本事例の要約
この事例は、不適切な食事習慣と運動不足により肥満(BMI 29.4)を呈し、血糖コントロール不良となった45歳男性のⅡ型糖尿病患者の教育入院における看護介入事例である。IT企業の中間管理職として働くA氏は、多忙な業務により不規則な生活を送っており、特に食事の量や時間が不規則で、運動習慣がない生活を続けていた。今回、定期健康診断での著しい血糖値の上昇を契機に、生活習慣の改善と糖尿病自己管理能力の獲得を目的として教育入院となった。入院3日目の時点での看護展開を行う。
10.コーピング-ストレス耐性
A氏のストレス要因として、IT企業の中間管理職としての業務負担と責任、不規則な生活リズム、そして新たに診断された2型糖尿病の管理という複数の課題が存在している。特に仕事面では、残業や付き合いが多く、週3-4回の頻度で仕事関連の飲食を伴う付き合いがあることから、持続的なストレス状態にあることが推測される。
ストレス対処方法としては、仕事の付き合いでの飲酒(ビール500ml 1-2本程度/回)や、甘い物の摂取(チョコレートやケーキなどの洋菓子、砂糖を多く入れたコーヒー)が習慣化している。これらの対処方法は一時的なストレス解消にはなるものの、血糖コントロールを悪化させる要因となっており、適切なストレス対処方法とは言えない状況である。
ストレス反応として、休日は疲労回復のために午前中まで睡眠を取る傾向があり、平日の疲労が蓄積している状態が推察される。また、「このまま放っておくと重症化するのではないか」という不安を抱えているものの、具体的な対処行動に移せていない状況は、ストレスへの不適切な対処パターンを示している可能性がある。
サポート体制については、妻が「家族でできることは協力したい」という意向を示しているものの、具体的な支援方法についての知識が不足しており、効果的なサポートが実現できていない。また、高校生の長男と中学生の長女との生活時間が合わず、家族との交流時間が限られていることから、家族からの情緒的サポートも十分に得られていない可能性がある。
しかし、職場でのコミュニケーションは良好であることから、上司や同僚からの理解と支援を得られる可能性がある。また、医療者との意思疎通も良好であり、治療に対する理解力も十分であることから、適切な支援があれば建設的なストレス対処方法を習得できる可能性が高い。
看護介入としては、まず現在のストレス状況とその対処方法について詳細な評価を行う必要がある。特に、仕事におけるストレス要因の具体的な内容や、休日の過ごし方、趣味や気分転換の方法について情報収集を行うことが重要である。その上で、血糖コントロールに悪影響を与えない適切なストレス対処方法について指導を行う。
具体的には、運動療法を通じたストレス解消、リラクゼーション技法の習得、職場での休憩時間の効果的な活用方法などについて提案する。また、家族とのコミュニケーションを促進し、効果的なサポート体制を構築できるよう支援することが必要である。
退院後の生活に向けては、職場環境の調整や業務負担の適正化について検討することを提案する。また、定期的な外来受診時には、ストレス状況とその対処方法について継続的に評価し、必要に応じて介入方法を修正していく必要がある。
看護問題の明確化
# 不適切なストレス対処行動に関連した血糖コントロールの障害
事例の目次
【ゴードン】Ⅱ型糖尿病 教育入院(0002) | 今回の情報
1.健康知覚-健康管理
2.栄養-代謝
3.排泄
4.活動-運動
5.睡眠-休息
6.認知-知覚
7.自己知覚-自己概念
8.役割-関係
9.性-生殖
10.コーピング-ストレス耐性
11.価値-信念
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
看護の攻略部屋wiki
看護学生をお助け | 看護過程の見本 | 完全無料でコピー&ペースト(コピペ)OK
コメント