【ゴードン】イレウス 入院2日目(0018)| 9.性-生殖

ゴードン

本事例の要約

イレウスと診断され入院した88歳男性のA氏。腹痛と嘔吐を主訴に救急搬送され、腸閉塞と診断された。保存的治療目的で入院となり、現在はイレウス管による減圧治療中である。入院2日目の11月15日に介入するという事例。

9.性-生殖

A氏は88歳の男性であり、妻と二人暮らしをしている。妻は76歳と高齢であり、長年パートナーとして生活を共にしてきたと推測される。A氏の年齢から、男性の加齢に伴う性機能の変化が生じている可能性が高い。一般的に高齢男性においては、テストステロンの分泌低下による性欲の減退、勃起機能の低下、射精機能の変化などの生理的変化が見られることが知られている。また、前立腺の肥大や排尿機能の変化も起こりやすく、排尿は日中5~6回、夜間1~2回であるという情報から、軽度の頻尿傾向が認められる。これは前立腺肥大などの加齢変化による可能性があるが、現時点では排尿障害に関する具体的な診断や治療に関する情報はない。

家族構成については、妻との二人暮らしであり、キーパーソンは長男であることが示されている。夫婦関係の質や親密度については情報が限られているが、妻が毎日面会に来て励ましていることから、比較的良好な夫婦関係が維持されていると推測される。また、妻は「主人の世話ができるか心配」と看護師に不安を打ち明けていることから、夫への愛情や気遣いを持ちながらも、高齢による自身の体力や介護能力の限界を感じていることが窺える。

A氏の性的側面に関する具体的な情報(性生活の状況や性に関する価値観、悩みなど)は記載されておらず、高齢者のセクシュアリティに関する情報収集が不足している。高齢者のセクシュアリティは医療者からも話題にされにくい傾向があるが、生活の質を構成する重要な要素である。特に入院という環境の変化やイレウス管の挿入、ベッド上安静という状況は、ボディイメージや自己概念に影響を与え、セクシュアリティの表現にも影響を及ぼす可能性がある。

更年期症状については、A氏は男性であるため女性の更年期障害とは異なるが、男性にも「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」と呼ばれる状態があり、テストステロン低下に伴う症状(疲労感、気力低下、筋力低下、骨密度低下、性欲減退など)が見られることがある。A氏においてこれらの症状の有無や程度については情報がなく、評価が必要である。

A氏は現在イレウスの治療のため入院しており、イレウス管の挿入やベッド上安静の指示があることから、身体的な不快感や行動制限がある。これらの状態は、自己イメージやパートナーとの関係性にも影響を与える可能性がある。特に腹部の膨満感や疼痛は、身体像の変化や不快感をもたらし、自己受容や性的自己表現にも影響を及ぼすことがある。

看護介入としては、まずプライバシーと尊厳を尊重した環境の提供が基本となる。病室での面会時には、夫婦の時間を確保するためのプライバシーの配慮(カーテンの使用、面会時間の調整など)を行う。また、入院環境においても可能な限り身だしなみを整える支援を行い、自己イメージの維持を図ることも重要である。

次に、パートナーとのコミュニケーションの支援を行う。入院による分離や役割変化が夫婦関係に与える影響を理解し、面会時間の調整や電話などの通信手段の活用を支援する。特に妻の不安(「主人の世話ができるか心配」)に対しては、退院後の生活を見据えた情報提供や介護方法の指導を行うことで、不安軽減を図る。

加齢に伴う性機能の変化や、疾患・治療が性生活に与える影響については、A氏とパートナーが情報を求めている場合には、適切な情報提供を行うことも重要である。ただし、高齢者のセクシュアリティに関する話題は個人的かつ繊細であるため、対象者の反応や非言語的コミュニケーションに注意を払いながら、適切なタイミングと方法で情報提供を行う必要がある。

イレウス管の挿入による身体像の変化や不快感に対しては、ボディイメージの受容を支援するアプローチも有効である。イレウス管の必要性や一時的な措置であることを説明し、身体的な変化に対する感情表出を促す。また、可能な範囲での身体の清潔保持や身だしなみの維持を支援することで、自己イメージの回復を図る。

継続的な観察としては、A氏とパートナーの関係性やコミュニケーションパターン、面会時の様子などを注意深く観察する。特に妻の面会頻度や表情、A氏との交流の質などに注目し、必要に応じて支援方法を調整する。また、A氏の身体像や自己概念の変化、疾患や治療に対する受け止め方なども継続的に評価し、適切な心理的サポートを提供する。

高齢者のセクシュアリティは、狭義の性行為だけでなく、親密さの表現、スキンシップ、パートナーとの情緒的なつながりなど、多様な側面を含む概念である。A氏の場合も、妻との二人暮らしにおいて、このような広義のセクシュアリティの表現が生活の質に寄与していると考えられる。退院後の生活においても、これらの側面が維持・回復できるよう、包括的な視点での支援が重要である。

看護問題の明確化

なし

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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