【ゴードン】イレウス 入院2日目(0018)| 5.睡眠-休息

ゴードン

本事例の要約

イレウスと診断され入院した88歳男性のA氏。腹痛と嘔吐を主訴に救急搬送され、腸閉塞と診断された。保存的治療目的で入院となり、現在はイレウス管による減圧治療中である。入院2日目の11月15日に介入するという事例。

5.睡眠-休息

A氏は入院前、午後10時頃に就寝し朝6時頃に起床する規則正しい睡眠パターンを維持していた。睡眠時間は約8時間であり、高齢者の平均睡眠時間6~7時間と比較して十分な睡眠時間を確保できていたと考えられる。また入院前は眠剤を使用せずに自然な入眠が可能であり、睡眠の質も良好であったと推測される。

しかし、現在の入院環境下では睡眠の質と量に変化が生じている。A氏は「病院だと落ち着いて眠れない」と訴え、実際に昨夜は断続的に3~4時間程度の睡眠であり、入眠困難を自覚している。この睡眠障害の背景には複数の要因が関与していると考えられる。まず、イレウスによる腹部不快感や疼痛が睡眠を妨げている可能性が高い。A氏の疼痛スケール(NRS)は安静時3/10、体動時5/10であり、軽度から中等度の疼痛があることから、入眠時の体位変換や睡眠中の姿勢保持に支障をきたしていると推察される。また、イレウス管の挿入による違和感や不快感も睡眠の質を低下させる要因となっている。さらに、病室の環境(照明、騒音、温度など)や慣れない環境での緊張感、「早く良くなって帰りたい」という不安な心理状態も睡眠に悪影響を及ぼしていると考えられる。

睡眠障害に対して、マイスリー5mgが頓用で処方されており、昨夜1錠使用している。しかし、薬剤のみに依存せず、非薬物的介入を積極的に取り入れる必要がある。特に高齢者においては、睡眠薬の使用による転倒リスクや日中の眠気、せん妄のリスク増加などの副作用に注意が必要である。A氏は88歳と高齢であり、加齢による睡眠構造の変化(深睡眠の減少、中途覚醒の増加、早朝覚醒など)が基盤にある可能性も考慮すべきである。

日中の過ごし方については具体的な情報が少なく、現在のA氏の日中活動レベルや休息のとり方、生活リズムについての詳細な情報収集が必要である。入院前の余暇活動や趣味、運動習慣などの情報も睡眠パターンの理解と介入計画の立案に有用である。また、入院中の面会者との交流時間や身体活動の程度、日中の仮眠の有無なども確認する必要がある。

看護介入としては、まず疼痛コントロールの適切な実施が重要である。頓用のペンタジン15mg筋注の適切なタイミングでの使用を検討し、就寝前の疼痛コントロールを確実に行う。また、睡眠環境の調整として、病室の照明や温度の調整、イレウス管の固定方法の工夫、体位変換時の介助、不必要な夜間の処置や観察を最小限にするなどの配慮が必要である。

さらに、リラクゼーション技法の導入も効果的と考えられる。呼吸法や漸進的筋弛緩法、就寝前の温かい飲み物の提供(現在は絶飲食のため実施困難だが、経口摂取再開後に検討)、足浴やマッサージなどのリラックス効果のある介入を取り入れると良い。日中の適度な活動を促進し、長時間の臥床による昼夜逆転を予防することも重要である。医師と相談の上、可能な範囲での座位時間の確保やベッド上でのリハビリテーションの実施を検討する。

また、A氏の不安や心配事に対する精神的サポートも睡眠改善に寄与する。「病院だと落ち着いて眠れない」「早く家に帰りたい」という発言から、入院生活への適応困難感や今後の治療に対する不安が窺える。傾聴の姿勢で関わり、A氏の思いを表出できる機会を設け、必要に応じて医師からの説明の機会を調整するなどの介入が望ましい。

睡眠状態の評価として、入眠時間、睡眠時間、中途覚醒の頻度、早朝覚醒の有無、睡眠の質の主観的評価などを継続的に観察し記録していく。また、日中の活動状態や疲労感、眠気の有無なども併せて評価する。これらの情報を基に、個別性のある睡眠援助計画を立案し、実施・評価・修正のサイクルを継続していくことが重要である。

睡眠は身体的・精神的回復に不可欠であり、特に入院中の高齢患者においては睡眠不足がせん妄のリスク因子となることも報告されている。イレウスからの回復過程においても、十分な睡眠と休息の確保は重要であるため、多角的なアプローチによる睡眠の質の向上を目指した看護介入が求められる。

看護問題の明確化

#疾患に伴う腹部不快感・イレウス管の挿入に関連した睡眠障害

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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