本事例の要約
1月25日に高血圧による腎機能障害で緊急入院となった65歳男性の製造業事務職A氏に対して、入院2日目の1月27日より、生活習慣の改善と透析予防に向けて看護介入を行う事例。
7.体温を生理的範囲内に維持する
バイタルサインについて、入院時の体温は36.8℃であり、現在まで発熱は認められていない。脈拍は入院時78回/分から現在72回/分と安定している。血圧は入院時158/92mmHgから142/82mmHgへと改善傾向にある。
療養環境の温度、湿度、空調に関する具体的な記載はないため、これらの環境因子について情報収集が必要である。特に、慢性腎臓病患者は体温調節機能が影響を受ける可能性があるため、快適な療養環境の維持は重要である。65歳という年齢を考慮すると、加齢に伴う体温調節機能の低下も考慮する必要がある。
感染症に関する記載はなく、感染症の存在を示唆する症状も報告されていない。血液データでは、白血球数は入院時9800/μLから現在8200/μLと軽度高値から改善傾向にあり、CRPも0.8mg/dLから0.5mg/dLへと低下している。これらの値は軽度の炎症反応を示しているものの、明らかな感染症を示唆する所見ではない。
日常生活動作(ADL)については、病棟内の短距離歩行が可能で、基本的な自己管理能力は保たれている。ただし、倦怠感は残存しており、これは体温調節に必要なエネルギー消費に影響を与える可能性がある。また、浮腫の存在は末梢循環に影響を与え、体温調節機能に影響を及ぼす可能性がある。
以上を踏まえ、以下の看護介入が必要である。
まず、定期的なバイタルサインの測定を継続し、体温の変動をモニタリングする。特に、腎機能低下患者は感染のリスクが高いため、発熱や感染徴候の早期発見に努める。
療養環境については、室温を20-25℃程度、湿度を50-60%程度に維持し、必要に応じて空調の調整や換気を行う。患者の温度感覚に関する主観的評価も定期的に確認する。
倦怠感や浮腫が体温調節に与える影響を考慮し、適切な活動と休息のバランスを保つよう支援する。また、衣類の調整や寝具の選択についても、患者の状態や好みに応じて適切に対応する。
継続的な観察が必要な点として、体温の日内変動、感染徴候の有無、活動量と疲労度の関係、末梢循環の状態が挙げられる。また、白血球数やCRPの推移についても、定期的なモニタリングが必要である。
体温維持に関するニーズの充足状況としては、現時点では充足されている。これは、体温が生理的範囲内で安定しており、明らかな感染徴候も認められないことが主な要因である。ただし、慢性腎臓病患者における感染リスクの高さと、加齢による体温調節機能の低下を考慮し、予防的な観点からの継続的な観察と支援が必要である。
看護問題の明確化
なし
事例の目次
【ヘンダーソン】慢性腎不全 生活習慣の改善が課題(0009)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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