【ヘンダーソン】胃癌 術後7日目(0001)| 看護計画

ヘンダーソン

事例の要約

55歳女性の胃癌(stageⅡA)症例。

職場健診を契機に発見され、7月8日に胃全摘術およびルーY法を施行。
既往に高血圧、脂質異常症あり。

術後経過は良好で、術後5日目より氷片摂取開始、7日目から流動食を開始している。点滴は減量中で、疼痛コントロール良好、ADLも病棟内歩行が自立している。

退院は術後14日目を予定。早期の職場復帰を希望する患者に対し、食事への不安があり、夫は協力的で食事管理に関心が高い。今後は合併症予防に努めながら、段階的な食事進行と活動範囲の拡大を図り、補助化学療法の必要性を検討する方針である。

看護計画 #1

看護問題

胃全摘術後の消化吸収機能の低下と食事摂取量の制限に関連した栄養摂取不足があるため、体重減少と低栄養のリスク状態にある

長期目標(退院時)
  1. 必要栄養量(1,872kcal/日)の70%以上を経口摂取できる
  2. これ以上の体重減少を認めない
  3. 血液データ(総蛋白、アルブミン)が基準値内となる
  4. 退院後の食事管理夫について夫婦で理解できる
  5. 職場復帰に向けた食事管理が理解できる
短期目標(術後10日目)
  1. 三分粥食を30分以上かけて全量摂取できる
  2. ダンピング症候群の症状が出現しない
  3. 水分を1日1,500ml以上摂取できる
  4. 食事摂取に関する不安が軽減される
  5. 家族(夫)が食事管理方法について理解できる
≪O-P≫観察計画

・食事摂取量と摂取時間を確認する
・水分摂取量と摂取のタイミングを確認する
・食後のダンピング症候群の症状(動悸、めまい、冷汗、腹痛、嘔気)の有無を観察する
・食後2-3時間の低血糖症状(冷汗、手の震え、脱力感)の有無を観察する
・毎日の体重測定値の変化を確認する
・血液検査データ(総蛋白、アルブミン、ヘモグロビン)の推移を確認する
・排便の性状、回数、量を観察する
・腹部症状(膨満感、腹痛、嘔気)の有無を確認する
・バイタルサインの変動を観察する
・食事に対する不安や心配事の表出を確認する
・疲労感や倦怠感の程度を観察する
・体調に合わせた食事量の調整に対する理解度を確認する
・食事摂取時の姿勢保持の状況を確認する
・活動量と疲労度のバランスを観察する
・食事に関する家族(夫)の理解度と支援状況を確認する
・精神状態(不安、焦り、抑うつ)の変化を観察する

≪T-P≫援助計画

・食事時は上体を30度以上挙上し、誤嚥予防の体位を保持する
・食事摂取時は30分以上かけてゆっくり摂取できるよう声かけする
・食事の前後で適切な時間を空けて水分摂取を促す
・食事環境を整え、リラックスして摂取できる雰囲気を作る
・食事摂取量と水分摂取量を確認する
・医師の指示に従い、段階的に食事形態を調整する
・体重測定を毎日同じ時間帯に実施する
・食後は30分程度の安静を促す
・症状出現時は、速やかに医師に報告し対応する
・栄養士と連携し、必要に応じて栄養補助食品の使用を検討する
・口腔内を清潔に保つよう、食前食後の口腔ケアを実施する

≪E-P≫教育・指導計画

・ダンピング症候群の症状と予防方法について説明する
・食事は30分以上かけてゆっくり摂取することの重要性を説明する
・1回の食事量を制限し、少量頻回に分けて摂取する必要性を説明する
・食事と水分摂取のタイミングについて説明する
・症状出現時の対処方法と報告の必要性について説明する
・退院後の食事管理方法について、夫婦で参加できる栄養指導を実施する
・退院後に適した食材の選び方や調理方法について説明する
・食事摂取量や体調の記録方法について指導する
・栄養バランスの良い食事内容について説明する
・退院後の適切な運動と休息のとり方について指導する
・定期的な体重測定の必要性と記録方法について説明する
・食事に関する不安や疑問を相談できる外来窓口について情報提供する

