本事例の要約
この事例は、不適切な食事習慣と運動不足により肥満(BMI 29.4)を呈し、血糖コントロール不良となった45歳男性のⅡ型糖尿病患者の教育入院における看護介入事例である。IT企業の中間管理職として働くA氏は、多忙な業務により不規則な生活を送っており、特に食事の量や時間が不規則で、運動習慣がない生活を続けていた。今回、定期健康診断での著しい血糖値の上昇を契機に、生活習慣の改善と糖尿病自己管理能力の獲得を目的として教育入院となった。入院3日目の時点での看護展開を行う。
7.自己知覚-自己概念
A氏は几帳面で仕事熱心な性格であり、中間管理職としての責任感が強く、仕事を最優先する傾向が顕著である。一方で、自身の健康管理については楽観的な態度を示しており、この認識の違いが生活習慣の改善を妨げる要因となっている。疾患に対する認識としては、「このまま放っておくと重症化するのではないか」という不安を抱えているものの、具体的な生活改善の方法がわからず戸惑いを感じている状態である。
現在の体重90kg、BMI 29.4という数値から肥満状態にあるが、ボディイメージに関する具体的な受け止め方については情報が不足している。特に、体重増加の過程や、自身の体型に対する考え方、今後の体重管理に対する意欲について、詳細な情報収集が必要である。
IT企業という職場環境において、仕事量や責任の増大、部下の管理など、中間管理職としての期待や要求に応えようとするあまり、自身の健康管理が後回しになっている状況が推察される。特に、「仕事が忙しくて、食事の時間も不規則になってしまう」という発言からは、仕事と健康管理の両立に困難を感じている心理状態が読み取れる。
家族関係においては、妻が「家族でできることは協力したい」と支援の意思を示しているものの、具体的な方法がわからず戸惑っている状況である。また、10代の子どもたちとの生活時間が合わないことで、家族との共有時間が減少している可能性がある。
看護介入としては、まず疾患の自己管理に対する前向きな姿勢を育てることが重要である。糖尿病教育プログラムを通じて、具体的な生活改善の方法を習得できるよう支援すると共に、小さな成功体験を積み重ねることで自己効力感を高めていく必要がある。特に、血糖値や体重の改善が見られた際には、その努力を積極的に評価し、継続的な取り組みへの動機付けを行うことが重要である。
また、仕事と健康管理の両立に向けて、職場での生活習慣改善の具体的な方策について一緒に考える機会を設けることが必要である。特に、会社の健康管理部門や上司との連携方法、業務の効率化による時間確保の方法などについて、実現可能な対策を検討することが望ましい。
家族を含めた支援体制の構築も重要である。妻の協力意欲を活かし、具体的な支援方法について家族で話し合う機会を設けることが必要である。また、子どもたちを含めた家族全体での健康的な生活習慣の確立に向けて、休日の過ごし方や食事の工夫について、家族で共有できる目標を設定することが望ましい。
今後も定期的な面談を通じて、疾患に対する認識の変化や自己管理への取り組み状況を確認し、必要に応じて支援内容を修正していく必要がある。特に、退院後の生活における不安や困難さについては、早期に把握し対応することが重要である。
看護問題の明確化
# 仕事優先の価値観と効果的な生活改善方法の知識不足に関連した健康管理への自己効力感の低下
事例の目次
【ゴードン】Ⅱ型糖尿病 教育入院(0002) | 今回の情報
1.健康知覚-健康管理
2.栄養-代謝
3.排泄
4.活動-運動
5.睡眠-休息
6.認知-知覚
7.自己知覚-自己概念
8.役割-関係
9.性-生殖
10.コーピング-ストレス耐性
11.価値-信念
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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