【ゴードン】イレウス 入院2日目(0018)| 1.健康知覚-健康管理

ゴードン

本事例の要約

イレウスと診断され入院した88歳男性のA氏。腹痛と嘔吐を主訴に救急搬送され、腸閉塞と診断された。保存的治療目的で入院となり、現在はイレウス管による減圧治療中である。入院2日目の11月15日に介入するという事例。

1.健康知覚-健康管理

A氏(88歳・男性)はイレウス(腸閉塞)の診断で入院している。イレウスとは腸管内容物の通過障害であり、本症例では2年前の虫垂切除術後の腹部手術による癒着が原因と考えられる。腹痛や嘔吐といった症状が出現し、腸管内容物の通過障害により腹部膨満を呈している。現在は手術ではなく、イレウス管による保存的治療が行われている状態である。

A氏の健康状態としては、高齢であること、複数の既往歴があること、現在のイレウスによる全身状態の変化などが複合的に影響している。入院時のバイタルサインでは体温37.8℃、脈拍92回/分と軽度の炎症反応を示していたが、現在は体温36.8℃、脈拍80回/分と安定傾向にある。しかし、血液検査データでは白血球数11,500/μL、CRP 8.20mg/dLと炎症反応が継続しており、イレウスによる全身状態への影響が続いていると考えられる。また、Hb 11.2g/dL、Ht 36.2%と軽度の貧血も認められる。

受診行動については、腹痛と嘔吐が出現した当日に救急搬送されており、症状への対応は適切であったと考えられる。日常的にも高血圧や大腸ポリープの治療のため定期的に近医を受診しており、健康管理に対する意識は高いと評価できる。疾患や治療への理解については、「早く良くなって帰りたい」「前の手術のように、また手術になるのでは」という発言から、ある程度イレウスの治療過程を理解していると考えられるが、現在の保存的治療の目的や経過についての詳細な理解度を確認する必要がある。

服薬状況に関しては、入院前は自己管理で内服できていたが、現在は絶飲食のため降圧剤(アムロジピン)のみ粉砕して経管投与となっている。高血圧の治療を10年間継続していることから、服薬の重要性は理解していると考えられる。しかし、腎機能の低下(eGFR 45mL/min/1.73㎡)が認められるため、薬物の排泄遅延に注意が必要である。

身体状況としては、身長160cm、体重53kgでBMIは20.7であり、標準体重である。しかし、高齢者においては栄養状態の指標としてアルブミン値も重要であり、現在のAlb値は2.9g/dLと低栄養状態を示している。これは急性期の炎症反応による影響も考えられるが、高齢であることを考慮すると注意が必要である。運動習慣については明確な情報がないが、腰椎圧迫骨折の既往があり、長距離歩行時には杖を使用することがあるため、日常的な運動量は限られていると推測される。

呼吸に関するアレルギーはないが、花粉症のアレルギーがあるとの情報がある。現在の季節と症状の有無を確認し、必要に応じて対応する必要がある。飲酒については晩酌として日本酒を1合程度、週に3~4回摂取していたとのことであり、適量と考えられる。喫煙歴はない。

既往歴としては、10年前からの高血圧、5年前の大腸ポリープ切除術、3年前の腰椎圧迫骨折、2年前の虫垂切除術がある。特に今回のイレウスは2年前の虫垂切除術による腹部の癒着が原因と考えられており、手術後の合併症として注意すべき状態である。また、腎機能検査ではeGFR 45mL/min/1.73㎡と低下を認め、BUN 28.5mg/dL、Cre 1.4mg/dLと上昇しており、慢性腎臓病の可能性があるが、既往歴として記載されていないため、情報収集が必要である。

加齢の影響としては、88歳という高齢であることから、臓器予備能の低下、治癒過程の遅延、薬物代謝の変化などが考えられる。特に腎機能低下は薬物の排泄に影響するため、投与薬剤の選択や量の調整が必要となる。また、高齢者では脱水や栄養状態の悪化が腎機能をさらに低下させるリスクがあるため、水分バランスや栄養状態の評価と適切な管理が重要である。

以上のアセスメントから、必要な看護介入としては、まず現在のイレウス管による治療の目的や経過について、A氏の理解度に合わせた説明を行い、治療への協力を促すことが重要である。また、イレウス管からの排液量・性状の観察、腹部症状の変化、バイタルサインの継続的なモニタリングを行い、病状の変化を早期に発見することが必要である。腎機能低下に対しては、水分バランスの評価、脱水予防、投与薬剤の効果と副作用の観察が重要である。さらに、低栄養状態に対して、経口摂取再開後の栄養状態の改善に向けた支援計画を立てることも必要である。A氏の不安に対しては、傾聴と共感的な対応を心がけ、家族も含めた精神的サポートを提供することが大切である。

今後も観察を継続すべき点としては、イレウス症状の改善状況(腹部膨満感、腹痛、腸蠕動音、排ガスの有無など)、炎症反応の推移、腎機能検査値の変動、電解質バランス(特に高カリウム血症の進行)、全身状態の変化である。また、高齢者では合併症が発生しやすいため、肺炎や褥瘡、せん妄などの発生にも注意を払う必要がある。

看護問題の明確化

#疾患に伴う治療に対する不安
#疾患に伴う腹部手術歴と加齢に関連したイレウス再燃・状態悪化のリスク

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

看護の攻略部屋wiki

看護学生をお助け | 看護過程の見本 | 完全無料でコピー&ペースト(コピペ)OK


コメント

タイトルとURLをコピーしました