本事例の要約
定期的な乳がん検診により右乳がんStageⅡAと診断され、右乳房部分切除術およびセンチネルリンパ節生検を受けた45歳女性の術後10日目の事例。術後経過は良好だが、右上肢の可動域制限により日常生活動作に支障をきたしており、今後の抗がん剤治療への不安が強く、特に中学生の娘たちへの母親としての役割遂行に対する懸念を抱えている事例。
3.排泄
A氏の排泄状態について、入院前は排尿・排便ともに自立しており問題は認められなかった。現在の排尿は自立しているが、排便については術後の安静による活動量低下と食事水分摂取量低下の影響による便秘傾向がみられる。排便コントロールのため、センノシド12mgを1日1回就寝前に内服している状況である。排尿回数や1回排尿量、排便の性状や回数に関する具体的な情報が不足しているため、追加の情報収集が必要である。
水分出納について、水分摂取量は1日1000-1200ml程度を確保できている。術後のドレーン排液量は徐々に減少し、術後6日目にドレーン抜去となっている。尿量や不感蒸泄量を含めた詳細な出納バランスの記録は不足しているため、追加の情報収集が必要である。脱水を示唆する症状は認められず、電解質バランスも保たれている状態である。
腎機能に関する血液データでは、血中尿素窒素16mg/dL(基準値8-20mg/dL)、血清クレアチニン0.68mg/dL(基準値0.46-0.79mg/dL)と正常範囲内である。糸球体濾過率(GFR)の具体的な数値は不足しているが、クレアチニン値から推定すると腎機能は保たれていると考えられる。電解質バランスも、ナトリウム139mEq/L、カリウム4.0mEq/Lと正常範囲内を維持している。
排泄に関連する食事・水分摂取状況として、食事摂取量は7割程度に低下しているものの、水分摂取は1日1000-1200ml程度を確保できている。ただし、術後の活動量低下と食事摂取量の減少が便秘傾向に影響を与えていると考えられる。腹部症状について、腹部膨満感の有無や腸蠕動音の状態に関する情報が不足しているため、追加の観察と記録が必要である。
現在の安静度は病棟内歩行が可能な状態であり、排泄動作は自立している。ただし、術後の創部痛により、トイレでの前傾姿勢や後方への手の届く動作に軽度の困難さがある。尿道カテーテルは使用していない。
今後開始予定の化学療法による影響として、悪心・嘔吐や下痢の出現が予測される。また、制吐剤の使用による便秘の増悪も考えられるため、事前の対策が必要である。
必要な看護介入として、まず排便コントロールの改善が挙げられる。具体的には、適度な運動の促進、水分摂取の維持、食物繊維を含む食事の摂取推奨などが必要である。また、センノシドの使用状況と効果の評価を行い、必要に応じて用量の調整を検討する。排便習慣の確立に向けて、毎日同じ時間帯でのトイレ誘導も効果的である。
創部痛による排泄動作の困難さに対しては、必要に応じて鎮痛剤の使用を促し、動作の工夫について指導する必要がある。また、化学療法開始後の排泄状態の変化に備えて、下痢や便秘への対処方法について事前に説明を行うことが重要である。
継続的な観察が必要な項目として、排便回数と性状、排尿回数と1回排尿量、腹部症状の有無、水分出納バランス、血液データの推移が挙げられる。特に化学療法開始後は、悪心・嘔吐、下痢の出現状況を注意深く観察し、適切な対応を行う必要がある。
現時点で不足している情報として、排便・排尿の具体的な回数と性状、腹部症状の詳細、排便習慣や排便時の痛みの有無などがある。これらの情報を追加収集することで、より適切な看護介入を計画することができる。
看護問題の明確化
#術後の活動量低下と食事摂取量減少に関連した便秘
事例の目次
【ゴードン】乳癌 壮年期 入院10日目 (0012)| 今回の情報
1.健康知覚-健康管理
2.栄養-代謝
3.排泄
4.活動-運動
5.睡眠-休息
6.認知-知覚
7.自己知覚-自己概念
8.役割-関係
9.性-生殖
10.コーピング-ストレス耐性
11.価値-信念
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
看護の攻略部屋wiki
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