【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 3.あらゆる排泄経路から排泄する

ヘンダーソン

事例の要約

横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。

3.あらゆる排泄経路から排泄する

A氏は化学療法開始前まで1日1回の規則的な排便があり、便秘や下痢の症状は認められていなかった。しかし、化学療法開始後から悪心・嘔吐が出現し、食事摂取量が3割程度に低下したことにより、最終排便が2日前となっている。腹部は軟らかく、腹痛の訴えはないものの、食事摂取量の低下と活動量の減少により、排便機能の低下が懸念される。

排尿に関しては、入院前は日中4-5回、夜間1回程度であったが、現在は日中5-6回、夜間1-2回と若干の増加傾向にある。尿量や性状に異常は認められていないが、65歳という年齢を考慮すると、前立腺肥大などの加齢による影響も考えられるため、排尿状態の継続的な観察が必要である。

体液バランスについて、水分摂取量は1日1000ml程度を維持できているが、悪心・嘔吐による喪失もあるため、脱水のリスクに注意が必要である。現在のバイタルサインでは血圧126/72mmHg、脈拍84回/分と著明な変動はないものの、体温が37.2℃とやや上昇傾向にあり、発汗による不感蒸泄の増加も考えられる。

食事摂取状況は化学療法の副作用により著しく低下しており、これは排便回数の減少に直接的に影響している。水分摂取量は1000ml/日と最低限は確保できているが、悪心による嘔吐や体温上昇による発汗を考慮すると、更なる水分補給の促進が必要である。現在、補液としてソルデム3A 500mlが投与されており、体液バランスの維持に寄与している。

麻痺は認められず、腰椎椎間板ヘルニアの手術歴があるものの現在は症状なく経過している。トイレ歩行は自立しているが、化学療法による倦怠感とふらつきがみられるため、転倒予防の観察と必要時の介助が重要である

腹部所見としては、腹部は軟らかく、明らかな膨満は認められていない。腸蠕動音については情報が不足しているため、評価が必要である。便秘予防のために処方されているセンノシド錠の使用状況と効果についても確認が必要である。

血液データについては、BUN 16.8mg/dL、Cr 0.88mg/dLと基準値内であるが、入院時と比較してやや上昇傾向にある。また、アルブミン値が3.6g/dLと低値であることから、栄養状態の低下も認められる。電解質バランスについては、ナトリウム138mEq/L、カリウム4.0mEq/L、クロール102mEq/Lと概ね正常範囲内である。

看護介入として、以下の対応が必要である。制吐剤の効果的な使用による悪心・嘔吐のコントロール、少量頻回の水分摂取の促進、食事摂取量の記録と栄養状態の評価、排便・排尿記録の継続、腹部症状の観察、活動量の維持と転倒予防である。特に悪心・嘔吐のコントロールは、食事摂取量の改善と排便機能の回復に重要である

排泄のニーズについて、現時点では自立した排泄行動は維持できているものの、化学療法の副作用による食事摂取量の低下と活動量の減少により、正常な排便パターンが阻害されている状態である。排尿については量・回数ともに大きな問題はないが、夜間頻尿の傾向があり、十分な休息が得られない可能性がある。したがって、排泄に関するニーズは一部充足されていない状態であり、継続的な観察と支援が必要である。

看護問題の明確化

#化学療法による消化器症状に関連した排便パターンの変調

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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