【ゴードン】慢性閉塞性肺疾患”COPD” 入院4日目 (0008)| 6.認知-知覚

ゴードン

本事例の要約

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪により緊急入院となった72歳男性の入院4日目の事例である。長年の喫煙習慣があり、入院前から呼吸困難感の増強を認めていた。入院後、酸素療法と薬物療法により症状は改善傾向にあるが、禁煙への意欲は低く、ADLの低下と再発予防が課題となっている。妻は今後の介護に不安を抱えており、包括的な支援を必要としている事例である。

6.認知-知覚

A氏の意識レベルは清明であり、72歳という年齢であるが認知機能は年齢相応で低下は認められない。医療者との意思疎通は良好であり、治療や症状に関する質問も具体的で的確である。几帳面な性格を反映し、自身の症状について「息が詰まる感じ」「胸が重い」など、明確な言葉で表現することができている。

視覚機能については、老眼があり近距離での読書時には老眼鏡を使用している。しかし、遠方の視力は問題なく、テレビの視聴も支障なく行えている。加齢による視力低下は認められるものの、日常生活に支障をきたすほどの程度ではない。聴力も年齢相応であり、通常の会話は問題なく可能である。医療者からの説明や指示も正確に理解できており、コミュニケーションに支障は認められない。

知覚に関しては、四肢の感覚障害や痺れは認められず、温度感覚や痛覚も正常に保たれている。このことは、安全な日常生活動作の遂行や、呼吸困難感の自覚など、症状の認識において重要な要素となっている。

不安に関しては、呼吸困難感の改善とともに軽減傾向にあるものの、禁煙に対する消極的な態度や「こんな年になって今更」「どうせ長くない」という発言からは、疾患の予後に対する不安や諦めの感情が垣間見える。また、「早く家に帰りたい」「庭の手入れが気になる」との発言からは、入院生活によるストレスや、自宅での役割遂行への思いが強く表れている。

家族とのコミュニケーションは良好であり、特に妻とは互いの考えを共有できているが、禁煙に関する家族からの助言に対しては消極的な反応を示している。このことは、家族への思いやりと自身の習慣との間でのジレンマを抱えていることを示唆している。

必要な看護介入として、まず呼吸困難感の改善に伴う心理的変化を継続的に観察することが重要である。特に、自己管理能力が高く几帳面な性格であることを活かし、呼吸法の習得や日常生活動作の工夫など、具体的な対処方法を一緒に考えていく必要がある。また、禁煙に対する消極的な態度の背景にある不安や諦めの感情に対しては、傾聴的な姿勢で関わりながら、段階的な目標設定を行うことが重要である。

視覚機能に関しては、内服薬の自己管理再開に向けて、薬剤の識別や管理方法について、老眼による視力低下を考慮した指導が必要である。また、夜間のトイレ移動時など、視覚情報が制限される状況での安全確保について具体的な対策を講じる必要がある。

今後の観察ポイントとして、呼吸状態の変化に伴う不安の程度、家族との関係性の変化、治療に対する理解度や受け入れ状況を継続的に評価する必要がある。また、退院に向けては、自宅での生活再開に対する具体的な不安の有無についても確認が必要である。さらに、加齢に伴う認知機能や感覚機能の変化についても定期的な評価を行い、必要に応じて支援方法を調整していく必要がある。

看護問題の明確化

なし

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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