【ゴードン】肺癌 化学療法中に副作用(0020)| 看護計画

ゴードン

本事例の要約

非小細胞肺癌(腺癌)Stage IIIBと診断され、化学放射線療法後に維持療法としてペムブロリズマブによる免疫チェックポイント阻害剤治療を受けている患者が、治療3クール目で間質性肺炎を発症し、ステロイドパルス療法を行った事例。11月15日介入(入院11日目)。

看護計画#1

看護問題

#化学療法による間質性肺炎に関連した呼吸機能障害

長期目標

退院までに間質性肺炎による呼吸機能障害が改善し、日常生活活動において呼吸困難感なく過ごすことができる

短期目標

1週間以内に安静時および軽度の労作時(病棟内歩行程度)においてSpO2が96%以上を維持でき、自覚的な呼吸困難感が軽減する

≪O-P≫観察計画

・呼吸数、呼吸パターン、呼吸音(特に両側下肺野のファインクラックル)を1日3回以上観察する
・SpO2値を安静時および労作時(歩行、階段昇降、着替えなど)に測定する
・咳嗽の頻度、性状(乾性か湿性か)、痰の性状・量を観察する
・労作時の呼吸困難の程度をBorg scaleやmMRCスケールを用いて評価する
・呼吸時の補助筋使用の有無、努力呼吸の有無を観察する
・胸部X線やCT検査の結果変化(すりガラス陰影の範囲や濃度)を確認する
・血液ガス分析値(特にPaO2、PaCO2)の推移を確認する
・KL-6値やSP-D値の推移を確認する
・間質性肺炎の増悪徴候(発熱、咳嗽の増加、呼吸困難の急激な悪化)の有無を観察する
・ステロイド療法の効果と副作用(血糖値上昇、消化器症状、皮膚脆弱性など)を観察する
・疲労感の程度や日常生活活動への影響を観察する
・夜間の呼吸状態(特に睡眠中の低酸素や呼吸困難の有無)を観察する
・活動耐性の変化(連続歩行可能距離の延長など)を観察する

≪T-P≫援助計画

・安楽な呼吸を促すため、ベッド上30~45度のセミファウラー位での休息を促す
・活動と休息のバランスを考慮した日常生活援助計画を立案し実施する
・段階的な活動拡大プログラム(病室内歩行→病棟内短距離歩行→病棟内長距離歩行)を実施する
・呼吸困難時には速やかに安静を促し、必要に応じて酸素投与を行う
・湿度や室温の調整を行い、呼吸器への負担を軽減する環境を整える
・不必要な疲労を避けるため、ケアはA氏の状態に合わせて中断やまとめて実施する
・就寝時の体位は呼吸が楽になるよう調整し、必要に応じて複数の枕を使用する
・食事中の疲労や呼吸困難を軽減するため、食事は小分けに摂取するよう配慮する
・入浴やシャワー浴は呼吸状態を観察しながら実施し、必要に応じて介助を行う
・呼吸に負担のかかる動作(上肢の挙上など)を最小限にするよう動作方法を工夫する
・ストレスや不安による過呼吸を防ぐため、リラクゼーション方法を実施する
・感染予防のため、手洗いの徹底や必要に応じたマスク着用を促す
・水分摂取を促進し、痰の粘稠度を下げる支援を行う

≪E-P≫教育・指導計画

・間質性肺炎の病態と治療方針(ステロイド漸減計画など)について説明する
・呼吸困難感増強時のセルフケア方法(腹式呼吸法、口すぼめ呼吸法)を指導する
・日常生活における省エネルギー技術(動作の分割、休息の挿入など)を指導する
・間質性肺炎の増悪徴候(37.5℃以上の発熱、咳の増加、息切れの悪化など)と受診のタイミングについて説明する
・ステロイド治療中の注意点(感染予防、血糖値の自己測定、内服の重要性)を説明する
・退院後の生活で注意すべき環境因子(喫煙環境、高温多湿、粉塵など)を説明する
・禁煙継続の重要性と肺機能改善への効果について説明する
・家族に対して、A氏の呼吸状態観察のポイントと対応方法を指導する
・退院後の活動と休息のバランスの取り方について具体的に指導する
・日常生活における感染予防策(手洗い、マスク着用、人混みの回避)を指導する

看護計画#2

看護問題

#抗癌剤治療と免疫抑制状態に関連した感染リスク

長期目標

退院後も感染予防行動を継続して実践でき、感染症の罹患なく肺癌治療を継続することができる

短期目標

入院中、感染症の徴候なく経過し、退院までに感染予防のための自己管理方法を習得することができる

≪O-P≫観察計画

・体温測定を1日2-4回以上実施し、37.5℃以上の発熱の有無を確認する
・白血球数、好中球数の推移を確認し、骨髄抑制の程度を評価する
・呼吸音の変化(特に肺雑音の出現)や新たな咳嗽の有無を観察する
・痰の性状、量、色の変化(黄色化や緑色化、混濁など)を観察する
・尿の混濁、悪臭、排尿時痛などの尿路感染徴候を観察する
・口腔内の状態(粘膜炎、アフタ、白苔など)を観察する
・皮膚の発赤、熱感、腫脹、疼痛など感染徴候の有無を観察する
・ステロイド投与部位や血管内留置カテーテル刺入部の状態を観察する
・消化器症状(下痢、腹痛など)の出現を観察する
・食事摂取量や水分摂取量を観察し、栄養状態を評価する
・抗菌薬(ST合剤)の予防内服状況と副作用の有無を確認する
・ステロイド減量に伴う免疫状態の変化を評価する
・インスリン注射部位の発赤や硬結の有無を観察する

