを軽減するため、ポータブルトイレの適切な配置や照明の工夫などの環境調整を行う。骨粗鬆症に対しては、薬物療法の確実な実施とともに、カルシウム摂取や運動療法についての指導を行う。さらに、退院後の生活を見据え、住環境の評価と必要な改修の提案、介護保険サービスの利用調整など、多職種と連携した支援を展開していく必要がある。

継続的な観察が必要な点として、排尿パターンの変化、夜間の睡眠状況、骨粗鬆症治療の効果、そして家族の介護負担状況が挙げられる。特に退院後は、地域の医療・介護サービスと連携しながら、定期的なフォローアップを行っていく必要がある。

看護問題の明確化

# 加齢および骨粗鬆症に関連した病的骨折のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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