【ゴードン】大腸癌 術後急性期(0021)| 9.性-生殖

ゴードン

本事例の要約

本事例は、65歳男性が下血とS状結腸癌StageⅡAと診断され、腹腔鏡下S状結腸切除術を受けた術後3日目の事例である。本日7月26日に術後合併症の予防と早期離床、ADL拡大に向けた看護介入を行う。

9.性-生殖

A氏は65歳の男性であり、妻(62歳)と二人暮らしである。長男(38歳)と長女(36歳)は独立しており、成人期の子どもを持つ家族構成である。A氏は定年まで高校教師として勤め、現在も週3日程度、母校で非常勤講師として数学を教えている活動的な高齢者である。夫婦関係は良好であると推測され、妻は毎日面会に訪れ、「無理せずにゆっくり回復してほしい」と気遣う様子が見られる。また「夫は几帳面な性格なので、何でも自分でやろうとするところがある。家に帰ってからも無理をさせないようにしたい」という発言から、妻はA氏の性格をよく理解し、サポート的な役割を担っていることがうかがえる。

65歳という年齢から、A氏は加齢に伴う男性更年期(男性の加齢性腺機能低下症候群:LOH症候群)の可能性がある。しかし、現在の情報からはLOH症候群に特徴的な症状(易疲労性、集中力低下、抑うつ傾向、性欲減退など)についての記述は見当たらない。A氏が活動的な生活を送り、趣味や仕事を継続していることから、顕著な症状は認められないと推測される。しかし、男性更年期症状は潜在的に存在する可能性があり、術後の回復過程でこれらの症状が顕在化する可能性もあるため、注意深い観察が必要である。

また、S状結腸癌に対する腹腔鏡下S状結腸切除術、D3リンパ節郭清術を受けていることから、術後の性機能への影響が懸念される。特に結腸直腸領域の手術では、自律神経への影響により排尿・排便機能のみならず性機能にも影響を及ぼす可能性がある。現時点では性機能に関する訴えや懸念は記録されていないが、回復期の進行とともに日常生活の質にかかわる問題として顕在化する可能性がある。

A氏と妻との性生活に関する情報は記載されていないが、夫婦生活を送る高齢者として、術後の性生活の再開に関する疑問や不安を抱えている可能性がある。特に手術による身体的変化や創部の痛み、ボディイメージの変化などが性生活に与える影響について懸念していることも考えられる。しかし、性生活に関する話題は個人的で繊細な内容であるため、A氏自身から話題が提起されない限り、積極的に聞き出すことは避け、A氏が相談しやすい環境を整えることが重要である。

看護介入としては、まず術後の回復過程で出現する可能性のある症状について事前に説明し、必要時には相談できる窓口があることを伝えておくことが重要である。また、夫婦の関係性を尊重しながら、術後の活動制限や注意点について適切な情報提供を行う。退院指導の際には、必要に応じて性生活の再開時期や注意事項について個別に説明する機会を設けることも有効である。また、妻も62歳であり更年期症状を経験している可能性があるため、夫婦双方の健康状態を考慮した支援が必要である。

今後の退院に向けて、A氏のプライバシーと尊厳を守りながら、必要な情報を収集し支援を行うことが求められる。特に退院前にはより詳細な生活指導が必要となるため、A氏や妻が質問や懸念を表出しやすい環境を整え、必要に応じて専門的な相談(泌尿器科医師や専門看護師など)につなげる体制を整えておくことが望ましい。

看護問題の明確化

#S状結腸手術に関連した性機能障害リスク

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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