本事例の要約
この事例は、不適切な食事習慣と運動不足により肥満(BMI 29.4)を呈し、血糖コントロール不良となった45歳男性のⅡ型糖尿病患者の教育入院における看護介入事例である。IT企業の中間管理職として働くA氏は、多忙な業務により不規則な生活を送っており、特に食事の量や時間が不規則で、運動習慣がない生活を続けていた。今回、定期健康診断での著しい血糖値の上昇を契機に、生活習慣の改善と糖尿病自己管理能力の獲得を目的として教育入院となった。入院3日目の時点での看護展開を行う。
6.認知-知覚
A氏の意識レベルは清明であり、見当識障害は認められていない。医療者との意思疎通は良好で、糖尿病教育プログラムの内容も適切に理解できており、認知機能は正常に保たれている。視覚機能については軽度の近視(-2.0D)があり終日メガネを使用しているが、日常生活に支障は生じていない。また、糖尿病性網膜症の所見は認められていないものの、高血糖状態が継続していたことから、今後の定期的な眼科受診による評価が必要である。
聴覚機能は正常で、補聴器の使用は必要としていない。コミュニケーションにおいても言語理解・表出ともに良好であり、自身の意思や要望を適切に表現できている。知覚については、四肢末梢の痺れや冷感の訴えはなく、足底の触覚・痛覚も正常に保たれている。しかし、高血糖状態が長期間継続していたことから、今後の糖尿病性神経障害の発症リスクについて注意深く観察していく必要がある。
疼痛に関しては、腰椎椎間板ヘルニアの既往があり、長時間の歩行や急な動作時に軽度の腰部違和感を自覚することがある。入院前はロキソプロフェン錠を月に2-3回程度使用していたが、入院後は使用していない。これは、規則正しい生活リズムと適切な活動量の確保により、腰部への負担が軽減されていると考えられる。
瞳孔の状態や動眼神経反応については具体的な情報がないため、神経学的所見として確認する必要がある。特に、糖尿病患者の場合、高血糖状態による神経障害の早期発見が重要となるため、定期的な評価が必要である。
看護介入として、以下の点に注意を払う必要がある。まず、糖尿病性神経障害の早期発見のため、四肢末梢の感覚異常の有無について定期的な問診と観察を行う。特に足部については、視診、触診による観察行う必要がある。また、糖尿病性網膜症の予防的観点から、視力の変化や視覚症状の有無について注意深く観察し、定期的な眼科受診の必要性について患者教育を行う。
腰部痛に関しては、理学療法士と連携しながら、適切な運動方法と生活動作の指導を行う必要がある。特に、職場での長時間の座位作業による腰部への負担を軽減するため、正しい姿勢の保持や適度な休憩の取り方について具体的な指導を行うことが重要である。
退院後の生活においては、定期的なセルフモニタリングの重要性を説明し、特に足部のセルフチェックの方法や、神経障害の初期症状について具体的な指導を行う。また、高血糖状態の継続は様々な合併症のリスクを高めることから、血糖コントロールの重要性について理解を深める支援を行う必要がある。定期的な外来受診時には、神経学的所見の評価と共に、日常生活における異常の有無について詳細な問診を行うことが望ましい。
看護問題の明確化
# 慢性的な高血糖状態に関連した糖尿病性神経障害・網膜症発症のリスク状態
事例の目次
【ゴードン】Ⅱ型糖尿病 教育入院(0002) | 今回の情報
1.健康知覚-健康管理
2.栄養-代謝
3.排泄
4.活動-運動
5.睡眠-休息
6.認知-知覚
7.自己知覚-自己概念
8.役割-関係
9.性-生殖
10.コーピング-ストレス耐性
11.価値-信念
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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