【ヘンダーソン】慢性腎不全 生活習慣の改善が課題(0009)5.睡眠と休息をとる

ヘンダーソン

事例の要約

1月25日に高血圧による腎機能障害で緊急入院となった65歳男性の製造業事務職A氏に対して、入院2日目の1月27日より、生活習慣の改善と透析予防に向けて看護介入を行う事例。

5.睡眠と休息をとる

A氏は12月頃から夜間の呼吸困難が出現し、就寝時には2-3個の枕を使用する状態となり、その後起座呼吸が出現したことで睡眠の質が著しく低下している。入院後、呼吸困難は改善傾向にあるものの、夜間の睡眠は依然として不安定な状態が続いている。この背景には、腎機能低下に伴う体液貯留による呼吸困難に加え、夜間頻尿(2-3回/晩)の影響も考えられる。65歳という年齢を考慮すると、加齢に伴う睡眠の質の低下も影響している可能性がある。

疼痛や掻痒感に関する明確な訴えは記録されていないが、高血圧性腎症による慢性腎臓病患者では尿毒症性掻痒症を伴うことがあるため、この点についての詳細な問診と観察が必要である。安静度については、現在病棟内の短距離歩行が許可されており、日中の活動量を適度に確保することで、夜間の睡眠の質の改善が期待できる。

入眠剤の使用に関する記載はないが、現在の睡眠状態が不安定であることから、必要に応じて医師と相談の上、一時的な睡眠薬の使用を検討する必要がある。ただし、腎機能低下を考慮した薬剤選択が重要である。また、眠剤使用時には、夜間から早朝にかけて残眠によるふらつきが生じる可能性があり転倒転落に注意が必要である。

疲労の状態については、入院時には全身の倦怠感が著明で日常生活に支障をきたしていた。現在も倦怠感は残存しているものの、病棟内歩行が可能な程度まで改善している。しかし、十分な睡眠が取れていない状況が続くことで、回復過程に悪影響を及ぼす可能性がある

療養環境への適応については、医療者とのコミュニケーションは良好で、入院による生活環境の変化にも徐々に適応している様子が見られる。ただし、長年の生活習慣を変更することへの不安を表出しており、これがストレス要因となっている可能性がある。特に、禁煙を開始したことによる精神的ストレスが睡眠に影響を与えている可能性も考慮する必要がある。

以上を踏まえ、以下の看護介入が必要である。

まず、夜間の睡眠状態を詳細に把握するため、睡眠時間、中途覚醒の頻度、睡眠の質に関する本人の主観的評価について継続的なモニタリングを行う。また、夜間頻尿による睡眠中断を最小限に抑えるため、就寝前の排尿を促し、必要に応じて尿器の使用を検討する。

適切な睡眠環境を整えるため、室温・湿度の調整、照明の管理、必要に応じた体位調整用枕の提供を行う。日中の活動量を維持しながら、適度な休息時間を確保し、生活リズムの整備を支援する。

さらに、不安やストレスの軽減のため、定期的な傾聴の機会を設け、必要に応じて家族の支援を得られるよう調整する。禁煙に伴うストレスについては、禁煙外来の利用や代替療法の検討を提案することも考慮する。

睡眠と休息に関するニーズの充足状況としては、現時点では充足されていない。これは、夜間の睡眠が不安定であることに加え、倦怠感が残存していることが主な要因である。また、生活習慣の変更に伴うストレスも影響していると考えられる。今後、上記の看護介入を通じて、段階的なニーズの充足を目指す必要がある。

看護問題の明確化

#疾患に伴う体液貯留と夜間頻尿に関連した睡眠パターンの障害

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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