【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする

ヘンダーソン

事例の要約

横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。

9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする

患者は65歳の男性で、認知機能は正常であり、見当識障害や記憶障害は認められていない。入院前は日常生活動作がすべて自立しており、転倒歴もない。しかし、化学療法開始後に出現した悪心・嘔吐と倦怠感により、ふらつきが出現し、転倒リスクが上昇している状態である。

環境面での危険認識については、患者は几帳面で真面目な性格であり、医療者の説明を理解し、メモを取る習慣がある。現在は体調不良時の転倒リスクを理解し、トイレ歩行時にはナースコールで看護師に知らせる行動がとれている。ただし、悪心・嘔吐による急激な体調変化時には、慌ててトイレに向かう可能性があり、注意が必要である。

術後せん妄の発症はなく、医療者とのコミュニケーションも良好である。手術創は治癒しており、明らかな皮膚損傷は認められていない。しかし、化学療法に伴う活動量低下とベッド上での長時間臥床により、褥瘡発生のリスクが存在する。また、標準体重より低値であることや、食事摂取量の低下も皮膚の脆弱化につながる可能性がある。

感染予防に関して、化学療法による免疫力低下のリスクが高まっている。血液データでは、白血球数が入院時5.8×10³/µLから現在9.2×10³/µLと上昇傾向にあり、炎症反応を示す総反応性タンパク(CRP)も0.08mg/dLから0.45mg/dLへと軽度上昇している。これらの変化は化学療法による影響と考えられるが、感染症の早期発見のため、継続的な観察が必要である。

現在の面会は妻のみであり、毎日の面会時に患者の状態を確認している。手指衛生に関する情報は不足しており、患者と家族への手洗い指導の実施状況について追加の情報収集が必要である。

必要な看護介入として、以下の対応が重要である。まず、転倒予防のため、病室内の環境整備を徹底し、ベッド周囲の整理整頓や必要物品の配置を工夫する。特に夜間のトイレ歩行時の安全確保として、適切な照明の確保とナースコールの使用を継続して指導する。

褥瘡予防については、体圧分散マットレスの使用を検討し、定期的な体位変換と早期離床の促進を図る。皮膚の観察を毎日実施し、発赤や損傷の早期発見に努める。

感染予防対策として、患者・家族への手指衛生指導を強化し、面会制限の必要性について説明する。化学療法による免疫力低下を考慮し、環境の清潔保持と感染症状の観察を継続する。発熱や炎症所見の出現時は、速やかに医師に報告する体制を整える。

ニーズの充足状況としては、認知機能は正常で危険認識も適切であり、術後せん妄や明らかな皮膚損傷も認められていないことから、基本的な安全ニーズは充足されている。しかし、化学療法による副作用症状と免疫力低下により、転倒と感染のリスクが存在しており、予防的な観点からの安全ニーズは完全には充足されていない状態である。今後の化学療法の継続に伴い、さらなるリスクの上昇が予測されるため、継続的な観察と予防的介入が必要である。

看護問題の明確化

#化学療法に伴う免疫力低下に関連した感染リスク状態
#化学療法の副作用(悪心・嘔吐、倦怠感)に関連した転倒リスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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