【ヘンダーソン】慢性腎不全 生活習慣の改善が課題(0009)看護計画

ヘンダーソン

事例の要約

1月25日に高血圧による腎機能障害で緊急入院となった65歳男性の製造業事務職A氏に対して、入院2日目の1月27日より、生活習慣の改善と透析予防に向けて看護介入を行う事例。

看護計画#1

看護問題

#慢性腎臓病に伴う体液管理に関連した体液量過不足のリスク状態

長期目標

退院までに適切な体液管理方法を習得し、体液バランスが安定した状態を維持できる

短期目標

水分制限1500ml/日を遵守できる
塩分制限食6g/日を8割以上摂取できる
体液過剰の症状(浮腫、呼吸困難)が改善する
日々の体重変動が±0.5kg以内に維持できる

≪O-P≫観察計画

・1日の水分摂取量と尿量を測定し、水分バランスを確認する
・体重を毎日同時刻に測定し、急激な増減がないか確認する
・両下腿の浮腫の程度と範囲を観察する
・呼吸数、呼吸の深さ、呼吸困難感の有無を確認する
・血圧値と脈拍数を定時に測定する
・食事摂取量を毎食確認する
・口渇感の有無と程度を確認する
・皮膚の乾燥状態や粘膜の湿潤度を観察する
・意識レベルと活動状態を観察する
・検査データ(BUN、Cr、電解質、Hb)の推移を確認する
・労作時の息切れや疲労感の程度を観察する
・1回の排尿量と排尿回数を確認する

≪T-P≫援助計画

・毎食時に必要な水分量を計量して提供する
・就寝前に翌日の水分制限量を記載したボトルを準備する
・必要に応じて氷片を提供し、口渇感の緩和を図る
・清潔ケア時は使用する水分量を制限範囲内に調整する
・体重測定は毎朝食前に実施する
・活動量に応じて休息時間を設ける
・食事は分割して提供し、ゆっくり摂取できるよう配慮する
・室温と湿度を適切に調整し、不感蒸泄の増加を防ぐ
・口腔内を清潔に保ち、口渇感の軽減を図る
・必要時は体位を調整し、呼吸困難感の軽減を図る
・食事時は良肢位を保持できるよう環境を整える
・排尿測定用の容器を使用しやすい位置に設置する

≪E-P≫教育・指導計画

・水分制限の必要性と体液バランスの関係について説明する
・1日の水分摂取量の目安と具体的な管理方法を指導する
・塩分制限の必要性と具体的な食事内容について説明する
・体重測定の意義と測定方法について指導する
・浮腫や呼吸困難などの症状悪化時の対応方法を説明する
・退院後の水分管理方法について家族を含めて指導する
・日常生活での具体的な塩分制限方法について説明する
・水分出納記録の付け方を指導する

看護計画#2

看護問題

#慢性腎臓病に伴う体液貯留に関連した呼吸機能の低下

長期目標

安定した呼吸状態を維持し、日常生活に支障のない活動レベルを確保できる

短期目標

安静時の呼吸困難が消失する
夜間の睡眠が安定して確保できる
体動時の呼吸困難が軽減し、病棟内歩行が安定してできる
呼吸困難時の対処方法を理解し実施できる

≪O-P≫観察計画

・呼吸数、呼吸の深さ、呼吸パターンを観察する
・呼吸音の性状と部位を確認する
・動脈血酸素飽和度を定期的に測定する
・呼吸困難感の程度と出現時の状況を確認する
・夜間の睡眠状態と体位を観察する
・活動時の呼吸状態の変化を観察する
・咳嗽の有無と性状を確認する
・疲労の程度と回復状況を観察する
・両下腿の浮腫の程度を確認する
・日常生活動作時の呼吸困難の有無を観察する
・禁煙に伴う離脱症状の有無を確認する
・胸部レントゲン所見の変化を確認する

≪T-P≫援助計画

・ベッドの頭側を30-45度挙上し、呼吸がしやすい体位を保持する
・必要時に複数の枕を使用し、安楽な体位を確保する
・活動と休息のバランスを考慮した日課を計画する
・室内の換気を適切に行い、快適な環境を整える
・就寝前の体位調整と環境整備を実施する
・日常生活動作は呼吸状態を観察しながら段階的に拡大する
・食事は少量ずつゆっくり摂取できるよう配慮する
・清潔ケアは呼吸状態に応じて休憩を取りながら実施する
・不安の軽減に向けて精神的支援を行う
・禁煙継続のための支援を行う
・必要時には酸素療法の調整を行う
・疲労時は速やかに休息が取れるよう環境を整える

≪E-P≫教育・指導計画

・呼吸困難時の対処方法と緊急時の連絡方法を説明する
・効果的な呼吸法と腹式呼吸の方法を指導する
・体位による呼吸の変化と良肢位の保持方法を説明する
・過度な労作を避け、段階的に活動を増やす方法を指導する
・禁煙継続の重要性と具体的な対処方法を説明する
・日常生活での呼吸困難予防の方法を指導する
・睡眠時の体位調整方法を説明する
・家族に対して呼吸困難時の対応方法を指導する

看護計画#3

看護問題

#慢性腎臓病に伴う体液貯留・呼吸困難に関連した活動耐性の低下

長期目標

安全な移動・排泄動作が確立され、転倒することなく日常生活動作が自立できる

短期目標

夜間のトイレ移動を含め、転倒なく病棟での生活が送れる
点滴スタンドを使用しての安全な移動方法が習得できる
必要時にナースコールを使用できる
転倒予防のための環境調整の必要性を理解し、実践できる

≪O-P≫観察計画

・歩行時のふらつきの有無を確認する
・点滴スタンド使用時の操作の安全性を確認する
・夜間の覚醒状況と排尿回数を観察する
・睡眠状態と疲労の程度を確認する
・両下腿の浮腫の程度と歩行への影響を観察する
・移動時の呼吸状態を観察する
・病室内での移動動線の安全性を確認する
・履物の適切性を確認する
・ナースコールの配置状況を確認する
・日中の活動量と疲労度を観察する
・トイレ動作の自立度を確認する
・視力・聴力の状態を観察する

≪T-P≫援助計画

・ベッドの高さを適切に調整する
・夜間は足元灯を点灯し、適度な明るさを確保する
・点滴スタンドの車輪の動きを定期的に点検する
・必要物品を手の届く位置に配置する
・ベッド周囲の環境整備を実施する
・床の水濡れを早期に発見し対処する
・移動の際は十分な space を確保する
・履物の選択と管理を支援する
・トイレまでの動線を確保する
・夜間の巡視を定期的に実施する
・疲労時は速やかに休息が取れるよう環境を整える
・移動時は呼吸状態に応じて休憩できる場所を確保する

≪E-P≫教育・指導計画

・転倒リスクとその予防の必要性について説明する
・夜間トイレ歩行時の注意点を説明する
・ナースコールの使用方法と使用のタイミングを指導する
・点滴スタンドを使用しての安全な移動方法を指導する
・急な動作を避け、ゆっくりと行動することの重要性を説明する
・家族に対して転倒予防の環境整備方法を指導する
・疲労時の休息の取り方について説明する
・退院後の生活における転倒予防策を指導する

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

看護の攻略部屋wiki

看護学生をお助け | 看護過程の見本 | 完全無料でコピー&ペースト(コピペ)OK


コメント

タイトルとURLをコピーしました