【ゴードン】心筋梗塞 入院2日目 (0014)| 7.自己知覚-自己概念

ゴードン

本事例の要約

右胸部痛を主訴に救急搬送され、急性心筋梗塞と診断された65歳男性に対し、緊急カテーテル検査の結果、右冠動脈#2に99%狭窄を認め、経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行。術後、CCUでの管理を経て、一般病棟へ転棟となった入院2日目の事例。介入日は3月15日である。

7.自己知覚-自己概念

A氏は会社経営者として責任感が強く几帳面な性格であり、これまで仕事を最優先とした生活を送ってきた。しかし今回の急性心筋梗塞の発症により、「今まで仕事一筋で、自分の健康管理は後回しにしてきた」と述べており、自身の生活習慣を振り返る様子が見られる。この発言からは、これまでの生活における価値観や優先順位に対する内省的な気付きが読み取れる。

疾患に対する認識としては、「まさか自分が心筋梗塞になるとは思わなかった」という発言に表れているように、自身の健康状態に対する危機感が不足していた可能性がある。高血圧症、2型糖尿病、脂質異常症といった複数の基礎疾患を有していたにもかかわらず、多忙を理由に通院は不規則で服薬コンプライアンスも良好ではなかったことは、健康管理の優先度の低さを示している。

A氏の自尊感情は、会社経営者としての社会的役割と強く結びついていると考えられる。「確かに仕事は大切だが、これを機に生活を見直したい。でも会社のことが心配で、早く仕事に戻りたい」という発言には、健康管理の必要性を理解しながらも、経営者としての責任感との間で揺れ動く心理状態が表れている。この葛藤は、自己概念の再構築過程における重要な局面として捉えることができる。

妻の「主人は几帳面な性格なのに、体調管理だけは疎かにしていました」という発言からは、A氏の性格特性と健康管理行動との間にギャップが存在していたことが分かる。また、妻が「退院後すぐに仕事中心の生活に戻ってしまうのではないかと心配です」と述べていることは、これまでのA氏の行動パターンが強固なものであったことを示唆している。

文化的背景や周囲の期待に関する具体的な情報は限られているが、会社経営者という立場から、社会的責任や周囲からの期待が大きいことが推測される。この点については、A氏が感じている役割期待や社会的プレッシャーについて、さらなる情報収集が必要である。

必要な看護介入として、まずA氏の価値観や信念を尊重しながら、健康管理と仕事の両立に向けた具体的な方策を共に検討することが重要である。その際、これまでの生活習慣を一方的に否定するのではなく、A氏の経営者としての役割や責任感を認めた上で、健康管理の重要性について理解を深められるよう支援する。

また、妻の支援的な態度は重要な資源となる。妻が「食事の管理や服薬の確認など、私にできることはしっかりとサポートしていきたい」と述べていることから、家族の協力を得ながら新たな生活習慣の確立を目指すことが可能である。

今後の観察ポイントとして、疾病受容の過程や自己概念の変化、仕事と健康管理のバランスに対する考え方の変化について継続的に評価していく必要がある。特に、心臓リハビリテーション開始後は、身体機能の回復に伴う自信の回復や、逆に焦りの出現などの心理的変化に注意を払う必要がある。

また、会社経営者という立場を考慮すると、退院後の生活において仕事と健康管理を両立させるための具体的な計画作成が重要となる。その際、A氏の価値観や生活スタイルを考慮しながら、実現可能な目標設定を行うことで、自己効力感を高めることができると考えられる。定期的な振り返りと目標の見直しを行い、段階的な行動変容を支援していく必要がある。

看護問題の明確化

#急性心筋梗塞に伴う生活様式の変更の必要性に関連した役割遂行能力の低下

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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