【ゴードン】心筋梗塞 入院2日目 (0014)| 3.排泄

ゴードン

本事例の要約

右胸部痛を主訴に救急搬送され、急性心筋梗塞と診断された65歳男性に対し、緊急カテーテル検査の結果、右冠動脈#2に99%狭窄を認め、経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行。術後、CCUでの管理を経て、一般病棟へ転棟となった入院2日目の事例。介入日は3月15日である。

3.排泄

A氏の排泄状況について、入院前は1日1-2回の普通便で、便秘の自覚はなかった。排尿は日中5-6回、夜間1-2回であった。現在は入院2日目であり、術後の安静による活動制限と環境の変化により、排便は未だ認めていない。腹部の状態や腸蠕動音に関する情報は得られていないため、アセスメントのために情報収集が必要である。

排尿に関しては、安静度制限によりベッド上で尿器を使用している。1回排尿量は200-300ml、1日尿量は2000ml程度で維持されている。排尿時の体位は看護師の見守りのもと自己にて実施できており、排尿障害は認められていない。

排泄に関連する食事・水分摂取状況として、心臓病食1600kcal・塩分6g/日の制限食が開始となっているが、摂取量は3割程度である。水分出納に関する詳細な記録は得られていないが、入院時は右前腕に静脈路を確保し、生理食塩水500ml/24時間の持続点滴とヘパリン10000単位/生理食塩水50mlを持続投与していた。現在は輸液とヘパリン投与は終了しているが、急変時対応のため右前腕の静脈路は維持している状態である。

血液データについて、腎機能に関連する指標を見ると、血液尿素窒素(BUN)は19.2mg/dl、クレアチニン(Cr)は0.8mg/dlと正常範囲内である。入院時(BUN 18.5mg/dl、Cr 0.9mg/dl)と比較しても大きな変動は認められず、腎機能は保たれている。糸球体濾過量(GFR)に関する情報は得られていないため、確認が必要である。

現在の安静度はベッド上での体位変換と食事のみ許可されている状態であり、活動制限による排便機能への影響が懸念される。尿道カテーテルは挿入されておらず、尿器を使用しての排尿が可能である。明日からは病棟内歩行が許可される予定であり、活動範囲の拡大に伴う排泄状況の変化が予測される。

必要な看護介入として、まず排便状況の改善に向けた支援が重要である。急性心筋梗塞後の患者において、便秘による努責は血圧上昇や心負荷を引き起こすリスクがあるため、早期の対応が必要である。具体的には、腹部の触診による腸蠕動音の確認や腹部膨満の有無の観察を定期的に行う必要がある。また、排便を促すために、可能な範囲での体位変換や腹部マッサージの実施を検討する。下剤の使用は現時点ではないが、心負荷軽減の観点からも、排便がない場合は主治医に相談の上、予防的な緩下剤の使用を積極的に検討する必要がある。排便時の努責を最小限に抑えるため、適切な食物繊維の摂取や水分補給の指導も重要である。

排尿に関しては、現在の尿量と水分摂取のバランスを確認するため、正確な水分出納の記録を開始する必要がある。また、尿器使用時の体位や環境設定を適切に行い、プライバシーの確保に努める。

65歳という年齢を考慮すると、加齢に伴う排尿機能の変化として、夜間頻尿や残尿感などの症状が出現する可能性があるため、これらの症状の有無についても観察を継続する必要がある。また、活動範囲の拡大に伴い、トイレ歩行が開始となった際の転倒リスクにも注意を払う必要がある。

継続的な観察項目として、排便回数・性状、排尿回数・量、腹部状態、水分摂取量と尿量のバランス、活動範囲拡大に伴う排泄状況の変化などを注意深く観察する。特に、活動制限解除後の初回排便については、循環動態への影響も考慮しながら慎重に対応する必要がある。

看護問題の明確化

#疾患に伴う安静度制限に関連した排便機能の低下

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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