本事例の要約
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪により緊急入院となった72歳男性の入院4日目の事例である。長年の喫煙習慣があり、入院前から呼吸困難感の増強を認めていた。入院後、酸素療法と薬物療法により症状は改善傾向にあるが、禁煙への意欲は低く、ADLの低下と再発予防が課題となっている。妻は今後の介護に不安を抱えており、包括的な支援を必要としている事例である。
9.性-生殖
A氏は72歳の高齢男性であり、70歳の妻との2人暮らしをしている。性生殖機能に関する直接的な情報は提供されていないため、加齢に伴う生理的変化や性機能への影響について確認が必要である。高齢期における性機能の変化は個人差が大きく、また慢性閉塞性肺疾患による呼吸困難や体力低下が性生活に影響を及ぼしている可能性がある。特に、3ヶ月での7kgの体重減少や、階段昇降時の息切れなどの症状は、身体活動全般への制限因子となっていることが考えられる。
現在の入院加療中は、急性増悪に伴う症状管理が優先されているが、夫婦関係や心理的な親密性の維持についても配慮が必要である。妻は毎日面会に訪れており、良好な関係性が保たれていることが推察される。しかし、妻の「このまま悪化したら介護が必要になるのでは」という不安な発言からは、今後の夫婦生活全般への懸念が表れている。
薬物療法としては、気管支拡張薬や吸入薬を使用しているが、これらの薬剤による性機能への直接的な影響は報告されていない。ただし、疾患の進行による全身状態の変化や、継続している喫煙習慣は、血管系や神経系への影響を通じて性機能に影響を及ぼす可能性がある。
几帳面で頑固な性格であり、「自分のことは自分でやりたい」という強い意志を持っているため、性に関する話題を医療者に相談することへの抵抗感がある可能性も考慮する必要がある。プライバシーに配慮しながら、必要に応じて性に関する相談や指導を行える環境を整えることが重要である。
退院後の生活に向けて、呼吸困難感の軽減や体力の回復が優先課題となるが、同時に夫婦の心理的な関係性にも注意を払う必要がある。特に、妻の介護負担への不安や、A氏自身の「どうせ長くない」という発言に表れる心理的な諦めについては、今後の生活設計に影響を与える可能性がある。
また、年齢相応の加齢変化として、テストステロンの低下や血管系の変化による性機能への影響が予測されるが、これらについての本人の認識や受け止め方についても確認が必要である。
看護介入としては、以下の点に注意を払う必要がある:
まず、夫婦の心理的な関係性を維持・強化するための支援として、妻の面会時には適切なプライバシーを確保し、二人で過ごす時間を大切にできるよう配慮する。次に、呼吸リハビリテーションの進行に合わせて、全身持久力の回復を支援し、日常生活動作の改善を図る。また、体重減少に対する栄養指導を通じて、全身状態の改善を目指す。さらに、禁煙指導を通じて血管系への悪影響を防止し、長期的な健康維持を支援する。
継続的な観察項目としては、呼吸困難感や疲労度の変化、夫婦間のコミュニケーションの質、妻の心理的負担の程度、そして退院後の生活への適応状況などが挙げられる。これらの観察を通じて、必要に応じた介入の調整や、専門職への相談を検討していく必要がある。
看護問題の明確化
なし
事例の目次
【ゴードン】慢性閉塞性肺疾患”COPD” 入院4日目 (0008)| 今回の情報
1.健康知覚-健康管理
2.栄養-代謝
3.排泄
4.活動-運動
5.睡眠-休息
6.認知-知覚
7.自己知覚-自己概念
8.役割-関係
9.性-生殖
10.コーピング-ストレス耐性
11.価値-信念
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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