【ヘンダーソン】高血圧 入院7日目(0013)| 7.体温を生理的範囲内に維持する

ヘンダーソン

事例の要約

58歳男性のA氏は、大手IT企業の管理職として過重労働が続く中、職場健康診断で収縮期血圧210mmHg、拡張期血圧118mmHgと著明な上昇を指摘され、高血圧緊急症の診断で即日入院となった。入院後、降圧治療により血圧は徐々に安定し、生活習慣の改善に向けた指導を受けている事例。介入日は1月28日(入院7日目)である。

7.体温を生理的範囲内に維持する

A氏のバイタルサインについて、入院時は体温36.8℃、血圧210/118mmHg、脈拍96回/分、経皮的動脈血酸素飽和度98%であった。入院7日目の現在は体温36.6℃、血圧162/94mmHg、脈拍82回/分、経皮的動脈血酸素飽和度98%と推移している。体温は一貫して生理的範囲内で安定しており、発熱は認められていない。

血液データにおいて、白血球数は入院時9800/μLから現在9200/μLと、やや高値を示しているものの、感染を示唆するような著明な上昇は認められていない。CRPの値についての記載はないため、炎症反応の評価のために確認が必要である。感染症の既往はなく、現時点で感染症を疑う症状も認められていない。

日常生活動作は全般的に自立しており、病棟内歩行を1日3回、各15分程度実施している。この運動による発汗は体温上昇と血管拡張を引き起こし、その結果として血圧変動を生じさせる可能性がある。特に、発汗に伴う循環血液量の減少は、降圧薬による血管拡張作用と相まって、急激な血圧低下を引き起こすリスクがある。同様に、シャワー浴による体温上昇は末梢血管の拡張を促進し、特に浴後の急激な温度変化は血圧の変動を引き起こす可能性が高い。これらの生理的な反応は、高血圧緊急症の治療中であることから、より慎重な観察が必要である。特に、アムロジピンやカンデサルタンによる降圧治療中は、体温変動による血管反応が増強される可能性があり、血圧の急激な変動のリスクが高まる。そのため、運動時やシャワー浴前後の体温と血圧の継時的な測定が重要である。

療養環境について、病室の温度、湿度、空調管理に関する具体的な情報の記載がないため、これらの評価が必要である。特に、高血圧症患者の快適な療養環境を維持するために、室温は20-25℃程度、湿度は40-60%程度に保つことが望ましい。また、入浴時の浴室環境や、運動時の環境温度についても評価と調整が必要である。

58歳という年齢を考慮すると、加齢による体温調節機能の軽度低下が始まっている可能性がある。特に、環境温度の変化に対する適応力の低下や、発汗機能の変化について考慮する必要がある。

看護介入として、以下の対応が必要である。まず、定期的なバイタルサインの測定と記録を継続する。特に、活動時や入浴後の体温変動について注意深く観察する。また、室温や湿度の適切な管理を行い、必要に応じて環境調整を実施する。さらに、発汗時の水分補給の重要性について指導を行う必要がある。

運動時の体温管理については、過度な体温上昇を避けるため、適切な運動強度の設定と、休憩時間の確保について指導する。また、シャワー浴時の環境調整と、浴室での転倒予防についても注意を払う必要がある。

退院後の生活を見据えた指導も重要である。特に、職場復帰後の環境調整について、具体的な方策を提案する。オフィスでの空調管理や、季節の変化に応じた衣服の調整、適切な水分摂取量などについて指導を行う。

ニーズの充足状況については、体温は生理的範囲内で安定しており、感染徴候も認められないことから、基本的なニーズは充足されている。ただし、高血圧緊急症の治療中であることから、体温変動が血圧に与える影響という観点では、継続的な観察が必要な状態である。

看護問題の明確化

なし

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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