本事例の要約
1月25日に高血圧による腎機能障害で緊急入院となった65歳男性の製造業事務職A氏に対して、入院2日目の1月27日より、生活習慣の改善と透析予防に向けて看護介入を行う事例。
12.達成感をもたらすような仕事をする
A氏は製造業の事務職として勤務していたが、今回の入院を機に休職している状態である。これまでの就労状況として、仕事を理由に通院や服薬管理が不規則であったことが示されており、仕事を優先する傾向が強かったことが伺える。65歳という年齢を考慮すると、定年退職の時期に近づいており、今後の就労継続についての意思確認が必要である。
社会的役割については、63歳の妻との2人暮らしであり、家庭内での役割や責任について詳細な情報収集が必要である。隣市に住む38歳の長女が週末に様子を見に来ており、家族関係は良好である。ただし、地域社会での役割や、職場以外での社会活動に関する情報が不足している。
疾患が仕事や役割に与える影響として、現在の症状である全身倦怠感、両下腿浮腫、呼吸困難感は、就労継続に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に、今後の透析導入のリスクについて説明を受けており、将来の職業生活への影響を考慮した生活設計の見直しが必要な状況である。
入院による影響については、突然の緊急入院となったため、職場との調整や引継ぎが十分でない可能性がある。また、入院期間や退院後の通院頻度(週1回の外来受診予定)について、職場との調整が必要となる。
以上を踏まえ、以下の看護介入が必要である。
まず、本人の就労継続に関する意向と、現実的な可能性について評価する。特に、透析導入の可能性を考慮した場合の就労形態や勤務調整について、医療ソーシャルワーカーと連携しながら検討する必要がある。
職場復帰に向けては、段階的な活動量の増加を図りながら、体力の回復状況を評価する。同時に、今後の生活習慣改善と就労の両立について具体的な方策を検討する。特に、通院と服薬管理を確実に行えるような勤務調整の必要性について理解を促す。
また、退職を検討する場合には、新たな役割や生きがいの獲得に向けた支援が必要である。これには、地域活動への参加や趣味の開発なども含まれる。家族、特に妻との関係性を考慮しながら、今後の生活設計について話し合う機会を設ける。
継続的な観察が必要な点として、疾患の回復状況と活動耐性の変化、就労や役割に対する本人の考えの変化、家族との関係性の変化が挙げられる。また、社会保障制度の活用必要性についても評価を続ける。
仕事と役割に関するニーズの充足状況としては、現時点では充足されていない。これは、突然の入院による仕事の中断と、今後の就労継続に関する不確実性が主な要因である。また、疾患管理と仕事の両立に向けた具体的な計画が未確立であることも影響している。今後、本人の意向と疾患の状態を考慮しながら、実現可能な役割の再構築を支援していく必要がある。
看護問題の明確化
#疾患の進行に伴う身体機能低下に関連した役割遂行能力の低下
事例の目次
【ヘンダーソン】慢性腎不全 生活習慣の改善が課題(0009)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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