【ゴードン】誤嚥性肺炎 入院5日目(0006)| 4.活動-運動

ゴードン

本事例の要約

78歳男性A氏の誤嚥性肺炎による入院で、発熱と呼吸困難を主訴に救急搬送され、入院後に重度の嚥下機能低下を認め経鼻経管栄養を開始した。今後はリハビリテーションをしながら経口摂取を進めていく予定。

4.活動-運動

A氏は入院前まで自立した生活を送っており、毎朝30分程度の散歩を日課とするなど、活動的な生活を維持していた。しかし、入院後は誤嚥性肺炎による全身状態の低下とせん妄の出現により、活動範囲がベッド上での座位保持とポータブルトイレへの移乗に制限されている。

血液データでは、赤血球432万/μL、ヘモグロビン13.2g/dL、ヘマトクリット39.8%と軽度の貧血傾向を示している。貧血による組織への酸素供給低下は、活動時の疲労感や息切れ、眩暈などを引き起こす可能性がある。また、炎症反応は入院時のCRP15.2mg/dLから8.4mg/dLへと改善傾向にあるものの、依然として高値が持続しており、全身の活動耐性低下に影響を与えていると考えられる。

バイタルサインは、体温36.8℃、脈拍82回/分・整、血圧132/78mmHg、呼吸数18回/分、酸素飽和度97%(酸素1L/分投与下)と安定している。しかし、誤嚥性肺炎による肺の炎症は、酸素の取り込みを低下させており、活動時には呼吸困難が出現する可能性がある。また、入院前と比較して体重が62kgから58kgへと4kg減少しており、活動量低下や経管栄養への移行による影響が考えられる。

現在のせん妄状態により、特に夜間の不穏時には「仕事に行かなければ」などの発言がみられ、転倒リスクが高まっている。

転倒転落のリスク要因として、以下の点が挙げられる。第一に、78歳という高齢であること。第二に、せん妄による判断力と見当識の低下。第三に、入院による環境の変化。第四に、活動量低下による筋力低下の可能性。第五に、経鼻経管栄養チューブ、点滴ルート、酸素チューブの使用による行動制限と動作の複雑化。第六に、貧血による活動時のめまいや疲労のリスク。第七に、夜間の不穏状態。これらの要因に対し、ベッド柵の使用と頻回な観察を実施しているが、状況に合わせて、さらなる転倒予防策の強化が必要である。

看護介入として、以下の実施が求められる。せん妄対策として日中の覚醒を促し、生活リズムを整えることが重要である。移動時は必ず看護師が見守り、各種医療機器のルート類の整理と安全な移動方法を指導する。また、理学療法士と協働し、酸素飽和度や呼吸状態を観察しながら、段階的な離床プログラムを実施する必要がある。ベッドサイドの環境整備を徹底し、必要物品は手の届く範囲に配置する。
転倒予防として、センサーマットを使用している情報がないので、せん妄時に転倒リスクが高い場合は、使用を検討していく。

さらに、継続的な観察が必要な項目として、活動時のバイタルサインの変動、呼吸困難の有無、疲労度、酸素飽和度の変化、せん妄症状の程度、筋力の回復状況が挙げられる。また、リハビリテーション開始後は、運動耐容能の評価を定期的に行う必要がある。貧血の進行についても、定期的な血液検査で確認する必要がある。

退院後の生活を見据え、自宅環境の評価と必要な住環境整備について、長男を含めた家族との話し合いを行う必要がある。特に、階段の有無や手すりの設置状況など、具体的な環境調査が必要である。

加齢による影響として、基礎体力の低下や回復力の遅延が予測されるため、過度な負荷を避けながら、段階的な活動範囲の拡大を図る必要がある。また、高齢者は環境変化への適応に時間を要するため、病棟での生活に慣れるまでは特に丁寧な支援が必要である。酸素需要の増加に対する予備力も低下していることから、活動時の呼吸状態の観察を行う必要がある。

看護問題の明確化

#筋力低下・せん妄・医療機器のルート類の存在・貧血に関連した転倒・転落のリスク状態
#誤嚥性肺炎による肺の炎症と貧血に関連した活動耐性の低下
#入院による環境の変化とせん妄に関連した睡眠-覚醒パターンの障害

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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