【ヘンダーソン】慢性腎不全 生活習慣の改善が課題(0009)4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する

ヘンダーソン

事例の要約

1月25日に高血圧による腎機能障害で緊急入院となった65歳男性の製造業事務職A氏に対して、入院2日目の1月27日より、生活習慣の改善と透析予防に向けて看護介入を行う事例。

4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する

A氏は65歳の男性で、入院前は製造業の事務職として勤務していた。入院時の症状として、両下腿全体の浮腫、安静時呼吸困難、起座呼吸を認め、全身の倦怠感が著明であった。このような状態は、日常生活動作(ADL)の低下要因となり得る。

現在の身体機能について、麻痺や骨折の記載はなく、基本的な運動機能は保たれている。点滴を使用しているが、病棟内の短距離歩行は自立しており、移動時には点滴スタンドを使用している。ふらつきはなく安定した歩行が可能である。ベッドから車椅子、椅子への移乗も自立しており、基本的なADLは維持されている。

排泄動作については、病棟トイレまで自力で移動可能で、排泄動作も自立している。入浴は介助なしで可能だが、現時点では実施しておらず、清拭で対応している。衣類の着脱は自立しているものの、両下腿の浮腫が残存しているため、ズボンの着脱にはやや時間を要している。

呼吸機能に関して、入院時には安静時呼吸困難と起座呼吸を認めていたが、現在は改善傾向にある。ただし、夜間の睡眠はまだ安定していない状態である。また、長期の喫煙歴(1日20本を45年間)があり、潜在的な呼吸機能低下の可能性がある。

生活習慣として、入院前は仕事を理由に通院や服薬が不規則であり、自身の体調管理については楽観的な面がある。しかし、医療者とのコミュニケーションは良好で、認知機能の低下を疑わせる所見は見られない。性格は几帳面で真面目であることから、適切な指導により生活習慣の改善が期待できる。

転倒リスクに関して、以下の要因が認められる。第一に、夜間頻尿(2-3回/晩)があり、夜間のトイレ歩行時の転倒リスクがある。第二に、点滴スタンドを使用しての移動が必要である。第三に、65歳という年齢による身体機能の変化も考慮する必要がある。第四に、倦怠感が残存している。これらの要因を考慮し、転倒予防策の実施が重要である。

看護介入として以下の対応が必要である。転倒予防のため、必要時のナースコール使用を指導し、特に夜間のトイレ歩行時は注意喚起を行う。ベッド周囲の環境整備を行い、転倒リスクの軽減を図る。活動量の拡大に向けて、呼吸状態や倦怠感の程度を観察しながら、段階的な離床を進める。また、下腿浮腫の改善状況を確認しながら、ADLの自立度の変化を評価する。

退院後の生活を見据えて、日常生活における転倒予防策や活動と休息のバランスについて指導を行う。また、禁煙の継続支援も重要である。さらに、服薬や通院の自己管理能力の向上に向けた支援も必要である。

ニーズの充足状況について、基本的なADLは自立しているものの、活動に制限がある状態が続いている。また、転倒リスクも存在することから、運動・姿勢に関するニーズは部分的な充足にとどまっている。今後は、活動範囲の拡大と安全性の確保を両立させながら、ADLの完全な自立に向けた支援を継続する必要がある。

看護問題の明確化

#慢性腎臓病に伴う体液貯留・呼吸困難に関連した活動耐性の低下
#夜間頻尿と点滴管理に関連した転倒・転落のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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