≪T-P≫援助計画

・感染予防のため、病室内の環境整備(清掃、換気)を定期的に行う
・手指衛生の徹底と患者周囲の環境の消毒を実施する
・ケア前後の手指消毒を確実に実施し、標準予防策を徹底する
・血管内留置カテーテル管理は可能な限り無菌操作で実施し、定期的に刺入部の消毒を行う
・ステロイド投与部位の清潔保持のため、消毒や固定の管理を確実に行う
・口腔ケアを1日3回以上実施し、口腔内乾燥予防のための保湿ケアを行う
・栄養状態維持のため、A氏の嗜好を考慮した食事提供と水分摂取を促進する
・面会者にも手指衛生の徹底を依頼し、感染源となる可能性のある面会は制限する
・インスリン注射手技の清潔操作を徹底し、注射部位の感染予防を行う
・感染リスクを高める不要な侵襲的処置は最小限にとどめる
・排泄後の手洗いの徹底と陰部の清潔保持を支援する
・シャワー浴や清拭を定期的に実施し、皮膚の清潔を保持する
・免疫力維持のため、適度な運動と十分な休息のバランスを考慮した日課を計画する

≪E-P≫教育・指導計画

・感染リスクが高い状態であることを説明し、感染予防の重要性を指導する
・正しい手洗い方法とタイミング(食事前、トイレ後、外出後など)を指導する
・マスク着用の必要性と正しい装着方法を指導する
・口腔ケアの重要性と具体的な方法(歯磨き、うがい、保湿)を指導する
・感染徴候(発熱、咳嗽の増加、痰の性状変化など)の早期発見方法と対応を説明する
・退院後の生活における感染リスク管理(人混みの回避、マスク着用、手洗いなど)を指導する
・ステロイド内服中は感染しやすい状態であることを説明し、ST合剤によるニューモシスチス肺炎予防の必要性を指導する
・免疫力維持のための食事(タンパク質、ビタミン摂取)の重要性を説明する
・インスリン注射の清潔操作(手指消毒、皮膚消毒など)を指導する
・退院後の感染予防と早期受診の目安について、家族を含めて指導する

看護計画#3

看護問題

#ステロイド療法に関連した高血糖状態

長期目標

退院までにインスリン自己注射と血糖自己測定の技術を習得し、血糖値を空腹時130mg/dL以下、食後2時間値180mg/dL以下にコントロールできる

短期目標

1週間以内に血糖測定値のパターンを理解し、食事・活動・インスリン投与の関連性を説明できる

≪O-P≫観察計画

・毎食前、食後2時間、就寝前、深夜の血糖値を測定し記録する
・低血糖症状(冷や汗、動悸、手指振戦、意識レベル低下など)の有無を観察する
・高血糖症状(口渇、多飲、多尿、倦怠感など)の有無を観察する
・食事摂取量と内容を毎食確認し記録する
・水分摂取量と排尿量のバランスを確認する
・ステロイド減量に伴う血糖値の変動パターンを観察する
・インスリン(ランタス12単位、ノボラピッド食前6-6-6単位)の効果と血糖推移の関係を評価する
・血糖自己測定の手技習得状況を確認する
・インスリン自己注射の手技習得状況を確認する
・注射部位の発赤、腫脹、硬結などの有無を観察する
・空腹感や食欲亢進の程度を評価する
・体重変化を定期的に測定する
・HbA1cやその他の血液検査データの推移を確認する

≪T-P≫援助計画

・指示された時間に確実にインスリン投与を実施する
・血糖測定の結果に基づいて、必要時追加インスリンを医師に相談する
・食事は糖尿病食1600kcal(塩分6g制限)を規則正しく提供する
・低血糖時の対応として、ブドウ糖やジュースをすぐに使用できるよう準備する
・血糖自己測定の手技を段階的に指導し、見守りから自立へ移行する
・インスリン自己注射の手技を段階的に指導し、見守りから自立へ移行する
・注射部位のローテーションについて図示し、実施状況を確認する
・ステロイド減量スケジュールに合わせて、インスリン量の調整を医師と相談する
・運動療法として、呼吸状態を観察しながら段階的に活動量を増やす
・血糖値と活動量の関係を記録し、パターンを把握できるよう支援する
・食事内容と血糖値の関係を記録し、パターンを把握できるよう支援する
・低血糖リスクを考慮し、特に夜間の観察を強化する
・血糖自己測定器とインスリン注射器具の取り扱いを繰り返し練習する機会を設ける

≪E-P≫教育・指導計画

・糖尿病とステロイド性糖尿病の違い、血糖コントロールの重要性について説明する
・インスリンの種類(ランタスとノボラピッド)の特徴と作用時間について説明する
・血糖値の目標範囲と、高血糖・低血糖の症状と対応方法を説明する
・血糖自己測定の具体的手順(穿刺部位の選択、測定方法、記録方法)を指導する
・インスリン自己注射の具体的手順(注射部位の選択、消毒方法、投与方法)を指導する
・インスリン保存方法(冷蔵保存の必要性、携帯時の注意点)について説明する
・食事内容と血糖値の関係について説明し、食品交換表の基本的な使い方を指導する
・ステロイド減量に伴う血糖値の変動と、インスリン量調整の目安について説明する
・体調不良時や発熱時の血糖管理について指導する
・退院後の血糖測定頻度とインスリン量調整の判断基準について説明する
・低血糖時の対処方法(砂糖やブドウ糖の携帯、摂取方法)を具体的に指導する
・妻に対しても低血糖症状の観察方法と対応方法を指導する

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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