【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションを持つ

ヘンダーソン

事例の要約

横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。

10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションを持つ

患者は65歳の男性で、几帳面で真面目な性格である。治療に対して積極的な姿勢を持ち、自身の病状について詳しく理解したいという意欲があり、医療者の説明をメモに取る習慣がある。この特徴は、医療者とのコミュニケーションを円滑にする要因となっている。

認知機能は正常で、見当識障害や記憶障害は認められていない。会話は論理的であり、治療に関する意思決定も適切に行える状態である。視力については近方視力の低下があり老眼鏡を使用しているが、眼鏡使用により新聞や書類の文字を不自由なく読むことができている。聴力は正常で、通常の会話に支障はない。言語障害は認められず、自身の症状や不安について適切に表現することができている。

家族関係については、妻と2人暮らしであり、妻がキーパーソンとなっている。妻は毎日面会に訪れ、患者の体調管理に関して積極的に質問をし、食事の工夫や生活上の注意点について熱心に確認している。夫婦間のコミュニケーションは良好で、互いを思いやる発言が見られる。

現在、化学療法の副作用症状により体調不良を感じており、「抗がん剤は効果があるから頑張りたいけど、吐き気が辛くて食事も薬も飲むのが怖い」と不安を表出している。また、「こんなに具合が悪いと家に帰っても妻に迷惑をかけそう」と退院後の生活への懸念も示している。一方で、「他の患者さんも乗り越えているから、自分もなんとか頑張りたい」という前向きな発言もあり、感情表現が適切になされている

これに対し妻は、「本人の体調が一番大切。無理のないようにゆっくり治療を進めていってほしい」と話し、「家に帰ってきたら、本人の体調に合わせて家事の時間を調整するので、心配しないでほしい」と夫を励ましている。このような夫婦間でサポートができる関係性は、治療継続の重要な支援基盤となっている。

必要な看護介入として、以下の対応が重要である。まず、患者が表出する不安や懸念に対して傾聴の姿勢を保ち、共感的な理解を示す。治療に関する疑問や不安について、患者が理解しやすい方法で説明を行い、必要に応じて説明内容をメモに残せるよう支援する。

老眼による視力低下に対しては、説明資料の文字サイズや明るさに配慮し、必要時は口頭での補足説明を加える。また、化学療法の副作用症状による体調不良時も、患者が安心して気持ちを表出できる環境を整える。

妻との面会時には、患者の体調や治療経過について情報共有を行い、退院後の生活に向けた具体的な支援方法を共に検討する機会を設ける。夫婦で協力しながら治療に取り組もうとする姿勢を支持し、必要な社会資源の情報提供も行う。

面会に関しては、現在は妻のみであるが、患者の希望する他の面会者の有無について確認し、化学療法中の感染リスクに配慮しながら、可能な範囲で調整を行う必要がある。

ニーズの充足状況としては、認知機能が正常で適切なコミュニケーション能力を有し、妻との良好な関係性も保たれていることから、基本的なコミュニケーションニーズは充足されている。しかし、化学療法による副作用症状への不安や退院後の生活への懸念が表出されていることから、これらの不安に対する心理的サポートのニーズは継続的な対応が必要な状態である。今後の治療経過に伴う心理状態の変化を注意深く観察し、適切な支援を提供していく必要がある。

看護問題の明確化

#化学療法による副作用症状に関連した不安

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

看護の攻略部屋wiki

看護学生をお助け | 看護過程の見本 | 完全無料でコピー&ペースト(コピペ)OK


コメント

タイトルとURLをコピーしました