【ゴードン】大腿骨転子部骨折 在宅復帰を目指す(0004)| 8.役割-関係

ゴードン

本事例の要約

右大腿骨転子部骨折後、γネイル固定術を施行し、術後3週間が経過した85歳女性の事例。骨粗鬆症、高血圧症、高脂血症の既往があり、術後のリハビリテーションは概ね順調に進んでいるものの、ADLに一部介助を要する状態。本人は早期の茶道教室再開を希望しているが、家族は安全な在宅復帰を重視しており、目標設定に違いがみられる事例。介入は術後3週間目である。

8.役割-関係

A氏は元会社員で定年後は茶道の教授資格を活かし、自宅で教室を開いている。この教室運営は単なる趣味の活動を超えて、社会との重要な接点となっており、「早く教室に戻りたい。生徒たちが待っているから」という発言からは、責任感と使命感が強く感じられる。また、週1回の読経会への参加は、仏教信仰を基盤とした地域社会との繋がりを形成しており、精神的な支えとなっている。今回の入院により、これらの社会活動が一時的に中断を余儀なくされている状況である。

家族関係については、5年前に夫を亡くして以降、マンション3階で独居生活を送っているが、長女(54歳)と次男(50歳)が近隣市に在住しており、特に長女が週2回の訪問を行うキーパーソンとして支援している。長女は「早く元の生活に戻りたがっているけれど、無理をさせたくない」と本人の意向と安全性の確保の間で葛藤を抱えており、仕事と介護の両立にも不安を感じている。次男も含めた家族は、安全な在宅復帰と転倒予防を最優先課題として捉えており、「できるだけ母の希望に沿いたいが、私たちにできるサポートには限限がある」という発言からは、介護負担への懸念が伺える。

経済状況に関する具体的な情報は不足しているが、マンション居住であること、定期的な服薬管理ができていたこと、茶道教室を運営しているという情報から、一定の経済的基盤はあると推測される。ただし、今後の在宅サービスの利用や住環境の整備に関する経済的負担について、詳細な情報収集が必要である。

必要な看護介入として、まず社会活動の再開に向けた具体的な計画立案が重要である。茶道教室の再開については、本人の目標である3ヶ月以内の達成を目指しながら、床座位での動作訓練など、段階的なアプローチを検討する必要がある。また、読経会への参加再開についても、本人の精神的健康の維持という観点から支援を検討する必要がある。

家族支援については、長女の介護負担感に配慮しながら、利用可能な社会資源の情報提供や、具体的な支援体制の構築を行う必要がある。特に、仕事と介護の両立が可能となるよう、在宅サービスの活用や緊急時の対応体制について、家族を含めた話し合いが必要である。

継続的な観察項目として、家族の面会時の様子や会話の内容、本人と家族の関係性の変化、社会活動再開への具体的な準備状況などをモニタリングする必要がある。また、退院後の生活を見据え、医療・介護サービスの利用に関する経済的側面についても確認が必要である。さらに、長女の介護負担感や不安の程度を定期的に評価し、必要に応じて支援内容の調整を行う必要がある。

看護問題の明確化

# 大腿骨転子部骨折の入院に伴う社会的役割の中断と介護力不足に関連した退院後の役割遂行ができないリスク

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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