本事例の要約
横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。
1.正常に呼吸する
A氏は横行結腸癌Stage IIIAに対して腹腔鏡下横行結腸切除術を施行し、現在XELOX療法による術後補助化学療法を実施中である。大腸癌の進行による呼吸器系への直接的な影響は認められていないが、化学療法に伴う副作用や全身状態の変化が呼吸機能に影響を及ぼす可能性があるため、慎重な観察が必要である。
呼吸状態について、入院時のバイタルサインでは呼吸数16回/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)98%(室内気)であり、現在は呼吸数18回/分、SpO2 97%(室内気)と、わずかな変動はあるものの正常範囲内で維持されている。化学療法開始後、全身倦怠感の出現により活動量が低下しているが、呼吸困難感の訴えや異常な呼吸パターンは認められていない。ただし、悪心・嘔吐による体力消耗が呼吸機能に影響を及ぼす可能性があるため、継続的な観察が必要である。
肺雑音や呼吸機能検査、胸部レントゲンに関する情報は記載されていないため、追加の情報収集が必要である。特に化学療法による間質性肺炎などの呼吸器系副作用のリスクを考慮し、これらの情報は重要である。また、オキサリプラチンによる過敏症の可能性もあるため、投与中および投与後の呼吸状態の観察を慎重に行う必要がある。
喫煙歴については、1日20本を30年間継続していたが、がん診断を機に禁煙し、現在は喫煙していない。長期の喫煙歴により呼吸機能の低下が潜在している可能性があるため、活動時の呼吸状態の変化や息切れの有無について注意深く観察する必要がある。
呼吸に関するアレルギーの既往はないとの記載があるが、化学療法による新たなアレルギー反応の出現の可能性もあるため、投与中は特に注意深い観察が必要である。
加齢による呼吸機能の変化として、65歳という年齢を考慮すると、肺の弾性収縮力の低下や換気予備力の減少が生じている可能性がある。これに加えて、化学療法による倦怠感や活動量の低下が呼吸機能に影響を及ぼす可能性があるため、早期離床や適度な運動の促進が重要である。
必要な看護介入として、以下の点に注意する必要がある:
深呼吸や腹式呼吸の指導により、肺の換気を促進する。
悪心・嘔吐のコントロールにより、呼吸状態への影響を最小限に抑える。
活動量の維持・向上を図り、呼吸機能の低下を予防する。
化学療法中の呼吸器系副作用の早期発見のため、呼吸状態の定期的な観察を行う。
ニーズの充足状況については、現時点では呼吸数やSpO2が正常範囲内で維持されており、呼吸困難感の訴えもないことから、基本的な呼吸ニーズは充足されていると判断できる。しかし、化学療法の継続に伴う副作用の出現や全身状態の変化により、呼吸状態が変化する可能性があるため、継続的な観察とアセスメントが必要である。また、禁煙は継続できているものの、長期喫煙歴による潜在的な呼吸機能低下のリスクがあることから、予防的な介入と観察を継続する必要がある。
看護問題の明確化
#化学療法に関連した呼吸器系合併症リスク状態
事例の目次
【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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