本事例の要約
この事例は、不適切な食事習慣と運動不足により肥満(BMI 29.4)を呈し、血糖コントロール不良となった45歳男性のⅡ型糖尿病患者の教育入院における看護介入事例である。IT企業の中間管理職として働くA氏は、多忙な業務により不規則な生活を送っており、特に食事の量や時間が不規則で、運動習慣がない生活を続けていた。今回、定期健康診断での著しい血糖値の上昇を契機に、生活習慣の改善と糖尿病自己管理能力の獲得を目的として教育入院となった。入院3日目の時点での看護展開を行う。
5.睡眠-休息
A氏の睡眠パターンは入院前後で大きく変化している。入院前は仕事の都合により23時以降の就寝となることが多く、睡眠時間は5-6時間程度と睡眠不足の状態が継続していた。また、平日と休日で睡眠時間帯が大きく異なり、休日は疲労回復のために午前中まで睡眠をとる生活を送っていたことから、生体リズムの乱れが生じていたと考えられる。このような不規則な睡眠パターンは、血糖値の上昇や食欲調節ホルモンのバランス異常を引き起こす要因となっていた可能性が高い。
入院後は病棟の規則的な生活リズムに沿って、21時の消灯時間から6時までの約9時間の睡眠時間が確保できている。日中の運動療法や教育プログラムへの参加により活動量が増加したことで、夜間の良好な睡眠が得られるようになっている。入眠障害や中途覚醒の訴えはなく、睡眠薬の使用もないことから、質の高い睡眠が確保できていると考える。
入院前に頻尿の訴えがあったことには注意が必要である。高血糖状態による浸透圧利尿の影響や、就寝前の水分摂取量との関連性について確認する必要がある。また、肥満と高血圧は睡眠時無呼吸症候群のリスク因子となるため、いびきの有無や日中の眠気の有無についても情報収集が必要である。
退院後の生活では、仕事による不規則な生活リズムへの逆戻りが懸念される。現在の良好な睡眠が得られている要因として、規則正しい食事時間、適度な運動、日中の活動性の確保が挙げられることを本人に説明し、理解を促す必要がある。特に、夜勤や残業が多い職場環境において、どのように睡眠時間を確保するかについて、具体的な対策を本人と共に検討することが重要である。
また、妻の協力を得て、帰宅時間に合わせた夕食時間の調整や、休日の睡眠時間の規則化についても話し合う必要がある。長時間労働による睡眠不足は、集中力の低下や判断力の鈍化を招き、業務効率の低下にもつながることを説明し、睡眠の重要性について意識づけを行うことが望ましい。
現時点では良好な睡眠が得られているものの、退院後の生活における睡眠習慣の維持が課題となる。そのため、睡眠日誌やメモをつけることを提案し、就寝時間、起床時間、睡眠の質、日中の眠気の有無などを記録してもらうことで、睡眠パターンの自己管理能力を高めることが必要である。また、定期的な外来受診時に睡眠状況を確認し、必要に応じて生活指導を行っていく。
看護問題の明確化
# 仕事優先の生活習慣に関連した睡眠-休息パターンの乱れ
事例の目次
【ゴードン】Ⅱ型糖尿病 教育入院(0002) | 今回の情報
1.健康知覚-健康管理
2.栄養-代謝
3.排泄
4.活動-運動
5.睡眠-休息
6.認知-知覚
7.自己知覚-自己概念
8.役割-関係
9.性-生殖
10.コーピング-ストレス耐性
11.価値-信念
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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