【ゴードン】Ⅱ型糖尿病 教育入院(0002)| 2.栄養-代謝

ゴードン

本事例の要約

この事例は、不適切な食事習慣と運動不足により肥満(BMI 29.4)を呈し、血糖コントロール不良となった45歳男性のⅡ型糖尿病患者の教育入院における看護介入事例である。IT企業の中間管理職として働くA氏は、多忙な業務により不規則な生活を送っており、特に食事の量や時間が不規則で、運動習慣がない生活を続けていた。今回、定期健康診断での著しい血糖値の上昇を契機に、生活習慣の改善と糖尿病自己管理能力の獲得を目的として教育入院となった。入院3日目の時点での看護展開を行う。

2.栄養-代謝

A氏は、身長175cm・体重89.2kgからBMIは29.1(正常値18.5以上25未満)であり、肥満1度の状態である。また、腹囲は97㎝(基準値85cm未満)、空腹時血糖198mg/dL、中性脂肪182mg/dL(基準値30-149mg/dL)という情報から、メタボリックシンドロームの診断基準(腹囲男性85cm以上に加え、①血糖高値、②脂質異常、③血圧高値のうち2項目以上)を満たしている。この状態は糖尿病悪化の促進に加え、動脈硬化の進行により心臓病や脳卒中などの重大な病気を引き起こすリスクが高まるため、改善が必要である。当面の目標として、3ヶ月で現体重の5%(約4.5kg)の減量を目指すのが良いと考える。

食生活に関して、A氏は不規則な食事時間と過剰なカロリー摂取が問題である。身長175cm、体重90kgの体格であり、基礎代謝量はハリス・ベネディクト方程式(改訂版)を用いて算出する。計算式により、基礎代謝量は約1,880kcal/日である。デスクワーク中心の生活であることから、生活活動強度を「低い(レベルⅠ)」と判断し、活動係数1.2を乗じることで、1日の必要エネルギー量は約2,300kcal/日と算出される。この量を超えないように注意する必要がある。

入院中は糖尿病食1600kcal、塩分6g/日の食事を全量摂取できている。退院後の食事管理として、外食時には麺類の汁を残すことや魚料理を優先的に選択すること、サラダのドレッシングは別添えにして調整することなどを指導する必要がある。またアルコールは週2回までとし、ビールなら350ml/回を目安とすることを提案する。職場での間食対策として、コーヒーの砂糖は1個以下に制限し、午後の間食は果物や低糖質のおやつに変更すること、仕事中の水分摂取を増やすことを推奨する。

γ-GTPが82U/L(基準値12-87U/L)と高値傾向にあることから、アルコール摂取の影響も考えられる。尿検査では尿糖が(3+)から(2+)へ改善傾向を示しているが、依然として高値である。栄養状態の評価として、総蛋白とアルブミンの確認が必要である。これらは栄養状態を評価する重要な指標であり、総蛋白6.5g/dL以上、アルブミン3.5g/dL以上が目標値となる。

総コレステロール238mg/dL、LDL-コレステロール162mg/dLと脂質異常を認めるため、食事指導が必要である。飽和脂肪酸を含む肉の脂身やバターなどを制限し、不飽和脂肪酸を含む青魚やオリーブオイルなどを適度に摂取すること、また食物繊維を積極的に摂取することを指導する。

退院後の生活を見据え、妻の協力を得ながら支援体制を構築する必要がある。食事記録を継続し、写真による記録もできないか検討する。また妻への減塩・低カロリー調理法の指導や、家族での食事時間調整、休日の外食メニュー選択のルール作りなども重要である。

これらの改善を通じて、HbA1c(過去1-2ヶ月の平均的な血糖値を反映する指標)の段階的な改善を目指す。現在のHbA1cは10.2%と基準値4.6-6.2%を大きく超えており、将来的な糖尿病性網膜症や腎症、神経障害などの合併症リスクが高い状態である。そのため、まずは8%未満、その後7%未満を目標とし、定期的な検査データのモニタリングと合わせて、食事内容や食習慣の変化を継続的に評価していく必要がある。現時点では明らかな合併症の発症は認められていないが、早急な改善が必要な状況である。

看護問題の明確化

# 糖尿病の知識不足に関連した非効果的健康管理

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

看護の攻略部屋wiki

看護学生をお助け | 看護過程の見本 | 完全無料でコピー&ペースト(コピペ)OK


コメント

タイトルとURLをコピーしました