【ゴードン】誤嚥性肺炎 入院5日目(0006)| 7.自己知覚-自己概念

ゴードン

本事例の要約

78歳男性A氏の誤嚥性肺炎による入院で、発熱と呼吸困難を主訴に救急搬送され、入院後に重度の嚥下機能低下を認め経鼻経管栄養を開始した。今後はリハビリテーションをしながら経口摂取を進めていく予定。

7.自己知覚-自己概念

A氏は几帳面で社交的な性格である一方、自己主張は控えめで、体調不良時でも周囲に相談せず無理をする傾向がある。この性格特性は、40年間にわたり大手電機メーカーの製造ライン管理職として勤務してきた職業経験と関連していると考えられる。管理職としての責任感の強さや、他者への配慮を優先する姿勢が、現在の療養生活においても影響を与えている。

家族内での役割として、75歳の妻と二人暮らしをしており、家庭内での中心的な存在であったと推測される。「息子たちは忙しいから、あまり頼りたくない」という発言からは、子どもたちへの遠慮と自立性を保ちたい思いが読み取れる。長男は月1回の訪問、次男は2ヶ月に1回の帰省と、定期的な関わりを持っているものの、日常的なサポートは限定的である。

現在の疾患に対しては、「管を入れるのは嫌だが、早く良くなりたい」という発言にみられるように、治療への協力的な姿勢と回復への意欲を持っている。しかし、誤嚥性肺炎の発症と嚥下機能の重度低下は、これまでの自立した生活様式の大きな変化を必要とする可能性がある。特に、食事という生活の基本的な部分での制限は、自己概念や生活の質に大きな影響を与える可能性がある。

加齢による影響として、役割の喪失や活動範囲の縮小、身体機能の低下による自己効力感の低下などが考えられる。これらの変化は、特に現役時代に管理職として活躍してきた人にとって、自己概念に大きな影響を与える可能性がある。

必要な看護介入として、まず患者の性格特性を考慮した関わりが重要である。具体的には、自己主張が控えめな性格を踏まえ、積極的に声をかけ、不安や要望を表出しやすい環境を整える。また、これまでの社会的役割や経験を尊重しながら、現在の治療への主体的な参加を促す関わりが必要である。

家族支援に関しては、妻の「主人らしくない。早く元気になってほしい」という不安の表出に対して、適切な情報提供と精神的支援を行う必要がある。また、長男との家族カンファレンスでは、今後の治療方針と退院後の生活について具体的な検討を行い、家族全体での支援体制を構築することが重要である。

継続的な観察が必要な項目として、患者の気持ちの表出状況、家族との関係性の変化、治療への受け入れ状況、自己効力感の変化などが挙げられる。特に、嚥下機能の回復過程における患者の心理的変化を注意深く観察する必要がある。

さらなる情報収集が必要な項目として、入院前の具体的な夫婦間の役割分担、家事遂行状況、地域社会での役割や活動内容、退院後の生活に対する本人と家族の具体的な希望などが挙げられる。これらの情報は、退院後の生活支援計画を考えるにあたり重要である。

また、誤嚥性肺炎の再発予防と嚥下機能の維持・改善に向けて、患者と家族が習得すべき知識や技術について、段階的な指導計画を立案する必要がある。この際、患者の自尊心に配慮しながら、できることを積極的に評価し、自己効力感を高められるような支援が重要である。

看護問題の明確化

#疾患による身体機能の低下と治療に関連した自己効力感の低下

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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