本事例の要約
横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。
11.自分の信仰に従って礼拝する
患者は特定の信仰を持っておらず、宗教上の制限や配慮を必要としていない。しかし、価値観として治療に対して積極的な姿勢を持ち、病状について詳しく理解したいという意欲と、治療に取り組もうとする強い意志がある。これは患者の人生観や価値観の重要な側面として捉えることができる。
治療に関する意思決定については、医療者の説明を理解し、自身で適切に判断を行える状態である。几帳面で真面目な性格特性は、治療への取り組み方にも反映されており、医療者の指示を守り、説明内容をメモに取るなど、積極的な姿勢が見られる。
食事に関しては、宗教上の制限はなく、入院前は妻が準備する食事を規則正しく摂取していた。現在は化学療法の副作用により食事摂取量が低下しているが、これは身体症状による影響であり、信仰や価値観による制限ではない。
生活習慣については、がん診断を機に禁煙を決意し、現在も継続できている。また、手術後は飲酒を控えているなど、健康に対する意識が高く、生活改善への意欲がある。これらの行動変容は、患者の健康に対する価値観や信念を反映している。
家族との関係性においては、妻との良好な関係が維持されており、互いを思いやる価値観が共有されている。妻からの「本人の体調が一番大切」という言葉や、患者自身の「妻に迷惑をかけたくない」という思いは、家族を大切にする価値観の表れと考えられる。
必要な看護介入として、以下の対応が重要である。まず、患者の価値観や信念を尊重し、治療に対する積極的な姿勢を支持する関わりを継続する。治療経過に関する情報提供は、患者の理解度や希望に合わせて丁寧に行い、疑問点については十分な説明を行う。
また、生活改善への意欲を支持し、禁煙の継続や適切な生活習慣の維持について、具体的な支援方法を提案する。化学療法による副作用症状がある中でも、患者の価値観に沿った生活が送れるよう支援していく。
家族との関係性については、妻との良好なコミュニケーションを維持できるよう配慮し、必要時は面会時間の調整など柔軟な対応を行う。患者と妻が共に治療に取り組めるよう、情報共有と心理的支援を継続する。
今後の治療経過において、患者の価値観や信念に変化が生じる可能性もあるため、定期的な観察と対話を通じて、心理的変化の把握に努める必要がある。特に化学療法による副作用症状が強い時期には、患者の気持ちの揺れに注意を払い、必要に応じて精神的サポートを提供する。
ニーズの充足状況としては、特定の信仰は持っていないものの、患者自身の価値観や信念に基づいた治療への取り組みが可能な状態であり、この面でのニーズは充足されている。また、家族との良好な関係性も保たれており、精神的な支えとなっている。今後も患者の価値観を尊重しながら、治療継続への支援を行っていく必要がある。
看護問題の明確化
なし
事例の目次
【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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