【ゴードン】誤嚥性肺炎 入院5日目(0006)| 8.役割-関係

ゴードン

本事例の要約

78歳男性A氏の誤嚥性肺炎による入院で、発熱と呼吸困難を主訴に救急搬送され、入院後に重度の嚥下機能低下を認め経鼻経管栄養を開始した。今後はリハビリテーションをしながら経口摂取を進めていく予定。

8.役割-関係

A氏は大手電機メーカーで40年間にわたり製造ラインの管理職として勤務し、65歳で定年退職している。退職後は週1-2回の地域の友人との集まりに参加するなど、社会との交流を維持している。管理職としての経験は、几帳面で社交的でありながらも自己主張を控えめにする現在の性格特性の形成に影響を与えていると考えられる。

家族構成は75歳の妻との2人暮らしで、キーパーソンは月1回訪問する長男(50歳)である。次男(47歳)は大阪在住で2ヶ月に1回の帰省があり、現在の入院に際しても電話で状況確認を行うなど関心を寄せている。妻は毎日面会に訪れ、「早く家に帰れるように頑張ってね」と声をかけているが、せん妄症状に対して不安を表出している。長男は仕事の都合をつけて来院予定であり、両親の今後の生活支援について家族での話し合いを希望している。

経済状況については詳細な情報がないものの、大手企業での管理職経験があること、都内に持ち家があることから、一定の経済的基盤は確保されていると推測される。ただし、入院や退院後の介護サービス利用に関する経済的負担について、具体的な情報収集が必要である。

加齢による影響として、退職後の社会的役割の変化や、夫婦間の役割調整の必要性が考えられる。特に今回の入院を機に、これまでの役割関係に変化が生じる可能性があり、患者と家族の適応を支援する必要がある。

必要な看護介入として、まず家族との良好なコミュニケーションの維持・構築が重要である。妻の不安に対して傾聴と支持的な関わりを行い、患者の状態や治療経過について適切な情報提供を行う。予定されている長男との家族カンファレンスでは、退院後の生活支援について具体的な検討を行い、家族全体での支援体制を構築することが必要である。

また、患者の「息子たちは忙しいから、あまり頼りたくない」という思いに配慮しつつ、必要な支援を受け入れられるよう段階的な調整を行うことが重要である。退院後の在宅サービスの利用についても、患者と家族の意向を確認しながら、医療ソーシャルワーカーと連携して具体的な調整を進める必要がある。

継続的な観察が必要な項目として、家族関係の変化、面会時の様子、患者と家族それぞれの不安や心配事の表出状況などが挙げられる。特に妻の介護負担感や不安の程度については注意深く観察する必要がある。

さらなる情報収集が必要な項目として、入院前の具体的な夫婦の役割分担、地域での社会活動の詳細、経済状況(年金、保険の種類など)、介護保険の申請状況、利用可能な社会資源などが挙げられる。これらの情報は、退院後の具体的な支援計画の立案に重要である。

また、遠方に住む次男を含めた家族全体での情報共有と支援体制の構築について、具体的な方法を検討する必要がある。電話やオンラインの活用など、効果的なコミュニケーション手段の確立も重要である。

看護問題の明確化

#誤嚥性肺炎の発症と入院による身体機能低下に関連した本人・家族の役割適応障害

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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