【ゴードン】Ⅱ型糖尿病 教育入院(0002)| 4.活動-運動

ゴードン

本事例の要約

この事例は、不適切な食事習慣と運動不足により肥満(BMI 29.4)を呈し、血糖コントロール不良となった45歳男性のⅡ型糖尿病患者の教育入院における看護介入事例である。IT企業の中間管理職として働くA氏は、多忙な業務により不規則な生活を送っており、特に食事の量や時間が不規則で、運動習慣がない生活を続けていた。今回、定期健康診断での著しい血糖値の上昇を契機に、生活習慣の改善と糖尿病自己管理能力の獲得を目的として教育入院となった。入院3日目の時点での看護展開を行う。

4.活動-運動

A氏の活動・運動に関するアセスメントを実施する。身長175cm、体重90kgの体格であり、基礎代謝量はハリス・ベネディクト方程式(改訂版)を用いて算出する。計算式(13.397×体重90kg+4.799×身長175cm-5.677×年齢45歳+88.362)により、基礎代謝量は約1,880kcal/日である。デスクワーク中心の生活であることから、生活活動強度を「低い(レベルⅠ)」と判断し、活動係数1.2を乗じることで、1日の必要エネルギー量は約2,300kcal/日と算出される。一方で、実際の摂取エネルギー量は不規則な食生活により把握が困難な状況であった。運動習慣がなく、仕事による疲労から休日は午前中まで睡眠を取ることが多く、1日の平均歩数や運動量の具体的な把握が必要である。このような活動量の低下と不適切な食生活が、腹囲98cmという内臓脂肪型肥満の一因となっていると考えられる。

筋力については、徒手筋力テスト(MMT)の具体的な評価は実施されていないが、日常生活動作に支障をきたすような筋力低下は認められない。42歳時に罹患した腰椎椎間板ヘルニアの既往があり、長時間の歩行や急な動作時に軽度の腰部違和感を自覚することがある。姿勢は良好で、体幹の左右対称性は保たれており、明らかな脊柱変形や関節可動域制限は認められない。歩行は安定しており、杖などの自助具の使用は必要としていない。院内の移動や階段昇降も自立して行えているが、肥満による下肢関節への負担を考慮し、膝関節や足関節の状態についても評価が必要である。

バイタルサインは入院後、安定した状態を維持している。体温は36.6℃で発熱はなく、脈拍は78回/分で整脈である。心音は規則的で、心雑音など異常は認められていない。血圧は138/88mmHgであり、入院時の148/92mmHgから改善傾向にある。ただし、血圧の左右差については評価されていないため、確認が必要である。呼吸数は16回/分で規則的であり、呼吸困難の訴えはない。経皮的動脈血酸素飽和度は98%(室内気)を維持しており、活動時の酸素化も良好である。胸部レントゲン写真での明らかな異常所見は認められていない。心電図検査の実施状況についても確認が必要である。

日常生活動作(入浴、更衣、排泄、食事)は全て自立しており、介助を必要とする項目はない。病室内およびトイレ、浴室間の移動や移乗動作も安定している。安静度は特に制限はないが、腰部への負担を考慮した動作指導が必要である。住居環境については、4人家族で生活しているものの、自宅の構造や運動スペースの有無、住環境における運動療法実施の障害となる要因の有無など、詳細な情報収集が必要である。

看護介入としては、まず理学療法士と連携し、腰部への負担が少ない運動プログラムの作成と指導を行う必要がある。具体的には、ストレッチング、腹筋や背筋の筋力トレーニング、有酸素運動などを段階的に導入する運動強度は自覚的運動強度(主観的運動強度)を指標とし、「ややきつい」と感じる程度(心拍数120-130回/分程度)を目安に設定する。運動時間は初めは10-15分から開始し、徐々に30分程度まで延長していく。運動前後の血糖値、血圧、脈拍、自覚症状(特に腰部症状)を観察し、運動強度の調整を行う。また、理学療法士による正しい姿勢や動作方法の指導を受け、腰部への負担軽減を図る必要がある。

自宅での運動継続を支援するため、運動記録表の活用方法や、自宅で実施可能な運動メニューの指導を行う。特に、通勤時の一駅歩きや昼休みのウォーキングなど、日常生活に組み込みやすい運動方法を具体的に提案する。また、デスクワーク中の小休止やストレッチング、階段使用の励行など、職場でも実施可能な活動量増加の方法について指導する必要がある。

看護問題の明確化

# 不規則な生活習慣と運動習慣の欠如に関連した活動耐性低下

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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