【ヘンダーソン】慢性腎不全 生活習慣の改善が課題(0009)9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする

ヘンダーソン

事例の要約

1月25日に高血圧による腎機能障害で緊急入院となった65歳男性の製造業事務職A氏に対して、入院2日目の1月27日より、生活習慣の改善と透析予防に向けて看護介入を行う事例。

9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする

認知機能については、医療者とのコミュニケーションは良好で、説明内容を適切に理解し、自身の症状や気持ちを表現できている。危険に対する認識力は保たれており、ナースコールの使用方法も理解できている。65歳という年齢を考慮すると、加齢による反応速度の低下や判断力の変化の可能性はあるものの、現時点で顕著な影響は見られない。術後せん妄の記載はなく、また手術歴もないため、せん妄のリスクは低いと考えられる。

環境面では、点滴ラインを使用しており、移動時には点滴スタンドを使用している。ふらつきは見られないものの、倦怠感の残存と両下腿浮腫による歩行への影響があり、特に夜間のトイレ歩行時には転倒リスクが懸念される。トイレ動作や移動時の転倒リスクを考慮し、必要に応じてナースコールの使用を指導している状況である。

皮膚損傷に関しては、現時点での記載はないが、両下腿の浮腫により皮膚の脆弱性が増している可能性がある。また、慢性腎臓病による易感染性の状態であることから、皮膚損傷の予防と早期発見が重要である。

感染予防対策について、手洗いや面会制限に関する具体的な記載はないが、慢性腎臓病患者における感染リスクの高さを考慮すると、標準予防策の徹底が必要である。週末に長女が面会に来ているとの記載があるが、面会制限の有無や具体的な感染予防策については情報収集が必要である。

血液データでは、白血球数は入院時9800/μLから現在8200/μLと改善傾向にあり、CRPも0.8mg/dLから0.5mg/dLへと低下している。これらの値は軽度の炎症反応を示しているものの、重大な感染症を示唆する所見ではない。ただし、慢性腎臓病による免疫機能低下の影響を考慮する必要がある。

以上を踏まえ、以下の看護介入が必要である。

環境整備として、病室内やトイレまでの経路における段差の確認と整備、点滴ラインの整理、適切な照明の確保を行う。特に夜間のトイレ歩行時の安全確保のため、適切な照明と手すりの使用を促す。必要に応じて、夜間帯のポータブルトイレの使用についても検討する。

感染予防の観点から、手指衛生の重要性について患者教育を行い、特に排泄後やトイレ使用後の手洗いの徹底を指導する。面会者に対しても、適切な感染予防策の説明と遵守を依頼する。

継続的な観察が必要な点として、歩行状態や疲労度の変化、皮膚の状態、感染徴候の有無が挙げられる。また、夜間の活動状況や睡眠状態についても観察を継続し、必要に応じて環境調整を行う。

安全確保に関するニーズの充足状況としては、現時点では概ね充足されている。これは、認知機能が保たれており、基本的な危険認識と予防行動が可能であることが主な要因である。ただし、倦怠感や浮腫による活動への影響があることから、継続的な観察と予防的介入が必要である。

看護問題の明確化

#疾患に伴う全身倦怠感と浮腫に関連した転倒リスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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