看護計画 #2

看護問題

術後の腸管機能低下、疼痛、水分摂取制限に関連した、便秘および水分出納バランス管理困難のリスク状態

長期目標(退院時)
  1. 規則的な排便習慣が確立される
  2. 適切な水分バランスが維持される
  3. 排泄に関する苦痛なく日常生活が送れる
  4. 自己にて排泄コントロールが実施できる
短期目標(術後10日目)
  1. 1日1回以上の自然排便がある
  2. 排便時の疼痛が軽減される
  3. 水分摂取量が1日1,500ml以上確保できる
  4. 適切な尿量(1,000-1,500ml/日)が維持される
≪O-P≫観察計画

・排便の回数、性状、量を確認する
・排尿の回数、量、性状を確認する
・腸蠕動音の有無と程度を観察する
・腹部の膨満感や違和感の有無を確認する
・排便時の疼痛の有無と程度を確認する
・水分摂取量と排泄量のバランスを確認する
・バイタルサインの変動を観察する
・脱水症状(口渇、皮膚乾燥、尿量減少)の有無を観察する
・嘔気・嘔吐の有無を確認する
・活動量と疲労度を観察する
・排泄動作の自立度を確認する
・創部の状態(発赤、腫脹、疼痛)を観察する

≪T-P≫援助計画

・毎日できるだけ同じ時間帯での排便を促す
・トイレまでの歩行を促し、腸蠕動を促進する
・医師の指示に基づき下剤を適切に使用する
・排便時は焦らず十分な時間を確保する
・必要に応じて腹部マッサージを実施する
・疼痛時は医師の指示に従い鎮痛薬を使用する
・水分出納の記録をする
・必要に応じてトイレ誘導を行う
・医師の指示に沿って点滴を実施する

≪E-P≫教育・指導計画

・術後の排便コントロールの必要性について説明する
・水分摂取の重要性と適切な摂取方法について指導する
・腹圧をかけ過ぎない排便方法について説明する
・規則的な排便習慣の確立方法について指導する
・排泄に関する異常症状とその報告の必要性を説明する
・下剤の適切な使用方法について説明する
・排泄状況の観察・記録方法について指導する
・便秘予防のための生活習慣について説明する
・排泄に関する不安や疑問点への相談方法を説明する

看護計画 #3

看護問題

術後の疼痛、点滴ライン留置、夜間の睡眠薬使用、基礎的な呼吸機能低下に関連した、活動制限および転倒転落のリスク状態

長期目標(退院時)
  1. 安全に日常生活動作が自立できる
  2. 転倒転落なく過ごすことができる
  3. 活動に伴う呼吸困難感なく過ごせる
  4. 疼痛なく活動できる
短期目標(術後10日目)
  1. 院内歩行が安全に実施できる
  2. 夜間のトイレ移動が安全に行える
  3. 適切な疼痛コントロールができる
≪O-P≫観察計画

・歩行時のふらつきや疲労感の有無を観察する
・疼痛の部位、程度、性質を確認する
・夜間の睡眠状態と覚醒状態を観察する
・活動時の呼吸状態(呼吸数、SpO2)を確認する
・点滴ラインの固定状態と位置を確認する
・移動時の動作の安定性を観察する
・環境整備の状況を確認する
・ナースコールの位置と使用状況を確認する
・睡眠薬使用後の覚醒状態を観察する
・活動に対する意欲と理解度を確認する
・疲労度と休息状況を観察する
・創部痛が活動に与える影響を観察する

≪T-P≫援助計画

・活動前の疼痛コントロールを実施する
・点滴ラインの整理と固定を適切に行う
・夜間のトイレ歩行時は見守り介助を行う
・環境整備(床の整理、照明の調整)を実施する
・必要時は車椅子を使用し安全な移動を支援する
・活動と休息のバランスを配慮した援助を行う
・手すりの位置を調整し、安全な移動環境を整える
・ベッドの高さを適切に調整する
・疲労時は適切な休息を促す
・睡眠薬使用時は転倒予防策を強化する
・リハビリ時の安全確保を行う

≪E-P≫教育・指導計画

・安全な移動方法について説明する
・必要時のナースコール使用を指導する
・点滴ラインの取り扱いについて説明する
・夜間トイレ歩行時の注意点を説明する
・適切な休息の取り方について指導する
・活動に伴う呼吸困難感への対処方法を説明する
・睡眠薬使用時の注意点について説明する
・段階的な活動範囲拡大について説明する
・疼痛時の対処方法について指導する
・転倒予防のための環境整備方法を説明する

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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