本事例の要約
定期的な乳がん検診により右乳がんStageⅡAと診断され、右乳房部分切除術およびセンチネルリンパ節生検を受けた45歳女性の術後10日目の事例。術後経過は良好だが、右上肢の可動域制限により日常生活動作に支障をきたしており、今後の抗がん剤治療への不安が強く、特に中学生の娘たちへの母親としての役割遂行に対する懸念を抱えている事例。
9.性-生殖
A氏は45歳の女性で、47歳の夫、15歳の長女、12歳の次女との4人暮らしである。更年期症状に関する具体的な情報が不足しており、月経周期の規則性や更年期症状の有無について、詳細な情報収集が必要である。また、乳がん手術後の性生活に関する不安や懸念についても確認が必要である。
年齢的には更年期に入る可能性がある時期であり、今後の抗がん剤治療による影響も考慮する必要がある。特に、トリプルネガティブタイプの乳がんに対する治療として予定されているFEC療法とドセタキセルによる化学療法は、卵巣機能に影響を及ぼす可能性があり、更年期症状の早期出現や増強につながる可能性がある。
乳房部分切除術後の身体イメージの変化について、「傷跡を見るのが怖い」という発言があることから、術後のボディイメージの変化が夫婦関係に与える影響についても配慮が必要である。特に、創部の痛みや右上肢の可動域制限が日常生活に影響を与えている現状から、夫婦間のコミュニケーションや親密性の維持についても注意を払う必要がある。
必要な看護介入として、まず更年期症状の有無や程度について、適切な時期と場所を選んで確認する必要がある。また、抗がん剤治療が性機能や生殖機能に与える影響について、患者の受容状態を見極めながら、段階的に情報提供を行う。特に、化学療法による卵巣機能への影響や更年期症状の可能性について、適切な説明と支援が重要である。
継続的な観察が必要な点として、更年期症状の出現や変化、抗がん剤治療による身体症状の変化、夫婦関係の変化などに注目する必要がある。これらの観察を通じて、必要時に適切な支援を提供できる体制を整える。特に、性に関する相談については、プライバシーに配慮した環境で、患者が安心して相談できる体制を整備することが重要である。
退院後の生活に向けて、夫婦でのコミュニケーションの重要性について説明し、必要に応じて夫も含めた相談の機会を設ける。また、更年期症状が出現した際の対処方法や、利用可能な専門外来についての情報提供も必要である。さらに、抗がん剤治療中の避妊の必要性についても説明を行う。
今後の外来通院においても、性や生殖に関する悩みや不安について相談できる環境を整え、継続的なサポートを提供する必要がある。特に、化学療法の副作用による身体症状や心理的影響について、定期的な評価と支援を行うことが重要である。
看護問題の明確化
#乳房部分切除術に伴う身体イメージの変化に関連した性的関係性の障害のリスク状態
事例の目次
【ゴードン】乳癌 壮年期 入院10日目 (0012)| 今回の情報
1.健康知覚-健康管理
2.栄養-代謝
3.排泄
4.活動-運動
5.睡眠-休息
6.認知-知覚
7.自己知覚-自己概念
8.役割-関係
9.性-生殖
10.コーピング-ストレス耐性
11.価値-信念
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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