【ゴードン】Ⅱ型糖尿病 教育入院(0002)| 8.役割-関係

ゴードン

本事例の要約

この事例は、不適切な食事習慣と運動不足により肥満(BMI 29.4)を呈し、血糖コントロール不良となった45歳男性のⅡ型糖尿病患者の教育入院における看護介入事例である。IT企業の中間管理職として働くA氏は、多忙な業務により不規則な生活を送っており、特に食事の量や時間が不規則で、運動習慣がない生活を続けていた。今回、定期健康診断での著しい血糖値の上昇を契機に、生活習慣の改善と糖尿病自己管理能力の獲得を目的として教育入院となった。入院3日目の時点での看護展開を行う。

8.役割-関係

A氏は45歳の中年期にあり、エリクソンの発達課題である「生殖性対停滞」の時期にある。IT企業の中間管理職として仕事上の責任を担うと同時に、高校生の長男と中学生の長女を持つ父親として、子どもの教育や進路に関わる重要な時期を迎えている。しかし、仕事を優先する生活により、家族との関わりが十分に持てていない状況にある。

家庭内での役割としては、世帯主として家計を支える立場にあるが、平日は仕事の付き合いによる外食が週3-4回あり、帰宅が遅いため家族との夕食時間を共有できていない。妻は夕食を用意しているものの、A氏は一人で冷めた食事を取ることが多く、家族との交流時間が限られている印象である。休日は家族で外食する機会があるものの、食事内容や量の調整が難しい状況にある。

社会的役割としては、IT企業の中間管理職という立場で、部下の管理や業務の遂行に責任を持つ必要がある。この役割意識が強く、残業や付き合いを優先させることで、自身の健康管理が疎かになっている。ボランティア活動や趣味に関する情報は不足しており、ワークライフバランスの観点から、これらの活動状況について情報収集が必要である。

病気による役割の受容については、糖尿病と診断されてから食事療法と運動療法の指導を受けるも、仕事の多忙を理由に生活習慣の改善が進まなかった経緯がある。メトホルミンの服薬も不確実であり、疾病管理より仕事を優先する傾向が顕著である。しかし、「このまま放っておくと重症化するのではないか」という不安を抱えており、疾病管理の必要性は認識している状態である。

キーパーソンである妻は、A氏の健康状態を心配し、「家族でできることは協力したい」という意向を示している。しかし、具体的な支援方法についての知識が不足しており、効果的な協力体制が構築できていない。経済状況については具体的な情報が不足しているが、IT企業の中間管理職という立場から、治療継続に支障をきたす経済的問題は少ないと推測される。

看護介入としては、まず家族を含めた支援体制の構築が重要である。妻の協力意欲を活かし、具体的な支援方法について家族で話し合う機会を設ける必要がある。特に、食事療法については妻の協力が不可欠であり、栄養指導に妻の参加を促すことが望ましい。また、休日の過ごし方について家族で検討し、運動療法を家族で実施できる方法を提案することも効果的である。

仕事と疾病管理の両立に向けては、職場での生活習慣改善の具体的な方策について検討する必要がある。特に、定時での帰宅や休憩時間の確保など、職場環境の調整について上司や産業保健スタッフとの相談を促すことが重要である。また、外食時の食事選択や運動時間の確保など、業務の中で実践できる健康管理方法について具体的に指導することが必要である。

退院後の生活については、家族との時間を意識的に確保し、共に健康的な生活習慣を築いていけるよう支援することが重要である。定期的な外来受診時には、家族関係や職場での状況についても確認し、必要に応じて調整を行うことが望ましい。また、趣味やボランティア活動など、仕事以外の活動を通じた生活の質の向上についても検討していく必要がある。

看護問題の明確化

# 仕事優先の生活スタイルに関連した家族との役割遂行の低下

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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