【ゴードン】大腿骨転子部骨折 在宅復帰を目指す(0004)| 2.栄養-代謝

ゴードン

本事例の要約

右大腿骨転子部骨折後、γネイル固定術を施行し、術後3週間が経過した85歳女性の事例。骨粗鬆症、高血圧症、高脂血症の既往があり、術後のリハビリテーションは概ね順調に進んでいるものの、ADLに一部介助を要する状態。本人は早期の茶道教室再開を希望しているが、家族は安全な在宅復帰を重視しており、目標設定に違いがみられる事例。介入は術後3週間目である。

2.栄養-代謝

A氏は身長148cm、体重42kg、BMI19.2とやや低体重傾向にある。85歳の高齢者で骨折後の回復期であることを考慮すると、基礎エネルギー消費量(BEE)は、ハリス・ベネディクト方程式(女性:655.1 + 9.56 × 体重kg + 1.85 × 身長cm – 4.68 × 年齢)を用いて算出すると約1100kcal/日となる。これに活動係数1.2、ストレス係数1.2を乗じると、必要栄養量は約1600kcal/日(約38kcal/kg/日)となる。水分必要量は30ml/kg/日で約1260ml/日が目安となる。入院前は1日3食を自力で摂取し、栄養バランスにも気を配っていたが、現在は疲労により食事に15分程度の休憩を要する状況である。嚥下機能は良好で、食事時間は入院前は1食あたり20~30分程度であったが、術後の疲労により時間を要している。また、水分摂取量は入院前の1日1500mlから1200-1400mlへと若干減少しているが、現在の必要量は確保できている。

血液検査データでは、アルブミン値が3.5g/dL(基準値3.8-5.2g/dL)と低値を示し、総タンパク値も6.5g/dL(基準値6.5-8.2g/dL)と基準値下限である。また、赤血球関連データでは、赤血球数348万/μL(基準値380-500万/μL)、ヘモグロビン値11.2g/dL(基準値11.5-15.0g/dL)、ヘマトクリット値34.2%(基準値35-45%)と、いずれも軽度の貧血を示している。電解質については、ナトリウム138mEq/L、カリウム4.0mEq/Lと基準値内であるが、手術後の回復期であることを考慮すると、継続的なモニタリングが必要である。

これらの検査値の低下は、手術による侵襲や活動量の低下、高齢による消化吸収機能の低下が複合的に影響している可能性がある。特に、骨折の治癒過程において必要となるタンパク質やカルシウムの需要増加に対して、現在の栄養摂取が追いついていない状態と考えられる。

皮膚の状態や褥瘡の有無、義歯の状態に関する具体的な情報は不足しているため、詳細な観察と評価が必要である。特に、低栄養状態は創傷治癒の遅延や褥瘡発生のリスク因子となるため、定期的な皮膚の観察と予防的なケアが重要である。

必要な看護介入として、まず栄養状態の改善に向けた支援が優先される。具体的には、タンパク質とカルシウムを強化した食事内容の検討と、疲労を考慮した食事時間の調整が必要である。また、定期的な体重測定と栄養指標のモニタリング、水分出納バランスの確認を継続する。食事摂取量や疲労度の観察を行い、必要に応じて栄養補助食品の導入も検討する。

退院後の栄養管理に向けて、本人と家族への栄養指導も重要である。特に茶道教室再開後の活動量増加を見据え、必要栄養量の確保と水分摂取の重要性について理解を促す必要がある。また、長女の訪問時に合わせて食事内容の確認や助言を行うことで、退院後の継続的な栄養管理を支援することが重要である。

今後も定期的な血液検査による評価を継続し、特に貧血の進行や低アルブミン血症の改善状況について注意深く観察していく必要がある。また、活動量の増加に伴う必要栄養量の変化にも注目し、適切な栄養摂取量の調整を行っていくことが重要である。

看護問題の明確化

# 手術後の疲労と活動量低下に関連した栄養摂取量不足のリスク状態
# 食事管理に関する知識不足に関連した退院後の栄養管理セルフケア不足

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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