本事例の要約
55歳女性の胃癌(stageⅡA)症例。
職場健診を契機に発見され、7月8日に胃全摘術およびルーY法を施行。
既往に高血圧、脂質異常症あり。
術後経過は良好で、術後5日目より氷片摂取開始、7日目から流動食を開始している。点滴は減量中で、疼痛コントロール良好、ADLも病棟内歩行が自立している。
退院は術後14日目を予定。早期の職場復帰を希望する患者に対し、食事への不安があり、夫は協力的で食事管理に関心が高い。今後は合併症予防に努めながら、段階的な食事進行と活動範囲の拡大を図り、補助化学療法の必要性を検討する方針である。
5.睡眠と休息をとる
A氏の睡眠状況について、入院前は午後11時から午前6時まで良眠できていたが、現在は創部痛により中途覚醒がある。痛みのために十分な睡眠が得られないと、疲労が蓄積してストレスを抱えることになり、回復の遅延につながる可能性がある。そのため、就寝前の疼痛コントロールが重要である。ロキソプロフェン60mgが頓用で処方されているため、早期に使用を検討する必要がある。
不眠時にゾルピデム10mgを使用することがあるが、不眠の原因について確認が必要である。もし痛みによって眠れない場合は、ロキソプロフェンの使用により解決する可能性がある。もしくは、入院による疲労とストレスや仕事への気がかり、回復過程への不安、日中に午睡している、音や照明などの環境が影響しているなどが、眠れなくなっている原因かもしれないので、本人から情報を得て、原因に対する対策を検討する必要がある。
日中の活動は術後の回復に伴い徐々に増加しているが、過度な疲労の蓄積は睡眠の質に影響を与える可能性がある。そのため、活動と休息のバランスを評価し、必要に応じて日中の活動を調整する必要がある。また、睡眠薬使用後の睡眠状況や翌朝の目覚めの状態、日中の眠気の有無についても確認が必要である。
環境面では、室温や湿度の調整、必要に応じた寝具の追加、不必要な物音の軽減、夜間の照明調整など、より快適な睡眠環境を整える必要がある。また、処置や観察による中断を最小限にするため、可能な範囲で処置時間の調整を行う。
創部の掻痒感については情報がないため、確認が必要である。術後の創傷治癒過程では、炎症反応に伴う組織修復により掻痒感が生じることがある。掻痒感は不眠の原因となり、また掻破による創部の二次感染のリスクもあるため、早期発見と対応が重要である。
A氏の睡眠と休息に関するニーズは充足されていない状態である。入院前は7時間の良好な睡眠が確保できていたが、現在は創部痛による中途覚醒があり、睡眠が中断されている。また、睡眠に影響を与える要因として、疼痛だけでなく、入院による環境の変化、仕事や回復過程への不安、日中の活動量の変化など、複数の要因が存在する可能性がある。そのため、不眠の原因を特定し、それぞれの要因に応じた対策を講じる必要がある。特に疼痛コントロールと環境調整を適切に行い、質の良い睡眠が確保できるよう支援していく必要がある。
看護問題の明確化
# 創部痛、療養環境の変化、心理的不安に関連した、睡眠障害のリスク状態
事例の目次
【ヘンダーソン】胃癌 術後7日目(0001) | 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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