【ゴードン】心筋梗塞 入院2日目 (0014)| 5.睡眠-休息

ゴードン

本事例の要約

右胸部痛を主訴に救急搬送され、急性心筋梗塞と診断された65歳男性に対し、緊急カテーテル検査の結果、右冠動脈#2に99%狭窄を認め、経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行。術後、CCUでの管理を経て、一般病棟へ転棟となった入院2日目の事例。介入日は3月15日である。

5.睡眠-休息

A氏の睡眠状態は、入院前と入院後で大きく変化している。入院前は仕事の都合により就寝時刻が不規則であったものの、1日6-7時間の睡眠時間は確保できており、睡眠導入剤の使用習慣はなかった。しかし、入院後は心電図モニター装着や環境変化により入眠困難と2-3回の中途覚醒が出現している。この睡眠パターンの変化は、急性心筋梗塞による入院という急激な生活環境の変化に加え、65歳という年齢による睡眠の質の低下が複合的に影響していると考えられる。

入院前の日中の過ごし方については、会社経営者として多忙な勤務生活を送っており、定期的な運動習慣は持っていなかった。外食が多く、週3-4回の社用での会食があり、生活リズムは不規則であった。休日の過ごし方に関する具体的な情報は不足しているため、退院後の生活指導に向けて情報収集が必要である。

現在の日中の様子としては、疲労感により短時間の仮眠を取ることがある。これは急性心筋梗塞後の回復過程における身体的な疲労に加え、夜間睡眠が十分に取れていないことが影響していると考えられる。また、仕事や今後の生活に対する不安を表出しており、これらの精神的ストレスも睡眠の質に影響を及ぼしている可能性がある。

必要な看護介入として、まず睡眠環境の調整が重要である。心電図モニターのアラーム音量の適切な設定、照明の調整、騒音の軽減などの環境整備を行う。また、日中の活動と休息のバランスを整えることも必要である。現在は安静度の制限があるものの、明日からは病棟内歩行が許可される予定であり、適度な活動により生活リズムを整えることが可能となる。

さらに、不眠が継続する場合は、主治医と相談の上で睡眠導入剤の使用を検討する必要がある。ただし、高齢者における睡眠薬の使用は、せん妄や転倒のリスクを高める可能性があるため、非薬物的介入を優先して試みることが望ましい。

退院に向けては、規則正しい生活リズムの確立と、適度な運動習慣の獲得が重要となる。特に、仕事中心の生活に戻ることへの不安を妻が表出していることから、家族を含めた生活指導を行い、睡眠を含めた健康管理の重要性について理解を深める必要がある。

今後の看護において、睡眠状態の継続的な観察が重要である。具体的には入眠時間と睡眠時間の推移、中途覚醒の頻度とその原因、日中の活動量と疲労度、不眠が日常生活に及ぼす影響、そして不安や精神的ストレスの程度について注意深く観察を行う必要がある。

加えて、心臓リハビリテーション開始後の活動量増加に伴う睡眠状態の変化についても注意深く観察を行う必要がある。運動負荷の増加により、適度な疲労感が得られ、睡眠の質が改善する可能性がある一方で、過度な負荷は不眠を悪化させる可能性もあるため、バランスの取れた活動計画の立案が重要である。集中的な睡眠状態の観察と適切な介入により、睡眠-休息パターンの改善を図り、心筋梗塞後の回復過程を支援していく必要がある。

看護問題の明確化

#急性心筋梗塞に伴う環境変化に関連した睡眠パターンの混乱

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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