【ゴードン】誤嚥性肺炎 入院5日目(0006)| 6.認知-知覚

ゴードン

本事例の要約

78歳男性A氏の誤嚥性肺炎による入院で、発熱と呼吸困難を主訴に救急搬送され、入院後に重度の嚥下機能低下を認め経鼻経管栄養を開始した。今後はリハビリテーションをしながら経口摂取を進めていく予定。

6.認知-知覚

A氏の認知機能は年相応であり、MMSE27点を示している。この結果は軽度の認知機能低下を示唆するものの、日常生活に支障をきたすレベルではないと考えられる。意識レベルに関して、日中は意識清明で医療者に対して礼儀正しく穏やかな態度で接している。

視力に関しては軽度の老眼があり、読書時には老眼鏡を使用している。聴力は日常会話に支障がない状態である。しかし、加齢に伴う視力・聴力の低下は、環境変化への適応を困難にする要因となる可能性があり、特に夜間のせん妄状態では、感覚情報の低下が見当識障害を助長する可能性がある。

せん妄の発症により、特に夜間において「仕事に行かなければ」「会社の資料を作らないと」などの発言が見られ、見当識障害が出現している。この状態は入院による環境の変化、身体疾患の急性増悪、そして加齢による適応力の低下が複合的に影響していると考えられる。

不安に関しては、入院当初「管を入れるのは嫌だが、早く良くなりたい」という発言にみられるように、治療に対する不安と回復への意欲が混在している。また、「息子たちは忙しいから、あまり頼りたくない」という発言からは、家族への遠慮と自立性を保ちたい思いが読み取れる。几帳面で社交的ながらも自己主張を控えめにする性格特性は、不安や苦痛を表出しにくい要因となっている可能性がある。

必要な看護介入として、まず見当識障害の予防と改善のために、環境調整と定期的なオリエンテーションが重要である。具体的には、時計やカレンダーの設置、日付や時間の声かけ、担当看護師の自己紹介などを行う。また、老眼鏡の使用を支援し、適切な照明環境を整えることで、視覚情報の確実な取り込みを促進する。

不安の軽減に向けては、患者の性格特性を考慮し、こちらから積極的に声をかけ、不安や要望を表出しやすい関係性を構築することが重要である。また、治療の進行状況や今後の見通しについて、患者の理解度に合わせて説明を行う必要がある。

継続的な観察が必要な項目として、意識レベルの変化、せん妄症状の程度、見当識の状態、不安の表出状況、表情の変化などが挙げられる。特に、夜間のせん妄症状については、その内容や程度を詳細に記録し、症状の推移を評価する必要がある。

さらなる情報収集が必要な項目として、入院前の具体的な日常生活での認知機能の状態(金銭管理、服薬管理、家事遂行能力など)、趣味活動や社会活動の詳細、家族との具体的なコミュニケーションパターンなどが挙げられる。これらの情報は、退院後の生活支援に重要である。

また、家族の不安や負担感についても詳細な情報収集が必要である。特に妻の「主人らしくない。早く元気になってほしい」という発言から、介護負担や不安が推測されるため、家族支援の観点からも評価と介入が必要である。

加齢による認知機能への影響として、新しい環境への適応力の低下、情報処理速度の低下、記憶力の低下などが考えられる。これらの特徴を考慮し、情報提供や説明は簡潔かつ具体的に行い、必要に応じて繰り返し説明することが重要である。

看護問題の明確化

#入院による環境の変化と急性疾患に関連したせん妄がある
#身体状態の変化と治療経過に関連した不安

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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